そんなこんなで広場に出て来たのはいいけど…
「タバサァ~…」
スリスリ
キュルケが真昼間から酔っ払い、僕の顔を擦る。そんなに酒飲んで大丈夫なの?
「暑い…」
キュルケの体温が高いせいか抱きしめている僕を暑くさせる…
「そう~?私はタバサが冷たいから心地いいわ~…」
酔っ払いは嫌いだ…口は臭いし、悪い意味で暑苦しいし…
「もう!」
牛のようにキュルケは声を出すと僕にのしかかった。
「へぶっ!?」
僕はキュルケの体重に逆らえずにそのまま倒れた。
「タバサァ…」
キュルケはハァハァと息が荒くなり、欲情しているのがよくわかった。この体勢から欲情しているということはつまり…僕が履いているスカートの中に手を入れて来た。
「ストップ!ストップ!キュルケ、この場でこれ以上はマズイよ!!」
キュルケは完全に酔っ払って僕の言うことなど無視してパンツを脱がそうとした…
「ぐえっ!?」
女らしくない悲鳴を上げ、キュルケはその場に倒れた。
おそらく今のはヴィリエが放った魔法がルイズの使い魔に当てようとしたけど使い魔が避けてキュルケに当たったって所だろうね。ラッキーにも程があるよ…
「ちょこまかとうるさい奴だ。」
あれは…ジャベリン!?ヴィリエがそんな魔法を使うなんて…でもそれは失敗だよ。ジャベリンは通常、竜などといった的がデカイ敵に使う魔法…僕のように任務を経験している訳じゃないんだし使い魔に当たる訳がない。当たったとしてもオーバキルで死んで問題になる可能性だって否めない。
「こんなデカイの当たるかよ!」
当然使い魔は避けてジャベリンは地面に突き刺さり魔力の無駄となった。
「エアハンマー!」
今度はエアハンマーで使い魔を叩きに行った…
「バーカ!」
使い魔はそれも避けてヴィリエに徐々に迫る…がそれを許さないのがヴィリエ。
「バカは貴様だ!」
罵倒しながらもしっかりと魔法を使えるあたりヴィリエは器用になったけどそれでも隙が多いよ…
「ほらよっ!」
使い魔が足払いをしてヴィリエを転ばすとヴィリエは杖を落とし、決着がついた。
「まだだ!」
ヴィリエは杖を手に吸い付かせるように持ち上げると謎のスペルを唱えた。
「これはタバサ用に作った魔法だが仕方ない。行け!」
作ったって…ヴィリエも相当やるね。休みの間誰かに鍛えられてたの?
「危なっ!」
エアハンマーによって砕かれたジャベリンの氷がヴィリエの操る風によって使い魔に襲いかかる。しかも破片状だから中々防ぎたくとも防げない…上手い手だ。近距離はともかく遠距離なら強い。
「くそったれーっ!」
使い魔が愚直にヴィリエに突っ込み、ヴィリエはエアハンマーを放ち勝利を収め…
「うおおおぉぉぉっ!!」
収められなかった。その理由は使い魔がエアハンマーを受けてもヴィリエに突っ込み続け、懐に入ったからだ。
「バカな!?」
ヴィリエも僕も驚いている…まさかあんな手でやられるとは思わなかったからね。
「魔法を上回る純粋な強さ!それこそがパワーだ!!」
そして使い魔はヴィリエの腹に殴った。
「がふっ!?」
ヴィリエはくの字にして胃液を吐いた…汚い。
「オラオラオラオラ!」
そして使い魔はヴィリエをボコボコに殴り杖を奪ってそれをヴィリエの顔に叩きつけてヴィリエを気絶させた。
「ふーっ、ふーっ!」
使い魔はまだ興奮しているのか息が荒くゆっくりと落ち着かせていた。
「こんのバカ犬~ぅ!!」
その場にはいなかったルイズが駆けつけ、問答無用でラリアットで使い魔にアタックした。
「げふっ!?」
いや避けられるでしょ?ヴィリエの魔法を避けれたんだから…
「皆さん、うちの使い魔がご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。」
