タバサのTS物語   作:ディア

25 / 44
中々原作沿いにはなりませんね…


第25話

~ウェストウッド村~

「ここは…?」

確か僕はフーケに絞られて…ダメだ思い出したくない。

「起きた?」

ヒョコッと僕の前に現れたのはエルフの耳をした妖精だった。

「…妖精?」

「私は妖精なんかじゃないよ。私はティファニア。テファって呼んでね。マチルダ姉さんからタバサ…君の事を頼まれたの…」

マチルダ?フーケのことなのかそれともフーケとは別人なのかわからないがそんなことはどうでもよくここがどこなのかテファに尋ねた。というかフーケの正体は世間には知られていないのでフーケと言っても無理だろう。

「テファ…ここは?」

「ウェストウッド村。アルビオンの一つの村だよ。」

「アルビオン…」

マチルダ…アルビオン…思い出した!モード大公の事件だ。確か数年前にモード大公は謎の静粛をされ死んだ事件だ。その時に一緒に静粛された貴族…の娘の名前がマチルダだったんだ。…どうでも良いけどこっちの静粛はモード大公が変態だったからではなくもっとまともな理由であって欲しい。ガリアの静粛のような事だったらロマリアに逃げるしかないんだから…

「どうしたの?怖い顔をして…」

なんかテファってイザベラお姉ちゃんとは違ったお姉さんっぽい感じがする…やっぱりこの爆乳か!?イザベラお姉ちゃんも胸でっかいし…でもキュルケはデカくともお姉さんっぽい感じはしないな。うん。

「なんでもないよ。」

僕ははっきりとそう言った。

「ところでテファ…なんで僕の格好が女の子の格好なの?」

僕の今の格好は水色のゴスロリではなく素朴な格好でテファと同じ格好だった。

「え?だってタバサって女の子でしょ?」

僕達に無言の空間が出来る…

「…とりあえず今日はその服しかないからちょっと待って…きゃあっ!」

テファは僕を下敷きにしてあまりにもデカすぎるその胸で僕を圧迫した…

「ん~っ!!」

キュルケやエルザ、シルフは手加減しなくても謎の復活を遂げるから容赦なくやっても問題ないがテファは僕の恩人だ。さすがに恩人を相手に殴ったりはしない。

「ごめんなさい!」

テファは真っ赤になり僕から離れた…

「僕はもう大丈夫だよ…それよりもテファは?」

「うん…私は平気だよ。」

「そっか。それなら良かった。」

僕はテファの優しさに触れたのかタバサとしての仮面をとり僕らしく接した。

「…」

テファはまだ顔を真っ赤にして僕の顔を見ていた。

「テファ?」

そんなに凝視されたらスルー検定1段の僕でも気になる…ちなみに5段になればどんなことでもスルーすることが出来るようになるらしい。

「っ!なんでもないよ!」

テファは慌てて目をそらしてその場を離れた。

 

~トリステイン魔法学院~

その頃学院では…

「フーケの野郎!許すまじ!!」

タバサが誘拐された事をキッカケにタバサたんを愛する会のメンバー達とその他数名が学院長室に押しかけていた。その数、合計数百人!教師が止めても生徒達が反乱を起こして授業は無くなってしまったのである。タバサたんを愛する会のメンバーの数が増えているとは突っ込んではいけない。

「(とんでもない影響力じゃな…オルレアン公は…)」

オスマンはそれを見て現在オルレアン公のタバサを思い出していた。弄られキャラなのでカリスマはなかったが魅力はあった…

 

「学院長!我々をフーケ討伐…いえ抹殺の任務に就かせて下さい!」

生徒の中でも過激なのがヴィリエだ。ヴィリエはタバサがいなくなったと聞き、勝ち逃げされたと思い込んでいたがフーケが誘拐したと聞くと学院長室に押しかけて来たのだ。

「ミスタ・ロレーヌ?なんで君はミスタ・タバサの事を嫌っていたのではないのかな?」

「当たり前です!ですが何よりも気にくわないのがミスタ・タバサがフーケとかいう盗賊如きにやられたこと…情けないあいつを生徒全員で嘲笑いに行くだけのことです!」

ヴィリエのそれはまさしくツンデレそのものであり、タバサに負けた怒りをフーケに向けていた。本人がこのことを聞いたらキレるが…

「なりませんぞ!ミスタ・ロレーヌ、私は絶対にフーケ討伐に遠征することは認めません!」

それに反発したのがコルベールだ。コルベールはかつての職業からか命を失うことを重みを理解している。それ故にフーケ討伐という命を落としかねないことを生徒達にやらせる訳には行かなかった。

「ま、その通りじゃ。お主達が殺されたらワシの首が飛ぶ…そう言うことでこれは教師が解決」

バンッ!!

