僕の名前はシャルロット・エレーヌ・オルレアン。4歳になった僕はお父様に魔法を教わっているんだけど…
「良いかい?シャルロット…手首はこうしてこう唱えるんだ…」
お父様はやたら僕の身体を触ってくる…お母様は止めようとしないし、これが普通なのかな?
「はぁはぁ…」
お父様の息が荒いけど大丈夫かな…そう思って僕が振り向くとお父様は鼻血を出していた。
「お父様…大丈夫?」
僕はお父様を心配して声をかけるとお父様は笑顔で
「なんでもないよシャルロット…」
といっていたから大丈夫だと思って魔法の練習を再開した。お父様…また息が荒いけど大丈夫かな?
「よう、シャルル!」
この声は…ジョゼフ伯父様だ。陽気で優しい人なんだけど僕に何回か「シャルルには近寄るな。最低限のコミュニケーションで済ませ…」とか言っていたけどお父様は僕に近寄ってくるし、それを回避しようにも何処からともなく現れて、優しく「こんな遠くに行っちゃダメだよ。シャルロット。」って笑顔で注意するから遠ざけるのは諦めた。
「あ、兄さん。今日はシャルロットに魔法を教える日だからちょっと待ってくれない?」
お父様…この調子だと仕事またサボったね…
「お前なぁ…お前がいないせいでどれだけの人が迷惑していると思っているんだ!?」
伯父様の怒鳴り声を初めて聞いて僕はびっくりしてしまい…
「ヒッ…ウエェェェェェェン!!」
僕は男の子なのに泣いてしまった。
「ああシャルロット…泣かないで…」
お父様が慰めるが一度泣いてしまったら止められない…それが僕のコンプレックスだった。
「兄さん怒鳴らいでよ!」
「元はといえばお前の責任だろうが!何なんだこのふざけた理由は!?」
うう~~…なんか鼻かむものないの?服はダメだし…ハンカチは?
「シャルロットが可愛いんだからしょうがないじゃないか!」
あった!僕は1枚目のハンカチで鼻をかんで2枚目のハンカチで涙を拭いた。もう大丈夫だよね…?
「あのな…どこの王族に子供可愛さに仕事をサボるんだ?スクエアの段階に入る魔法の練習ならともかくコモンスペルなら家庭教師でもなんでもよかろう…」
「この日の為に仕事を2倍のスピードで終わしてきたのに不満なのかい兄さん?」
「だからといっていきなり休む馬鹿がいるか!」
それから僕はお父様と伯父様の話を無視してお母様に教わることにした…えっと…レビテーションはこうやるんだね?ありがとうお母様。僕はそう言ってお辞儀をするとお母様も鼻血を出していた…僕も鼻血出しやすいのかな?
「「シャルロット!どっちが正しい!?」」
「ひぅっ!?」
だから僕に振らないでよ!僕はお父様や伯父様みたいに大人じゃないんだから!
「ほらシャルロットが泣くからもう帰ってよ!兄さん!」
お父様は伯父様にそう大声で叫んだ…
「黙れ!お前の……ぶりをうつすならこのまま純粋なほうがマシだ!」
伯父様の途中の声が聞き取れず…何がなんだかわからないけど…お父様を馬鹿にしているのはよくわかった。
「喧嘩しないで!」
僕は大声でそう叫ぶと二人とも収まった。
「チッ、シャルル!今度シャルロットを見て異常があったら俺はお前を殴る!」
「だから喧嘩しないでよ…」
僕の叫びは伯父様に届かずに伯父様はそのまま立ち去ってしまった。
「さ、シャルロット…魔法の練習の続きをやろうか…」
お父様がそう言って魔法の練習の続きを再開した。
「うん…」
僕はそれに頷いた。
1ヶ月後…僕はキチンと練習してロックとアンロック、ライトなどのコモンスペルは使えるようになった。
「じゃあ基本的な魔法は教えたから今度は系統を調べるよ。シャルロット…四系統を言ってごらん。」
「えっと…火、水、土、風の四つです。」
「よく出来たね。シャルロット。」
お父様はそう言って僕の頭を撫でると続けてこう言った。
「その適正…つまりどれが一番出来るか調べるから僕の言った通りやってごらん。」
そう言ってお父様は杖を持ち出した。
「ブレイド!」
お父様の杖から光る棒みたいなものが出来た。白いけどちょっと緑が多い…?
