タバサのTS物語   作:ディア

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第21話

~夜~

それから数時間が過ぎ、夜となり…シルフがマゼンタさんの死体を偽造し、グールとなったアレクサンドルを「シルフ風竜拳!」などとほざいて拳一つで殺している一方、僕はエルザに連れられこの村の特産品、ムラサキヨモギの場所に来ている途中だった。…シルフが拳一つで解決してしまうのは突っ込んではいけない。

 

「お姉ちゃん…その口笛どんな歌なの?」

僕の口笛を聞いてエルザは首を傾げながら聞いてきた。

「魔除けの口笛だよ。これで吸血鬼に襲われるなんてことはないから大丈夫!」

僕は僕本来の言葉で子供を安心させるような言葉を言った。

「ふうん…あ、着いたよ!」

エルザが指を指すとムラサキヨモギとは思えない程桃色の草が生えていた。

「驚いた?ムラサキヨモギはね、生えている時と土から離れてしばらく経つ時の色が違う色になるのよ。好きなだけ摘み取ってね!」

「エルザちゃん、こっちにおいで。」

僕はそう言ってエルザを近寄らせるとムラサキヨモギを使って花の輪を作り、それをエルザの頭の上に乗せた。

「はい、可愛いエルザちゃんにプレゼントだよ。」

僕はエルザを頭を撫でてあげた。

「お姉ちゃん大好き!」

エルザは僕に抱きつき…僕の股間を握った。

「ひゃうっ!?」

僕は思わず声を上げてしまい、みっともない姿を見せてしまった。

「あはっ♡やっぱり…お姉ちゃんはお兄ちゃんだったんだ。」

エルザの顔は紅潮しておりエロさ満点(といっても幼女なので全然興奮しない)の顔で僕のパンツを脱がせ、僕の息子がポロリと出た。

「このおち「チェストー!!」げふっ!?」

顔をピンク色にしたエルザは僕の息子を見て感想を述べようとした瞬間何かに蹴っ飛ばされ、エルザはぶっ飛んだ。シルフにしてはちょっと華奢だし…誰?

「久しぶりだね、シャルロット。」

…12歳の誕生日会の時の服装をしたお父様だった。

「お父様…?」

僕は思わず変態ではなくお父様と呼んでしまった。何故そう呼んだのかは助かったからだろう…

「さて、僕のシャルロットを襲ったからには覚悟は出来ているんだろうね?」

その威圧感は間違いなく本物だった。つい最近までのイザベラお姉ちゃんのような柔い威圧とはまるで違う…まさしく王者の威圧だ。

「うぐっ…ひぐっ…」

その殺気にエルザは完全にビビって涙目になっていた。側から見れば間違いなくお父様が悪者に見える。

「ようやく見つけたぞ…!シャルル!」

そう言って現れたのはムノーブルーだった…

「あ…」

そして僕はスカート越しに息子ぶら下げた状態でムノーブルーと目を合わせてしまった。

「ひぃゃぁぁぁぁーっ!!?」

僕はこれまでにないほど大声を出して悲鳴を上げた…死にたい…

 

「大丈夫かい?ご主人?」

しばらくしてシルフが現れると僕を抱きしめ、パンツを履かせて泣き止ませていた。

「うん…ごめんね。」

僕は泣き止むとシルフに謝った。

「そもそも問題はこのエロリババアが原因だからお仕置きをやっておくよ。」

エロリババアって…シルフ、それを言ったら君は一体何さ…なんでもないから殺気抑えて!

「その件についてはもう大丈夫だよ、シャルロット…僕が制裁しておいたからね。」

お父様がそう言って目の回したエルザをシルフに渡した。

「さて、これで一件落着したことだ…シャルル!貴様を逮捕する!」

ムノーブルーがそう言ってお父様の腕を縄で縛り上げた。

「わっ!?ちょっと兄さん!シャルロットともっと話したいんだけど!」

…なんでお父様はムノーブルーを伯父様って言っているの?そこが変態だということ以外で理解できない点だ。

「問答無用!」

そう言ってムノーブルーはお父様を気絶させた。

「さて、シャルロット…イザベラ姫から手紙を預かっている。」

そう言ってムノーブルーは僕に手紙を渡した。

「シャルロット、お前の失態は見なかったことにしておくから安心しろ。」

僕はそれを聞いて真っ赤になって反論しようとするがすでにムノーブルーはいなかった。

「う〜☆」

僕は頭を抱えてしゃがんだ…

「…さ、ご主人様戻りましょうか?」

シルフは顔に鼻血の跡をつけながらも僕に優しく声をかけた。

「うん…だけとエルザはどうする?」

このままだと間違いなく村長にエルザを傷つけられたことを責められて僕の罪悪感が増す…

「それなら私に考えがあるから、ご主人様はエルザを頼むよ。」

シルフの姿はすでになく残されたのは僕と気絶したエルザだけだった。

 

〜翌朝〜

僕はそれからやることがなくなったので男子の制服に着替え、少し仮眠して起きるとエルザがまだ寝ていたのでエルザが起きるのを待っていた。

「う…お姉ちゃん?」

エルザは僕の目を見つめて起き上がった。

「起きた?」

僕はエルザの頭を軽く撫でると気持ち良さそうに笑顔になった。

「おはよう、お姉ちゃん。」

「タバサ。」

「え?」

「僕のことはタバサでいい。」

シルフ以外で普通にタバサと呼んで貰わないと背中が痒くなるしどうしようもないんだよね…タバサって名前はあくまでもビジネスネームだし…

「タバサお姉ちゃん。」

「タバサでいい。」

「タバサお兄ちゃん。」

「…タバサでいい。」

「タバサたん。」

「タバサでいい。」

「タバサお姉様。」

「タバサでいい。」

「タバサお兄様。」

「…タバサでいい。」

「タバサ。」

「ん。」

なんども同じことを言えば諦めるので僕はそれを利用した。…途中でお兄ちゃんとかお兄様とかで迷ってないよ?

