タバサのTS物語   作:ディア

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書いている作品で一番評価高いのがこの作品なのは…やっぱりタバサが振り回される主人公だからなんでしょうね。


第31話

それから偵察として洞窟前に辿り着いたのは良いけれど…

「やあご主人。遅かったね。」

シルフが人らしきものを蹴っ飛ばすと呻き声が聞こえた。

「シルフ…それは何?」

それとはもちろん拘束された男達だ。

「ああ…こいつらは盗賊だ。私を騎士と間違えて攻撃したから反撃して尋問したらベラベラと喋ってくれたよ。ミノタウルスを騙って子供をアッチ系の貴族に売ろうとしたらしい。これが証拠だ。」

そう言ってシルフが出したのは書類とミノタウルスに似せた毛皮だった。

「こりゃ確かに目がくらむよ…1人につき500エキュー…美少年であればさらに1000エキュー追加。どんだけ欲しいんだよ…この貴族。」

マチルダを素の話し方に戻す程ふざけた値段だった。この盗賊と依頼した貴族のタマ壊しても問題ないよね?

「それよりも今まで何人犠牲にしてきた?」

僕がそういうと盗賊達は顔を真っ青にした。

「し、知らねえ!今回が初めてなんだ!!まだ1人もやっちゃいねえ!」

「本当だ!だから許してくれ!」

「もうあれはいやだ!!」

…どんな尋問をしたのさ?シルフ。まあいいや。こんな時こそ…地下水の出番だ。

『任しておけ。』

僕は1人の盗賊に地下水を装備させ記憶を読み取らせた。

「…ダメだ。こいつらはミノタウルス騒動を利用して金稼ぎしようって企んでいたみたいだが実行に移すのは本当に初めてだ。」

そう言って地下水が盗賊の口を使って語ると盗賊の一味が不気味がっていると僕は異変に気がついた。メイジはトライアングル以上になるとその性質にあった探知が出来るようになる。土だったら地面の感覚、風は空気の動き…という風に。

 

「なるほどね…それじゃ後ろのミノタウルスは無関係なんだね?」

僕がそういうと洞窟から物凄いプレッシャーが襲いかかってきた。間違いなく僕が出会ってきた中でもシルフや伯父様含めて五本の指に入れるクラスの実力者だ。チンケなドラゴン相手10匹の方がまだマシなくらいだ。

「…」

土のトライアングルであるマチルダも気がついていたんだろう…まるで桁が違うと。無理もない。現にそこの盗賊はあまりのプレッシャーに気絶し、こういう仕事に慣れている僕ですらこんなプレッシャーを感じたのはあの変態親父を除けば初めてだ。

「ほう…面白い。」

シルフはまるで玩具を与えた子供のように笑顔になり、構えた。

「ふむ…どうやらそちらの方々は相当な実力者ですね。」

そう言って現れたのは獣耳とミノタウルスの特徴であるねじれた角を持った女性だった。

「これは失礼…私は元貴族のラルカス。今はただのミノタウルスだよ。」

ラルカスって…男の名前だよね?なんで女になっているの!?…という突っ込みは出来ない。それだけこの自称ミノタウルスのプレッシャーが凄い。

「ミノタウルス?その姿がミノタウルスだっていうのかい?」

マチルダは二番目に聞きたかったことを聞き出そうとするとラルカスは顎に手を添えた。

「詳しい話は奥でしよう。付いて来い。」

ラルカスはそういって背を向けて洞窟の中に入っていった。

「…っ。」

シルフが洞窟の中に入った途端眉を寄せた。

「シルフ?」

「…何でもない。」

絶対怪しい。

「こいつは驚いた…こんな鍾乳洞の壁があるなんてね…」

マチルダはそれを見ようと近づくとラルカスが大声を上げた。

「近づくな!」

その怒鳴り声は僕とマチルダを震えさせるには十分な威圧があり、マチルダは顔を青ざめ悲鳴を上げた。

「ひっ!?」

「…すまん。そっちは土が剥き出しになっていて大変危険な場所なんだ。さあこっちだ。付いて来い。」

そういってラルカスは謝り、僕達を洞窟の奥まで連れて行った。

 

