アルビオンからトリステインに戻ってきた僕は魔法学院でのんびりと過ごしていた。
「♡〜」
僕の腕にしがみつくのはエルザ。なんでしがみついているのかはエルザの格好を僕がしているから…?
「エルザ、もう少し離れない?暑いんだけど…」
「や〜♡」
かつてない程デレデレなエルザは余計に僕にしがみついて離れようとしない…
『坊主も大変だな。ケケケ…』
地下水、叩き折るよ?…シルフがだけど。
『あの風韻竜かよ。…そういえばその風韻竜の姿が見えないけどどうしたんだ?』
さあ?確か餌を採ってくるとか言っていたけど…シルフの食べる物ってわかんないだよね。この前は油虫(ゴキブリ)とか真顔で食べていたし、オーク肉とかもボリボリと骨まで食べていたから多分肉食なのかな?その割にはハシバミ草は食べられなかったから例外もあるんだろうね。
『ハシバミ草を食べる物好きは坊主くらいのもんだぜ。俺は少なくともハシバミ草を好んで食べる奴は坊主しか見たことはねえよ。』
あんなに美味いのに?
『普通の奴らと坊主とは舌の感覚が違うからな。それを抜きにしてもあの風韻竜は変わっているけどな。』
「上ォォトゥゥゥゥウォォォォォだァァァァ!!貴様ァァァァ!!」
僕の目の前にサイトが転がり、その先にはシルフが仁王立ちしていた。
「けっ!てめえとは分かり合えるとは思っていたが…拳でどうやら決着をつけなきゃいけねえようだな!!」
サイトが立ち上がり片刃の剣を構えるとシルフも訳のわからない拳法の構えをとった。これは止めないと…
「お前の主人と私のご主人のような貧乳がいいんだろうが!!この分からず屋が!!」
…なんてくだらないことを争っているんだ…ってさりげなく僕のことを女の子扱いしてなかった?
「バッキャロー!!巨乳にきまっているだろ!!!アレはな…人類に与えられた究極の至宝なんだぞ!!」
サイト…ルイズに聞かれたら殺されるよ?というか去勢されてもおかしくないよ…
「貧乳ゥゥゥ!!!」
「巨乳ゥゥゥ!!!」
出来れば関わりたくないので僕はこっそりと逃げようとした。
「おお!ご主人ではないか!!それにエルザも!!丁度いい!貧乳の素晴らしさをこの平民に教えてくれないか!!」
「え!?ちょっと…!!」
シルフは僕の意見をガン無視して僕をサイトの前に立たせると僕の杖と地下水を取り上げて胸をクリクリ弄った。
「シルフ…!それはちょっ…!!」
僕は真っ赤になって止めようとするが流石は韻竜。僕の力では逆らえなかった。
「見ろっ!この寂しいがなんとも言えない保護欲を駆り立てる胸…これが貧乳の素晴らしさだ!!」
「黙れい!巨乳にはな…色々な希望と夢が詰まっているんだよ!!キュルケ程の胸になると…俺のオカズにもなって…ゴチソウサマです!!」
も、もう突っ込みきれない…
「巨乳ゥゥゥ!!!」
「貧乳ゥゥゥ!!!」
「ちょっとうるさいわよ!」
この争いを止めたのは巻き毛の貴族モンモランシーだった。止めようとしたのはありがたいけど…火の中に火薬をぶち込むような真似だよ。それは。
「「微乳には聞いていない!!!」」
ドカッ!!