ルイズはそそくさと謝り使い魔を引きずり去ってしまった。
「何このカオス…」
僕もレビテーションでキュルケを持ち上げ、キュルケの部屋に置いて自分の部屋に戻りムノーブルーから渡された手紙を読むことにした。
【7号、任務を遂行して貰う。その内容は土くれのフーケを捕まえ、ガリアに引き渡せ】
結構無茶言うなぁ…フーケの情報はほとんどない。罠を仕掛けておびき出すしかないか。
~数日後~
「最後の日に…こんな服を着て街へ来るなんて…」
数日間、キュルケの着せ替え人形となり今日が最後の日となった。当然キュルケは最後ということで僕に可愛らしくフリルたっぷりの水色のゴスロリ服(モット伯案、製作者タバサたんを愛する会一同)を着せてキュルケは大満足していたが街へ行こうなどと言って僕を無理やり街へと来させていた。シルフもエルザも同行中である。
「ご主人…」
シルフに助けを求めてもうっとりとしていて助けにならずエルザを見ても…
「タバサちゃん…大好き。」
エルザは僕に抱きつき、寝ていた。その様子からすると仲の良い姉妹(僕の見かけ上兄妹とは言えない)のように見えた。
「ん?あれは…」
キュルケが何かを見つけ、僕もそっちを見るとルイズとその使い魔が買い物をしていた。
「いい事考えちゃった…」
キュルケは何処ぞの悪代官のような笑みで僕を見るとエルザがキュルケと目を合わせアイコンタクトを取った。
「タバサ、向こうに行くわよ。」
向こうってのはつまりルイズ達の元の事だ。僕は拒絶しようとしたがエルザが飛び降りて僕の手を掴んだ。
「タバサちゃん、行こ!」
エルザは僕の手を引っ張り、ルイズ達の元へと誘導した。吸血鬼の力にはかなわず僕は引きずられた…こいつら仲良いんじゃない?
「さすがキュルケ…わかっている!」
おいコラ!シルフ後でお仕置きしてやるからな!覚えてろ!!
「けっけっけっけっ…」
もうヤダこいつら…
「ルイズー!」
ルイズはキュルケを見て嫌そうな顔をした…まあそれが常識だよね。
「ツェルプストー…あんたなんでこんなところにいるのよ。」
ルイズがツェルプストーと言う時は大体不機嫌な時だ。更に不機嫌な時だと野蛮人やゲルマニアンなどに変わる。
「ちょっとね。それより何をしているのよ?」
「あんたに言う義理はないわ。」
「もしかして~もしかしてだけど~…彼に惚れちゃった?」
キュルケはリズムに乗ってルイズをからかった。
「馬鹿言うんじゃないわよ!誰があんな変態に惚れるもんですか!」
ルイズはそう言って使い魔を指差したのでそちらを見ると…彼は訳のわからない服を見て「うえっへっへっ…」などとニヤついていた。確かに変態だ。
「あらあれくらいならタバサの服に限ってならやるわよ。」
もうだめだ…キュルケとは縁切ろうかな…?
「あんた少しは常識を持った方が良いんじゃないの?」
全くその通りである。
「何よ…ゲルマニアンジョークがわからない人は出世出来ないわよ?」ゲルマニアンジョークって何!?
「ふんっ!サイト、そんな変態行為はやめて武器屋にいくわよ。」
使い魔…サイトはルイズに引きずられて行った。
「後1分だけ~!」
「行くわよ!」
ルイズは有無を言わせずにサイトを引きずった。
「はい…」
サイトは返事をして大人しくなった…最初からやれよ!
~武器屋~
「ここは貴族様の満足いくようなものはありませんぜ。」
僕達はルイズと同行することにして武器屋へと着いた。
「客よ。こいつに合う武器を持ってきて頂戴。」
ルイズはそう言ってサイトを指した。見た目は隠れイケメンの普通の男子…嫉妬してしまうのは何故?
