やれやれ…結局ルイズ達に会うことは出来なかったか。
「タバサ様。例の件はうまくいきました。」
すれ違い様に僕にそう告げたのはオルレアン領の工作員だ。彼は一見一般人にか見えないがオルレアン流シノビ軍団という組織の一員で暗殺、情報収集…などなど、紛れこんで行動するのが上手く、この組織は伯父様の使い魔…シェフィールドが案を出してくれたというかガリアの制度は大きく変わりつつある。シェフィールドはなんか東方に住んでいるとかほざいていたけど本当は違うんじゃないか?と思うのは秘密だ。
「ご苦労様、今の手持ちは少ないからオルレアン領に請求書を出しておいて。」
僕は小さい声でつぶやくと彼は消えていた…これでフーケを呼び出す準備は整った。
「タバサ、帰るわよ!」
キュルケは上機嫌で僕にそういった。
「わかった。」
シルフはすでに竜の姿になっており、ビシッと決まっていた…前の翼人退治のような威厳たっぷりとまでは言わないけどこれくらいは欲しいよ。
「そういえばタバサの使い魔いないけど…どこいったの?」
「シルフはバイト。」
「ふ~ん…彼、大丈夫なの?」
「いつの間にか帰ってきているから心配ないわ。キュルケお姉ちゃん。」
エルザがそう補足を入れて優しい笑顔で笑った。
「まあ二人がそういうならいいけど…ちゃんと管理しておきなさいよ?貴方の使い魔なんだから…」
キュルケが初めて常識人に見えるのは気のせい?それだけキュルケの行動が異常だったってこと?
「学園へ。」
~魔法学園~
「だからなんでこんな目に遭うの…?」
僕はそう呟いた…何しろ学園についた途端キュルケが薬を使って僕を眠らせ、気が付いたらロープで縛られていた…しかも杖はないし、吊り上げられているし…
「タバサちゃん!頑張って!」
エルザがそう言って僕を応援するが僕はジト目で見た。
「その前にこれ…何の罰ゲーム?」
「あのピンクの人とキュルケお姉ちゃんが決闘することになったの。ペチャパイピンクは魔法がマトモに使えないからこうやって景品を吊り上げているって訳。」
「僕景品!?」
「タバサちゃんの腰についている剣もそうだよ。」
剣って…このナマクラ?
「ご主人、骨は拾っておこう。」
「それ酷くない!?」
僕が反論するとルイズが杖を構え、僕に向けた…って危ない危ないって!
「ファイヤーボール!!」
僕は振り子の原理で避けたのは良いけど後ろにある宝物庫に穴が開いてしまった…これ絶対マズイよ。
「あっはっは!下手ね!ルイズは!」
もう少しで彼氏が殺されそうだっていうのにキュルケはよく笑っていられるよね。本当に縁切る?
「それじゃ私の番ね…ファイヤーボール!」
ファイヤーボールによって僕の縄が解け、僕は予備用の杖を取り出そうとしてナイフを取り出してしまった。
「これじゃ…フライ!」
これじゃない!と言おうとしたけど握った瞬間口が勝手に動き、フライの魔法を唱えていた。
『全く、結構な修羅場に遭遇しちまったな?』
誰…?
『俺の名前は地下水。裏の世界でちっとは知られたものさ。』
地下水…聞いたことがある。確か対象者を殺す前に対象者の前に現れ宣言して殺すという奇妙な殺し屋…その姿はコロコロと変わる為正体は不明…まさか武器であるナイフだとは思わなかったよ。
『正確にいえば俺は雇われ傭兵だが…まあそこんところはどうでもいいか。とある失敗で俺はあの店に安値で売られたんだよ。店主も店主で節穴だしもういいや~って諦めた時に坊主達がやってきたって訳。幸いなことにあの韻竜の嬢ちゃんは俺の存在に気づいていたみたいで身体を乗っ取ろうとしたところ、逆に永久に身体を乗っ取れなくするなんて脅されて坊主の手に渡ったんだよ。』
話長いよ…それよりもそろそろ身体返してくれない?
『あの韻竜の嬢ちゃんがその場を見逃す代わりに坊主の身体でとあることをしたら許してくれるからな。悪く思うなよ。』
裏切り者!永久にシルフに従ったことを後悔させてやるから覚悟しておけ!
