~トリステイン魔法学院~
「決闘だ!!」
どうしてこうなった…
それは数十分前のことだった…
お風呂の時間だったので僕は腰にタオルを巻いて入った…するとそこには
「どうだ!この僕、ヴィリエ・ロレーヌの息子はお前たちの息子ごときが敵うはずがないだろう!!」
…下半身のとある器官の大きさを比べていた。…流石に下品すぎる。
周りはなんか「ロレーヌの息子、すげぇ~…」「デカすぎる…」だの皆が絶望していた。
そんな景色をみてしまい、頭痛くなった僕は立ち去ろうとしたが…
「待て!」
するとヴィリエ・ロレーヌが僕に声をかけた。
「お前、まさか風呂にタオルを持ち込む…それも腰に巻くという外道極まりないことをやるんじゃないよな?」
なんか変だよ!?それ!?
「お前も学院の男子生徒なんだ…女っぽいけど…」
取り巻きがそう言って僕の顔を叩く…
「もしかして…ペチャパイ女か?」
取り巻きその2がそう言うと全員が笑った。
「はははっ!そいつはいいや!おうお前ら、こいつのタオル取ったれや!」
取り巻きその3が生徒全員にそう言って僕を捕まえて、僕のタオルを取ろうとする…
「やめて!」
僕はそう言ってタオルを抑えるけど彼らにとっては僕の息子の方が気になるわけで…
「はははっ!お前が男か女か証明するいい機会じゃないか!せーの!」
そう言って取り巻き達が僕のタオルを取ろうとするけど暗部の中では力がない方とはいえ仮にも暗部である以上は僕の方が力はある…その為生徒如きの力じゃ離れない。
「ならくすぐれ!」
生徒達のうち数人は僕の脇をくすぐるけど無駄…前に拷問に耐える訓練とイザベラお姉ちゃんに言われて少しでも笑ったらハシバミ草を目の前で食べられるという罰ゲームとお尻に蹴りを入れられるという罰ゲームがあった…しかも一回笑うたびに。おかげで表情筋は固まったままになって笑うこともなくなった…言ってて悲しい…
「…なら後ろからだ!」
後ろから殺気を感じず僕は後ろからタオルを外された…
「「「…」」」
取り巻き達とヴィリエは絶句した。僕って身長は男女混合でも一番小さい癖にアレはでかいんだよね…だから見せたくなかったのに…
「…タオルは返して貰う。」
もう僕はこんな頭痛のするところに入りたくないからとっとと出て行くことにした。
そして数十分後…
「貴様!よくも僕に恥をかかせたな!」
さっきの男子生徒ことヴィリエがそう怒って僕につっかかる…ウザい…
「先につっかかってきたのはそっち…僕は何もしていない。むしろ被害者。」
「やたらとその根暗な雰囲気がウザいんだよ!その癖息子はでかいし…決めた!」
そしてヴィリエは驚くべき言葉を発した。
「決闘だ!」
そして冒頭に戻る…
そんなことを言われても僕の答えは決まっている…
「断る。」
だってね…こんな馬鹿げた理由で決闘するくらいなら普通に本を読んだ方が楽しい。
「はっ…どうやら息子の方はデカくとも誇りは息子よりも小さいってことか。」
バカバカしい…そんな挑発に乗るほど僕は単純ではない。
「どうせお前の親達も大したことないんだろう?」
あの変態達は性格はあれだけど魔法はかなり使える…
「どうしたチビ助?僕が怖いのかい?」
こいつは今なんて言った?…チビ助…チビ助だって…!?僕のコンプレックスを刺激するなんて…決めた。徹底的に〆る。
「…」
僕は無言で立ち上がって杖を持った。
「ははっ…やっとやる気になったな。」
ヴィリエはそう言って杖を構える…
「エアハンマー!」
風メイジか…となれば相手を僕だと仮想して戦ってみよう…
「エアハンマー!」
僕はカウンターの要領でヴィリエを叩きつけた…
「グフッ!?」
ヴィリエは対応出来ずに壁まで吹き飛ばされ、壁にぶつかると血を吐いた。
「ウインディ・アイシクル!」
今回は氷の矢ではなく丸い弾にしておいた…決闘は所詮決闘。命のやりとりまではしない…
「うぎゃーっ!!」
あ…ミスった。ヴィリエの股間に勢いついた弾が当たって、ヴィリエはすぐさま杖を離して股間に手を添えた…合掌。
「…僕の勝ち。」
僕は勝者宣言をして一応医務室の先生にヴィリエが股間を事故で打ったことを連絡しておいた。…大丈夫だよね?後で謝っておこう。
「へえ~結構えげつないわね。」
すると入学式前にからかってきた彼女キュルケが目の前に現れた。
「あれは事故。」
僕だってそんなことをしたくてした訳じゃない…ヴィリエにやってしまった罪悪感がまだ残っているから僕は本を読んで罪悪感をなくそうとするけど…
「人の話の最中は本は読まないのがマナーってものよ?」
そう言ってキュルケに僕の読んでいた本を没取された…
「…」
僕はそれに頷いた。早く本を読みたいからだ。
「そう…それじゃ私にちょっと付き合って?」
キュルケはそう言ってウインクをして僕の手を握った。