「私はかつて人間だった…それも当時のガリアでは珍しい女の騎士だった。私は10年ほど前、不治の病にかかり旅をしていたところエズレ村の依頼でミノタウルスと戦い、勝利した。そこまではよかった。だがミノタウルスと戦ったことによって人間である身体の寿命を縮めることになった。だが窒息死させたミノタウルスはほぼ無傷…そこで私はミノタウルスに脳を移植しミノタウルスの身体を得た。これでも医療に心得があったからな。」

「脳を移植って私には完全に理解出来ない世界だよ…」

マチルダはそうだろうね…僕と地下水はあらかじめそういう知識があったからやっぱりあったのか…って程度だけど。

『坊主、言っておくが俺はこいつのことを言ったんじゃないからな?』

わかっているよ。でもこれって裏はともかく表の世界でやると外道みたいな扱いをされるんだよね。

「だが…ミノタウルスの身体で村の連中に挨拶に行こうものなら間違いなく話を聞かないだろう。鋼鉄の身体に水のスクエア…確かに戦闘なら無敵かもしれない。だが私は村の連中にミノタウルスを倒したことを伝えたくフェイスチェンジの応用で人間の身体に近づけようとしたが…これが限界だった。」

「普通に手紙で良くない?」

僕の呟きは無視され、マチルダが少し考えるような素振りをしていた。

「さっきから気になっていたんだが…ミノタウルスは雌だったのかい?私はそういう医療系の知識は乏しいけどなるべく同性の方がいいんじゃないのかい?」

確かに…マチルダのいうこともわからないでもない。これでミノタウルスが雄だったらラルカスは男として生きなければならないし、それはどれだけ辛いか想像に難い。

「ああ…幸いなことに雌だった。このミノタウルスが雄だったら私は男として生きなければならなかっ…っ!!」

いきなりラルカスが頭を抑え、マチルダが駆け寄るとラルカスは手を伸ばしてマチルダが駆け寄るのを止めさせた。

「心配無用だ。これは脳を移植した時に現れた副作用みたいなものだ。エズレ村に行って伝えておいてくれ。ラルカスとミノタウルスは相打ちになって共に死んでいた…と。」

「わかった。マチルダ、シルフ行くよ。」

僕はそう返事をして帰ることにした。

 

「お帰り、タバサちゃん。」

村に帰るとエルザが笑顔で迎えていたけれどその笑みは殺気がこもっておりエルザが不機嫌だとわかった。

「エルザ…ただいま。」

僕はなるべくそのことに触れず逃げようとした…しかしエルザは逃してくれなかった。

「…他に言うことないの?」

完全にエルザから笑みが消え、僕は汗をダラダラと流した。

「置いていってごめん。」

僕は呟くようにそういって謝ったがそれでは許さないのか

「ん~っ…じゃあミルクちょうだい。それで考えてあげる。」

ミルク?…牛の乳かな?それくらいなら酪農家にでも頼んで買えばいいだけだし問題はないよね。

「別にいいけど…」

「やったーっ!!」

…何だろう、ものすごく嫌な予感がしてきた。

「やっぱりなしで。」

「ふ~ん…タバサちゃんって約束を破るんだ?男の子なのに?」

うっ…それを言われるとキツイ…

「こんなでっかいモノがあるのに女の子なんて…言えないよね?」

エルザはスボン越しに僕の股間を握り、それが何を意味するか理解してしまった。

「エルザ…ミルクを用意するからその手を離して…」

「ありがと♡タバサちゃん。」

その夜、僕はエルザに自分のミルクをたっぷり絞られることになった。




ミノタウルス編続きます。

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