『おお、怖い怖い。』
フォルサテの作った液体の正体は確かシェフィールドによると王水というらしく金すらも溶かす超強力な酸…らしい。
『…俺はお前を助けたんだから五分五分な?それでいいだろ?』
地下水は僕の有無を確認せずにシルフの近くまで飛んだ。
「シルフ~っ!」
そして僕の身体はシルフに抱きつき、僕の舌がシルフの口の中へと入りディープキスをした。
「あぁぁぁっ!?」
キュルケごめん…これもそれも地下水が悪いんだ。後で〆ておくから信じて。
「シルフ、僕のことをどう思っている…?」
これは拷問だ…恋人の前でこんなことをさせられたら拷問よりもキツイよ。
「もちろん好きさ。」
シルフはそう言って僕を押し倒した。
「僕も大好き!」
そして僕の身体は勝手に動き、シルフへと抱きついた…終わった。
「このホモ共が!!」
ゲシッ!
意外なことにそれを救ったのはルイズでシルフの顔を蹴っ飛ばした。
「人の恋路を邪魔するなんていい度胸じゃないか?」
シルフはゆらりと立ち上がり、ルイズを見る。
「あんたバッカじゃないの!?」
「バカはお前だろう?どこからどう見てもいちゃいちゃのラブラブカップルじゃないか?それに私は女だ。」
「それがバカだって言っているのよ!私の目は誤魔化されないわ。あんたといちゃいちゃしていたタバサの目はまるで死んでいた!普通なら生き生きとしている物よ!例えばキュルケと話している時なんかそうよ!」
ルイズ…そこまで僕のことを見ていたんだね。でも目が死んでいたのはキュルケに嫌われたと思ったから…シルフの舌が嫌だった訳じゃ…って僕は絶対に二股なんかしないよ!
「おそらくあんたは主人であるタバサに好かれたいが故に何か細工をした…その細工は…」
ルイズがそう言った瞬間巨大なゴーレムが出てきた。
『おいおい、ありゃ噂のフーケじゃねえか?裏世界で働いている人間がこうもサクサク出てくるのは驚きだね~…』
…地下水、持っている片手だけを操作することは出来る?
『もしかして二刀流でもやる気か?』
そう、フーケを捕まえる義務が僕にはあるしね…
『まああんまりバカみたいに使えないぞ…それは覚えておいてくれ。』
了解!
「ジャベリン!」
僕はゴーレムの足に当たる部分を攻撃し、バランスを崩そうとするが中々上手くいかない…
「嘘…フライをしたまま魔法を唱えているわ!」
キュルケもルイズも驚いていた…まあ当然だよね。通常フライを唱えたまま魔法は唱えられない。だけと僕は地下水によってそれが可能になっている…今度から杖剣にしてみるかな?
「ぐっ…!?」
ジャベリンを放つと魔力を大きく持って行かれ、僕は少しふらついた…これが二つ同時に魔法を使うデメリットか…とんでもないな。
「タバサ!危ねえ!」
サイトの声で僕はゴーレムの方に集中しなおすとゴーレムが僕を掴み掛かろうとしていた。
『一旦フライを解くぞ!下以外逃げ場所はねえ!』
地下水はフライを解き、僕は真っ逆さまに落ちた。
「ほいさっ!」
シルフとエルザが僕を助け、僕はそれに跨がろうとしたが…
「あ…」
僕は足を滑らせてしまい落ちた…なんで肝心なところでドジ踏むの?
「その首貰ったぁっ!」と言わんばかりにゴーレムが僕を握り締め、僕は圧迫されていった。
「がぁぁぁっ…!ぐっ…」
僕は必死で振り解こうとするが中々離れない…
「う…」
僕の目の前が真っ暗になった。
〜翌日〜
「ん…?」
見慣れない天井だ…などと言いたかったけどそれは出来なかった。手首足首は縛られ口も轡を嵌められて喋れない…多分これはフーケの仕業だろう。フーケも変態だったと…僕の頭の中に入れておいた。
「おはようございます、ミスタ・タバサ。」
そう言ってやってきたのは学院長の秘書のロングビルだった…
「なんで私がここにいるか知りたそうですね?フフフっ!」
ロングビルは僕が着ているゴスロリのスカートをめくり、パンツを脱がした。
「さて、宝物庫にあった宝とミスタ・タバサの童貞は奪えませんでしたが種は頂こうかね?」
ロングビル…いやフーケは笑ってそう言った…