「わかった。」
僕は本を取り返す為に頷くしか選択肢はなかった。
キュルケは僕の部屋に堂々と入り込み、図々しくベッドに座った。
「ねえタバサ…もしよかったら私と舞踏会で踊らない?」
…?何故キュルケはそんなことを聞いてくる?相手がいない…なんてことはない。むしろ誘われるくらいには人気があると思う。
「舞踏会には興味ない。」
舞踏会にでても僕は暗部である以上は途中退席しなきゃいけないし、僕が踊ると男女逆転させられて惨めになるから興味はないと答えた。
「そう…それよりも僕なんて一人称やめて一人称を私に変えた方が良いんじゃない?」
それ変えると僕は完全に女の子みたいになるから絶対にやらない。
「やだ。」
僕は簡潔に答えるとキュルケは本気じゃなかったみたいで頷いた。
「まあ、人それぞれ個性ってものがあるしそれは強要しないわ。だけど一人称を私に変えてくれたらもっと付き合っても良いのよ…?」
キュルケはそう言って膝を曲げて徐々にスカートの中身をあらわにする…
「面倒。」
僕は確かに男の子だけど読書家である方が強いのでキュルケと付き合うよりも本を返して貰う方が重要だ。
「…貴方本当に殿方?私の誘惑に敵わなかった殿方なんていなかったわよ?」
キュルケはそう言って僕を顔を見つめる
「僕にとっては本は恋人。それに浮気をすることは許されない。」
僕はそれから本を読んで無視した。
「本は恋人…ね。私も少しは読んでみようかしら?」
キュルケはそう言って退室した。
それからしばらくして学院行事の一つである舞踏会が開催された…
しかし驚いたことに僕の着る服がなくなっていた。
「…何故ドレス?」
実家…というかガリアから届けられたのはフリルを大量につけたドレスで決して男の子である僕が着るような服ではない。そして付いてきた手紙にはこう書かれていた。
『私の愛しいシャルロットへ。舞踏会があると聞いてプレゼントを用意しました。私が幼い頃に着ていたドレスをあげますのでぜひ着てくださいね。貴方の母より♡』
あの親かぁぁぁっ!?牢獄にいるのにどうやってここに届けた?!…ん?もう一つ手紙があるけど嫌な予感しかない…
『僕の愛するシャルロットへ。本来であれば僕も出席したかったけど牢屋に入れられている以上、参加することは出来ないのでシャルロットのドレス姿を思い浮かべてオ(R18によりこの言葉は削除されました。)をして待っています。恋人シャルルより。』
色々と突っ込みどころがありすぎて突っ込めない…今日の舞踏会は休もう。
〜おまけ〜
ジョゼフが壊れた理由はシャルルやオルレアン公腐人だけではない。元素兄弟だ。
元素兄弟はかなり優秀な傭兵であるが個性が強すぎる…
元素兄弟の紅一点、ジャネット。彼女の容姿は人形のように可愛らしく、タバサとは違いれっきとした女性なのだが…女性が好きという…所謂同性愛である。そのため暗殺などで女性がターゲットになったら真っ先に飛び込む…
次に紹介するのはドゥドゥー…ドMである。自らに硬化をかけて戦闘を楽しみつつもその一方で傷つけられることを想像するとゾクゾクするらしい…
元素兄弟の中では常識人のジャック。三人に比べたら比較的マシな方だが自分の筋肉を見て楽しむナルシストである…性癖は普通なだけに残念な男である。
そしてダミアン…彼は見た目10歳ほどしか見えないショタだが実際にはその容姿を生かしてショタ好きの女を狩りまくるという外道である。ちなみに元素兄弟の中ではリーダーらしい…
当然彼らを雇っているジョゼフは彼らの被害報告にため息を吐く…
「今度はジャネットか…」
今回はどうやらジャネットが被害を与えたようでジョゼフは猫の手も借りたい思いだった。
「…あの手があったか。」
ジョゼフは杖を持つといきなりサモン・サーヴァント…つまり使い魔召喚の儀式を始めた。
「我が名はジョゼフ・ド・ガリア…我を救いし使い魔を召喚せよ!」
そして出てきたのは…見慣れない服を着た黒髪の女性だった。
「(おおおおっ!?早速悩みを解決しそうな使い魔が降臨したぞ!!)」
ジョゼフはテンパる…ジャネットの女性好きを治すには女性しかないと思っていたからだ。
「あ、あのここは…?」
その女性はジョゼフに召喚されたことを理解出来ずにパニックになっていた…
その隙をジョゼフが逃がすはずがない。ここで逃がしたら自分だけが苦労することになるからだ。ジョゼフといえどもやはり人だった…そしてジョゼフはコントラクト・サーヴァントを唱えて女性にキスをして契約を交わした…
「えっ!?ちょっ…!?痛ぁ!?頭痛いっ!!」
当然シェフィールド(ジョゼフが勝手に名前をつけた。)は頭を抑え、額に文字が刻まれた…勝手に呼び出され、勝手に契約され、ジョゼフの変態達の始末に巻き込まれたシェフィールドに合掌…