モンモランシーは一頭と1人にぶっ飛ばされてしまい、ストッパーにもならなかった。
「さらに貧乳ってのは誰もが通る道なんだ!巨乳なんてものはイレギュラーでしかないんだよ!」
「何おう!?巨乳は…グエッ!?」
サイトの首に長い鞭が絞めつけ、サイトは呻き声を出すと気絶してしまい、シルフはその黒いオーラに包まれた人物に恐れて思わず僕を離した。その隙に僕は杖と地下水を回収した。
鞭を持った人物はトーンを落とした声で語った。
「バカ犬ぅ〜?何をやっているのかしら?ふふふ…」
その犯人はサイトの主人ルイズだった。ルイズはサイトを引きずって自分の部屋へと戻っていくとサイトの断末魔が聞こえた…
「流石、ルイズ嬢。貧乳の素晴らしさをわかっていただけるとは…イタッ!?」
僕はシルフを杖で殴るとシルフは汗をダラダラと流していた。
「えーとご主人?怒っている?」
「やだなぁ…シルフ。僕は怒っていないよ。」
僕はそう言って地下水に命令を出した。
「そうか安心した…」
「僕はね。激怒しているんだよ。」
シルフは突如、悟ったかのような顔になると僕に背中をむけた。
「おっと、学院中に貧乳についての素晴らしさを教えなければ。」
シルフはそう言ってダッシュで逃げようとするけどそれが仇となる…
「(エルザ、GO!)」
と僕がアイコンタクトで合図するとエルザは真っ先にシルフに飛びかかってシルフを転倒させた。
「ご主人…そんな怖い顔だとモテないよ?」
シルフが言い訳にもならないことを抜かしやがったので僕の中で何かがキレた。
「お仕置き。」
その後、シルフは反省したので許した。
~おまけ~
聖エイジス32世こと教皇ヴィットーリオ・セレヴァレは困惑していた…その理由はジョゼットを傀儡にするために自分の部下兼使い魔を使って手懐けようとしたらそのジョゼットに調教されジュリオは男の娘となっていたからだ。報告は使い魔と主人が成り立つ念話なのでジュリオが男の娘になっていたなどとは知らされていないので尚更驚いていた。
「ジュリオ…」
「教皇様、この子の名前はジュレッドですわ。」
ヴィットーリオがジュリオの名前を呼ぼうとすると目が笑っていないジョゼットに指摘されてしまい、冷や汗をダラダラとかいた。もしここで無視すれば何が起こるかわからない…あのガキ大将だったジュリオを調教したほどの人物だ。貞操の危機などは覚悟した方がいいだろう。そう判断したヴィットーリオはジュリオを売った。所詮部下などそんな扱いである。
「ジュレッド…一体何があったのです?」
「実は…」
それからジュリオことジュレッドは話した。
ジョゼットを手懐けようとしたら逆に調教されてしまい、男の娘にされてしまったこと。
そして今回は帰る際に運悪く捕まり、無理やりヴィットーリオのところに連れて来させるように指示されたこと…
「ヴィットーリオ様…私は…私は…わーーっ!!」
そしてヴィットーリオにジュレッドは泣きつき、胸に顔を埋めた。その時、ジョゼットは笑った…
「ひゃっ!?何をするのですか!?ジュリオ!!」
そう、ジュリオはヴィットーリオの胸を揉んだのだ。…ヴィットーリオは女性的な顔つきの男性である。教会ではそう認識されていた。だが…実際には女性だった。ヴィットーリオが女性だと知っているのは現在進行形で胸を揉んでいるこのジュリオのみ…だがこの部下がそんなことをする訳がない。となれば…この少女が指示したと考えられるだろう。情報提供者は先ほどよりも涙を多く流しているジュレッドだろう。
「お~や~?教皇様、もしかして女性なんですか?」
いやらしい笑みでジョゼットは笑う…ヴィットーリオはそれが何を意味しているのかわかった。女性というのは差別を受けやすい。ルイズの母カリーヌも男装して騎士になったくらいだ…女性だとバレればスキャンダルの格好の餌食だろう。
もしここでイエスと答えれば教皇を降りることになる…ノーと答えれば恥辱の刑にあう。どちらか迷ったが答えは決まった。
「いいえ、れっきとした男性ですよ。だからジュレッド…私の胸を揉むのをやめなさい。」
答えはノーだった。教皇という立場は各国の王よりも立場が上なのだ。そんな立場を捨ててまでイエスと答えることではないのだ。それにジュレッドも男としての誇りを捨てている…ここで男と主張しなければジュレッドに申し訳ないという罪悪感もある。しかしさりげなくジュレッドに胸を揉むのを止めさせるあたり流石と言えるが…それが間違いだった。
「じゃあ教皇様、私に胸を触らせて!」
ヴィットーリオはそれを聞いて頭を抱えた。
「殿方の胸など触るものではありませんよ。」や「無礼者!教皇である私の胸を触るとは何事だ!!」などと言えればいいがそこで言ってしまったら間違いなくジョゼットはあることないことを教会に告げるだろう。
かといって「どうぞご自由に…」といってしまえば女性としてナニカを捨てることになる。
しかしもう選択肢は決まっていた。いや正確には揉んでも良いと選択肢しか選べなかったと言った方がいい。
「ありがとうございます!」
ジョゼットは早速触り、その感触を確かめ…
ここからは省略させて頂く。なんでかって?ジョゼットが満足気に修道院に帰るときにはヴィットーリオは足が生まれたての子鹿よりも震えてしまい立てなくなっていたからだ。
余談だがジョゼットの破天荒ぶりをモデルにしたコメディー小説がバカ売れしたのは言うまでもない。
【速報】教皇は女だった!
…うん、予想なんて出来ませんよね(汗)…原作じゃあ男でしたし。
これで予想出来たならジョゼットドS協会のメンバーにしてあげよう!byジョゼット
次回こそはストーリーを進めたいと思います。