「このブレイドは魔力によって色が変わる…つまり自分の系統の色…火なら赤色、水なら青色、土なら黄色、風なら緑色に変わると言った特徴があるんだ。僕は風が得意だけど他も使えるから白に限りなく近い緑色になったんだ。さあやってごらん。」
「うん!ブレイド!!」
お父様の杖から魔力が飛びたしたのをイメージして僕の杖からも魔力を出す感じでブレイドを成功させた。
「うん上出来だ。緑色にちょっと青色が混ざっているからシャルロットは風が1番得意で水が2番目に得意そうだね。」
僕の得意系統がわかったことでお父様は上機嫌になった…
「それじゃ僕は風と水を中心に教えてやっていくよ。」
つまりそれ以外はお父様以外の方に学んでほしいと…火や土は僕の得意分野じゃない上にお父様も忙しいと思うしね。
「わかりました…お父様。」
僕はそういってお辞儀をするとお父様の目が一瞬焦点合っていなかったけど大丈夫かな?
「それじゃまずウインドって唱えて…僕が見本を見せるから。ウインド!!」
お父様がそう言うとお父様の3倍近いデカイ木にめがけてウインドを放った…
ブォンッ!!ガサガサ…
あんなデカイ木を揺らすなんて…凄いや…僕のもあんな風になれるのかな?
「どうだい?イメージはついたかい?」
お父様はそう言ってニコリと笑顔で言う。
「うん…ありがとう!お父様。」
僕は大体のイメージが出来たのでお礼を言った。
「こらこら…まだ早いよ。そうだね…初めはこのろうそくの火を消してごらん。」
お父様はそう言ってろうそくを取り出して台の上に置いた。
「さ…やってごらん。シャルロット。」
さっきのお父様のウインドみたいに木を揺らすほど強力な風をイメージして…
「ウインド!」
僕がそう唱えた時、突風が吹き、ろうそくの火は消え、その延長線にあるお父様が少しヨレた。
「…凄いぞ!シャルロット!」
お父様がそう言って僕を抱きしめた…ちょっと苦しいな。
「まさか僕のウインドを見せただけでここまでできるとは思わなかった。」
お父様はそう言って僕を褒めるけど…僕はちょっと不満だ。
「でもお父様を少し動かした程度で…お父様にはまだまだ遠く及ばないよ…」
そう…僕はお父様を少し動かした程度であんな大きな木は動かしていない…だからちょっと悔しかった。
「大丈夫!練習すれば僕よりももっと凄くなるさ!僕ですらこんなことはできなかったんだから。」
お父様はそう言って僕を励ました…
「練習すれば僕も出来るようになるのかな…?」
僕はそう言ってお父様に尋ねた。
「なるさ!いっぱい練習すればするほど強力な魔法が使えるようになった僕が言うんだから間違いないよ。」
お父様を信じよう…お父様もそうやったんだから僕もそうする。
「うん…それじゃ練習する。」
「その前に…水の魔法の基本の凝縮をやろう。凝縮も見本を見せるからきちんと見るんだぞ…」
凝縮っていうからには何が縮んでいるのかな…?
「凝縮!」
お父様がそう言うと屋敷一つ覆うほどデカイ水の玉が出来た。
「それじゃやってごらん。イメージは雲の中にある雨を集めて小さくする感じだよ。」
雲の中にある雨を集めて小さくするイメージ…雲は雨が降るからそれを一つにして…
「凝縮!」
僕がそう言うとお父様を覆うほどの水の玉が出来た。
「シャルロット、偉いぞ。」
お父様はそう言って僕の頭を撫でた…なんか恥ずかしいな。
結局僕はその後、その二つの魔法を練習するように言われて僕の魔法の特訓が始まった。