「これはすみませんでした!しばらくお待ちくだせえ!」
店主はそう言って奥へと入って行った…僕はそれまでの間何か良い武器がないか探してみた。
「…何?」
片刃の剣を見つけ、それを手に取り鞘から取り出すと…
「よう!」
ピシャン!
僕は思い切り剣を鞘に収めた…今の声どこかで聞いたことあるけど気のせい、気のせい…あれは槍だったし絶対に剣になるとかありえないし…
「ん?そいつは…日本刀じゃねえか。」
サイトが僕の手に持っている剣を取った。
「ニホントウ?」
僕はその名前を聞いた…あれとは違うと思いたいからだ。
「そうだ。俺の所にあった剣なんだがこんなオンボロじゃマトモに切れりゃしねえ…」
そう言ってサイトは剣を鞘から出してみた。
「悪かったな!オンボロでよ!」
「あっ!?てめえ喋るなって言っただろうが!!デル公!!!」
いつの間にか店主が戻って来たのかこの剣を叱り飛ばしていた。
「うるせえ!そんな短気だから店が儲からないんだよ!」
「てめえがいるからだろうが!二束三文で闇の商人に売り飛ばしてやろうか!?」
「上等だ!」
売り言葉に買い言葉…少なくとも客の前ですることではないね。
「店主、この剣買うわ。」
するとルイズがその剣を買うことに決めた。
「へえ…?よろしいので?」
店主は貴族が宝石で装飾された剣が目の前にあるのに買わないことに不思議がっている…まあ見栄っ張りの無能の貴族なら迷わず買うけどね。
「ボロ剣だけど錆を落とせばなんとかなるでしょうし、使う本人がいいっていうんだから良いんじゃない。」
錆を落とせは確かに良い武器になるのは違いないけど僕は気が進まない。
「それなら50エキューでさ。本当なら100エキューと言いたい所なんですが…迷惑をかけたお詫び代として半額にさせてもらいます。」
「そ。それじゃ帰るわよ。サイト。」
「おう!」
「おい!勝手に…驚いた…使い手か?」
デルコウの声が聞こえ、僕も店を出ようとしたが…
「ねえ店主さん…それ300エキューで売ってくださらない?」
キュルケが店主に色仕掛けをして装飾剣の値引きをしていた。
「おじさん私からもお願い。」
エルザァァァ!?なんで君も上目遣いで値引きしているの!?シルフも不安になってきた…シルフは…流石にやらないか。それでこそ僕の相棒だよ。
「店主、これを買いたい。」
そう言ってシルフが取り出したのはナイフ…?
「それでしたら100エキューです。」
店主は店主らしい顔になり、それを売った。
「これで良いか?」
シルフは袋から金貨を取り出してそれを渡した。そういえば最低限のお小遣いしかやっていないのにシルフはどうやって稼いでいるんだ…?この前口に血がついていたのと関係がありそうで怖い。
「毎度!」
店主は上機嫌で二人を見ると交渉していた。器用な人だ。
「300エキュー♡」
猫なで声でキュルケは迫り…遂に店主が折れた。
「毎度ありーっ!!」
ダメだこの店…終わったな。
ABC「いよいよタバサとデルフが再会。果たしてタバサはどうなってしまうのか…続く。」
タバサ「続く…じゃないよ!なんでここにいるの?!君達は『魔軍司令親衛隊隊長の恋愛』の後書きコーナーでしょ!?」
A「お祝いですよ、お祝い。この小説が俺達の出る『魔軍司令親衛隊隊長の恋愛』のお気に入り件数、感想数ともに超えたからお祝いに来たんですよ。」
B「そうそう…お祝いとしてクロスオーバーをすることにしたんだよ。だけど流石に本編に出るわけにもいかないし後書きでクロスをやったって訳だ。」
C「要望があればやりますよね!」
ABC「おーっ!そういう訳でみんな!作者の活動報告のアンケートに答えてくれ!」
タバサ「とにかく帰れ!」
ABC「次回もお楽しみに!」