「タバサ、これから私どうなるの?」

エルザは不安そうに僕の顔を見つめた。

「一緒に仕事をしてもらう。血なら提供する。」

僕は北花壇騎士団としてのタバサとしての口調に戻してそう言い放った。

「仕事…?それって騎士様のお仕事?」

「そう。」

「夜になったらタバサの血を吸ってもいい?」

「直接はダメ。」

「む〜…まあいいや。タバサの血が吸えるなら。」

「ありがとう。」

僕が礼を言うとエルザは照れ臭そうにして笑っていた。

「えへへ…」

「それじゃ行こうかご主人様。」

そう言ってシルフが竜の形態になると僕はシルフに乗ってエルザをエスコートした。

「トリステインへ。」

僕は簡潔にシルフに命令するとシルフは上空に飛んでトリステインへと向かった。

 

「一つ良い?」

僕はシルフの背中で気になったことを思い出し、エルザに聞いた。

「なあに?」

「なんでわざわざ幼女の血を吸ったの?」

「趣味♡私は女の子が嫌がっている姿が好きなの…タバサみたいな男の娘も好きよ。」

僕はそれを聞いて後悔した。

「シルフ。」

僕がそう言うとシルフは身体をひねり、エルザは真っ逆さまになり落ちた。

「全く…」

まあもっともエルザは先住魔法使えるし、ほとんど意味ないんだけどね。

「キャーッ!」

…まさか飛べないとか?そんなことはないよね?…なんか不安になって来た。

「シルフ。エルザを咥えてあげて。」

「了解!」

シルフは加速すると落っこちて行ったエルザの頭を咥えたまま空を飛んだ。

「酷いよ!タバサ!」

エルザが抗議しているが無視だ。

「ご主人様…なんか咥えているとお腹減ってくるからパス!」

そう言ってエルザをぽいっと僕の手元…所謂お姫様だっこの状態になるように投げた。

「わっ…タバサァ…」

エルザが涙目で僕に迫っているが僕はエルザの顔を押しのけた。

 

そんなアホことをやっている間に時は流れ…トリステイン魔法学院に着いた。シルフ?すでに人間に化けているけどなにか?

「タバサー!」

キュルケが僕を窒息させんばかりに抱きしめた。

「むーっ!」

僕は軽くポカポカと叩いてキュルケから離れるようにした。

「タバサ分も補給出来たところで…その子誰?」

キュルケがそう言ってエルザを指した。

「エルザ。こんな姿でも僕の仕事仲間。」

エルザは僕よりも小柄で見かけは幼女その物なんだよね…だけど中々の役者だ。

「仕事仲間…ってどんな仕事仲間よ。」

「騎士。」

僕は率直にキュルケにいった。

「貴方騎士だったの…?」

「そう。」

「とてもじゃないけどそうは思えないわね〜…」

「確かにキュルケに何回も主導権を握られたけど…純粋な戦闘となれば話しは別。」

「ふ〜ん…まあいいわ。エルザちゃんって言ったけ?」

「うん。」

「タバサは……ないからね。」

キュルケがこっそりとエルザに耳打ちをしたみたいだけどあまり聞こえなかったな…なんだろう?

「さ、戻りましょう。」

キュルケは僕の手を掴むと学院へと引っ張って行った…

 

〜おまけ〜

サイトとギーシュの決闘の行方はどうなったかと言うと…

「ハハハハ!ほらどーした!?」

サイトが襲いかかって来たワルキューレを受け流しの応用で掴み、踊りながらギーシュのワルキューレを倒して行った…

「せ、制御出来ない!?」

しかし当然ギーシュはサイトに掴まれたワルキューレを操ろうとするが逆にそれを利用されて躍らされていた。

「それじゃ行くか。」

サイトのステップがギーシュに迫り、そしてサイトのガンダールヴの力でパワーアップしたワルキューレの拳が迫る!

「げほぉっ!!」

そしてギーシュはそれを避ける間も無く顔面にあたり、次の攻撃が襲いかかる!

「や、やめ…!」

ギーシュは頭をガードをするが今度は腹にサイトのフックがめり込んだ。

「ぐぇっ!」

そしてギーシュはサイトとワルキューレのダンスに巻き込まれ、ルイズが止めるまで続いた。

「(貴族の恥晒しめ…)」

当然これを見て不快な者はいる。その代表格がヴィリエ・ド・ロレーヌだ。ヴィリエは格下だと思っていた相手に金玉を打たれたことや、そいつにキュルケを寝取られこと、そして今回の決闘でかなり不快な気分になった。

「…つまらん。」

そしてヴィリエはその場を立ち去った。


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