タバサのTS物語   作:ディア

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作者から一言。
文章力欲しいヨォォォォっ!!

…という訳でまたもやアンケートを実施します。詳しいことは活動報告にて説明します!


第29話

「シルフ…少しは反省した?」

「はい…」

僕はシルフを正座させて説教していた。シルフは風韻竜だっていうのはなんでこんなバカなことしか出来ないんだろう…と僕は思う。確かに翼人の依頼の時は凄かったけど…この残念すぎる竜をどうにかして欲しい。特にサイトと絡むと残念さが酷くなる。もうそろそろ使い魔の発表会が近いって言うのに…

「くっ…ぷ…ご主人後ろ!」

シルフが笑いを抑えた声で僕に後ろを振り向かせるとそこには犬の扮装をしたサイトがいた。

「その格好何?」

驚きすぎて返って冷静になり、僕はサイトに聞くと犬の声で「ワンッ!ヴゥ~ヴァン!」と答えた。

「そんな格好で歩くんじゃないわよ!このバカーッ!!」

ルイズの魔法もどきがサイトにあたりサイトが吹っ飛び「キャィン!キャィン!」と犬の声で悲鳴を上げた…ルイズの罰でやらせているかと思ったけど今の様子からそれは違ったみたいで良かった。

「ヴゥ~…バヴーッ!!」

サイトは転げ回りシルフに襲いかかる…だけどシルフは人間の状態でもグールを圧倒して倒せる実力がある。当然サイトは直線的な攻撃でシルフに通用する訳もなく宙を舞って頭から地面に激突し…煙が舞った。

「出直して来い。ガンダルーヴ。」

シルフがそういって笑うと煙が晴れ、その状態に僕とルイズは目を丸くした。

「ちょっとサイト大丈夫!?」

ルイズがそういってサイトに駆け寄るけど返事はない。

「…何これ。」

下半身から上の胴体はすっぽりと地面の中に埋まっていた。その為返事も「ゥ~」だのなんだのとしか聞こえない。

「タバサ手伝って!」

「ん。」

ルイズは僕同様に華奢な身体つきだけど箱庭で育ったはずのお嬢様とは思えないほど力はある。そのルイズが僕に助けを求めることは本来ありえない。悔しいけど僕の方が力はないから手伝って貰うなんてことは彼女のプライドが許さないはず…もっとも常識人なのでプライドが高いというイメージはほとんどないけど。話しを戻そう。プライドの高いルイズが僕を使ってまで助けようとすることからこの使い魔を大切にしていることがわかる。本人がこのことを聞いたら「バカ言っているんじゃないわよ。一応使い魔なんだから助ける時に私のプライドくらいは捨てるのは当たり前よ。」とか言いそうだけど。

「中々抜けないわね…」

しかし僕達2人がサイトを持ち上げようとしても地面から抜けない。つーか元々シルフの責任だしシルフに手伝わせるのが筋でしょ!?僕はそんなことを思い、シルフに呼びかける。

「シルフ。手伝って。このままだとサイトが死ぬ。」

サイトが死ぬなんてことはまず想像つかないけどこんな状態だったら普通は窒息死する。

「こんなところで死ぬような奴か?まあご主人の言うことだ。一気に引っこ抜くからご主人やルイズは離れてくれ。」

うわ…すごい上から目線。後でお仕置きしよう。

「はぁぁぁあッ!シルフ土竜振動拳!」

またもや訳のわからない拳法で地面を拳で叩くとその反動からサイトが飛び出してきた。…本当に抜けたよ。

 

「いや~…まいった参った。」

すっかり元通りに戻ったサイトがそういってスボンを叩いた。

「犬、犬、犬ってルイズがうっさいからさ~本当の犬ってどんな奴なのかな~?って思って催眠術で自分が犬だと思いこませたら暴走しちまった。」

…やっぱり理解出来ない。サイトはおっぱいが好きだし、変なところに拘る…絶対にテファに会わせちゃいけない人物だというのは理解出来た。

「…じゃあ、あの犬の扮装は?」

「あれはルイズが用意した罰。」

僕の中で一気にルイズの評価が低くなった。唯一の常識人かと思ったのに…

「ち、違うわよ!こいつが勝手に扮装しただけよ!」

ルイズは僕の視線に気づいたのか慌てて弁解するけどサイトがルイズの肩に手をおいて首を横に振った。

「ルイズ君、言い訳は見苦しいぞ。」

その一言でルイズはぶち切れた。

「この犬~っ…どうやら立場わかっていないようね。」

そういってルイズは杖と鞭を構えるとサイトの様子が変わった。

「…ヴ~っ!!」

またもやサイトが犬となりシルフに襲いかかるけど…また地面に頭から埋まりシルフに助けだされた。

その後色々と検証した結果「犬」と言葉で聞くとサイトは性格が犬になることがわかりサイトの前では犬は禁句となった…

 