「僕は風の名門、ロレーヌの跡取りですがそれよりも大切なことがある…タバサとの決着です。」

そう言ってヴィリエがおいたのは数百枚の書類だ。その一つ一つが全て契約書だ。

「これが生徒達がフーケを討伐したいという気持ちです。」

流石のオスマンもここまで言われたらどうしようもなく、首を縦に振ろうとした。

「ならん!絶対にならん!」

コルベールはかつての職業の口調で頑固反対し続けた。

「もう良いコルベール君。彼らを止めたところで無駄じゃよ。それに流石にフーケといえどもこれだけのメイジがいたら数の暴力に押されるじゃろう。」

オスマンはそう言ってキセルの煙を吐き、溜息も吐いた。

「しかし!」

「ならば君が行くかね?」

それでもなお反対するコルベールにオスマンは止めを刺した。

「う…わかりました。」

「よろしい。ではミスタ・ギトー、生徒達の総率は任せた。」

風の魔法教師ギトーにオスマンは現場指示を任せた。その理由は彼は曲がりなりにもスクエアかつ軍事経験はあるからである。

「誰一人死なせずに無事取り戻して見せましょう。」

タバサたんを愛する会のメンバー、ヴィリエ、ルイズ、キュルケ、ギトーがフーケ討伐に行くことになった…

 

「(狭い、暑苦しい…)」

フーケことロングビルはタバサの種をしぼるだけ絞り取り学院に戻っていたが生徒達の渋滞に巻き込まれすし詰めとなっていた。

「(チッ…仕方ない。)」

そしてロングビルは口を開いた。

「皆さん!フーケの居場所がわかりましたので通して下さい!」

ロングビルは大声で叫ぶと生徒達はそちらを見た。

「それは本当ですか!?」

余計に暑苦しくなり、ロングビルは思わず舌打ちをした。

「それを糞爺に報告するから邪魔だって言っているんだよ!どきな!」

ロングビルの素の口調が現れ、生徒を退かそうとする。

「じゃかましいわ!聞いているのはこっちじゃ!」

と生徒はヤ9ザじみた暴言を吐き、殺気も放つ…その行為にロングビルを怯えさせた。

「(なんなのこいつら!?いつもの平和ボケした生徒はどこへいった!?)」

ロングビルが驚くのは無理ない…ボンボンのお坊ちゃんの学校が一夜にしてヤ9ザ養成学校となってしまったのだ。

「早く言った方が身のためですよ?ミス・ロングビル?」

そこに現れたのは血管が浮き出ているギーシュだった…とはいってもいつものフリルの服は着ていない代わりに黒と赤の服を着ておりその姿は完全にプッツンする寸前の悪魔そのものだった。

「確かアルビオンに向かって行ったと思われます。」

その威圧に完全押されたロングビルは思わずアルビオンにいると答えてしまった。

「アルビオンか!よし!ラ・ロシェールまで続けーっ!!」

「おおーっ!!」

「待ちなさい!あそこは激戦地です!あそこに生徒達だけで行くのは…」

ロングビルは何が何でも止めたかった…その理由はタバサではない。ティファニアという自分の妹みたいなハーフエルフがいるからだ。あんな人数でフーケを探そうものなら必ずティファニアと接触するだろう…十数人なら忘却の魔法でなんとかなっても数百人もいるとなれば相当無理ゲーだ…タバサは自分を恨んでいるだろうから期待はできない。

「あぁっ?」

悪魔となってしまった全員がロングビルを睨む…

「ナンデモアリマセン。」

ロングビルは生徒達の威圧に負け、行かせてしまった。

 

「(ひどい目にあった…)」

そして学院長室に入るとそこにいたのはやつれたコルベールとオスマンだけだった。

「オールド・オスマン…?先ほどの生徒達は一体…?」

「ああ…よくぞ来てくれた。先ほどの生徒達はミスタ・タバサを誘拐したフーケを抹殺する為にワシのところに来たんじゃよ。それよりもミス・ロングビル…もう少し早く来れなかったのかね?」

「フーケの情報を手に入れるのに少々時間がかかりまして…」

「そういうことなら仕方ないの…休暇をとって休みなさい。…最後にミス・ロングビルの尻ぉっ!?」

ロングビルはオスマンの言葉を遮り、回し蹴りをしてオスマンを吹っ飛ばした。

「ええ、ぜひ休暇は頂きます。では失礼します、オールド・オスマン。」

ロングビルは向かった先はもちろんアルビオンだった…


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。