それからサイトたちと別れ、僕はシルフについて考えていた。シルフは「シルフ風竜拳!」などとほざきながら腕を振って木の枝を細かく切り刻んで彫刻を作っている…これはこれで良いかもしれないけどキュルケのフレイムに比べたら大したことない…って感じちゃうんだよね。それなら風竜の姿になって飛んだ方がまだアピールが出来る。

『坊主、俺暇なんだけど…なんかないのか?』

地下水…そういえば存在自体忘れてた。

『ひっでぇ~…まあ俺も寝てたし仕方ないちゃ仕方ないけどよ。』

そういえば地下水は人間が犬みたいになったのって見たことある?

『犬ねえ…そいつはねえが人間が亜人の身体を乗っ取ったって噂は聞いたことはあるぜ』

…噂か。見たことはないってこと?

『まあ俺の場合傭兵とは言え暗殺の仕事が主だったからな。見たことがあるのは貴族どもの使い魔や騎乗竜くらいのもんだ。あとは無茶苦茶な依頼でエルフくらいのもんだな…吸血鬼も見るのはエルザが初めてなんだぜ。もちろん韻竜も初めてだ。』

そうなの!?

『そのおかげで坊主に起こるトラブルは楽しいったらありゃしねえ。…ところでフーケをガリアに持っていかなくて良いのかよ?一応入団させるんだろ?』

そういえば忘れてた。でも大丈夫だよ。一応ガリアの本部にマチルダのことは連絡しておいた…!?って…紙?イザベラお姉ちゃんの仕事の紹介だね。

『向こうは激おこプンプン丸のようだぜ。』

激おこプンプン丸…って何それ。

『めちゃくちゃ怒っているってことだよ。それよりも坊主、中身はなんだ?』

え~と…ミノタウルス討伐だって。場所はエズレ村…

『エズレ村か…あそこはしけた村で盗賊どもの絶好のカモだから盗賊がミノタウルスに化けているって可能性が高いだろうな。』

よく知っているね…そんなこと。

『あの武器屋でいろんな連中に触られて来たからな。そん時に知ったんだよ。』

地下水やっぱり反則だよ…その能力。

 

「ご主人行くのか?」

シルフは10個目の彫刻を終えると僕に駆け寄ってそう言ってきた。

「ん。ロングビルを持ってきて。」

「イエスマ…イエッサー!」

シルフも僕のことを女の子扱いしてきたな…やっぱりしばいておこう。ペルスランもあの風韻竜も有能なのに…どうしてこうなるんだろうね。

『そりゃ坊主が女みたいな格好しているからだろ?』

これはエルザに脅されていて…僕に女装癖があるわけじゃないよ!?

『それじゃ俺が坊主に乗っ取った状態で赤髪の嬢ちゃんに言っちゃおかな~?「僕はテファと結婚するから別れよう」ってな!』

ちょっとやめてよ!!そんなことしたら本当に叩き折るからね!!

『冗談だよ。冗談。ケケケ…』

もうやだこいつ…なんとかして…

 

「ご主人連れてきたぞ。」

シルフが気絶したマチルダを担いで来たので僕は唖然としてしまった…仮にも僕を実力で倒した怪盗フーケが人間形態のシルフにやられるなんて…どんだけ強いのさ?シルフは。ひょっとしてあの翼人退治の時の雰囲気並…いやそれ以上に実力はあるんじゃないの?

『深く考えないほうが良いぜ。あいつは風韻竜じゃなくて多分シルフっていう生き物だ。』

そうだね…あんなのに勝てるのは伯父様と変態と烈風カリンくらいしか想像出来ないよ。

『…坊主の記憶から推測しても勝てる相手はいねえと思うぜ。』

従者としては頼もしいのに…どうして残念なんだろ?

『さあな。そういう体質なんじゃないか?』

…あり得そう。伯父様によるとあの変態も変態になったのは僕が生まれてからって聞くし。

「それじゃご主人、行こうか!」

シルフは風竜の形態になり僕と地下水を背中に乗せ…ガリアのエズレ村へと向かった。


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