オレ、Jokerになります。[凍結中] 作:fateplanet
「と、とりあえず、この状態で兄さんはやめてくれ、うん」
「りょ、了解」
思い切り変身して飛び出してみたはいいものの何故かその姿はオレが思い描いていた仮面ライダージョーカーの姿ではなく、俗にいうライダー女性化状態、そう、『ライダー少女』と呼ばれる姿であった。
なぜこうなったのかはオレには分からないが、どうやら身体能力強化は存分に発揮されていることはアレをブッ飛ばせれたことを見るに確定的であろう。
「ぐ、ぐぅ。よくも横から攻撃を…!戦士として恥ずべきものではないか!!」
どうやらアイツは健在であるらしい。
「知るか!変態から少女守って何が悪い!」
「ぬぅ……」
これで黙るのかよ!
「総二、お前は自分から前に出たんだろう?だったらいつまでも恐れてるんじゃダメだ」
「にい、じゃなかった…ねえさん」
……ここでそういう風に言うのか?
「わかった。俺だって守りたいから前に出たんだ!」
「そっか。いけるな?」
「おうとも!」
ここからが本番だ!
総二が返事をするとともに前に剣を構えて走り出し、その後ろからオレが続くという形で相手に肉薄していく。
「ペチッてしてやるぜ!
「うおう!」
上段からの斬撃を避けられはしたが、剣から噴き出た炎がリザードドーパント(仮称)の頬を斬撃の形に焼く!
「おのれ!はぁあっ」
「させるかよ!」
「ぐおっ!」
総二の剣を避けたドーパント(仮称)は何やら光線を出そうとしていたが、ここには2人いることを忘れているようだ。
アッパーカット気味にドーパント(仮称)の顎を殴り飛ばし技の発動を強制的に止めてやる。
攻撃が来るとわかっていて、素直に待ってやる必要性は全くないのだから。
衝撃をうまく逃がしたのだろう。弾き飛ばされた奴は宙で一回転し離れた所に着地した。
こっちが近距離しか出来ないことが分かったのだろう。わざわざ光線という遠距離技があるのだから、近づいてくる必要はないということであろう。
「ふっ……恐るべき奴らよ!久方ぶりに戦士として高揚するではないか!我はアルティメギルの切り込み隊長、リザドギルディ!少女が人形を抱く姿にこそ、男子は心ときめくべきという信念のもと戦う者よ。聞こう!貴様ら戦士の名は!」
な、名前だと!?本名は名乗れないしなぁ……。
そんな風に悩んでいたら横のは自然に答えやがった!?
「―――――テイルレッド!」
テイルレッドて……だったら、オレもそれを真似て
「テイルジョーカーだ」
「しかと聞いた!ツインテール美しき戦姫達よ!」
「別に覚えてなくてもいいぞ。お前はここで倒れるんだからな」
「ほう?大口を叩くな」
「大口なんかじゃないぜ!俺とジョーカー、二人そろえば怖くなんてねぇ!」
実際、オレと総二のコンビは無敗なんだ。しかも強化されて同じ土俵で戦えるなら
「負ける気なんかしねぇ!」
「それにツインテールを奪うような奴らはゆるせなぇ!!」
「ふん、我らにとってツインテールは手に入れることこそ愛よ!ぬぅぅぅううう………ふん!!」
そう力を込めたリザドギルディの背に生えた無数のヒレがこっちに向かって飛んでくるではないか!
よく見るとワイヤーのようなものでヒレとリザドギルディは繋がっている。ファンネルってことかよ!
「ジョーカー!ここは俺に任せろ!」
そう言って前に総二―――テイルレッドが前におどり出す。
「うおぉぉおおおおっ!」
こっちに向かってくるヒレを剣とそこから吹き出す炎をとで確実に斬り落していくレッド。
しかし次々と向かってくるそれらにレッド1人では多勢に無勢。ならばどうするか?答えは決まっている。
「根元を砕く!」
「なに!?」
レッドに夢中だったのであろう。近づいてくるオレに気付くことはなく、簡単に接近することが出来た。近づいてる最中、オレはメモリを抜き取り、右腰にあるスロットに再挿入し直し、叩く!
《Joker!MaximumDrive!》
その音声が響く中オレの右拳に紫炎が宿る。
「ジョーカーパンチ!!」
そして拳を思い切り振りぬきリザドギルディに叩き込んだ!
「ぐ、ぐぅう……見事な、一撃だ……し、かたない、顔とツインテールは傷つけぬようにするが多少のけがは覚悟せい!」
「おいおい、マキシマム喰らってるんだぞ?タフだな」
やっぱり、タメが少なすぎたのだろうか。
それでも十分なダメージは与えられたはずだ。こうなりゃもう一撃
「オーラピラー!!」
もう一撃、喰らわせようと思ったところで球体の炎がリザドギルディに当たりその身を拘束した。
その発生源を見るにどうやら、レッドの拘束技であるようだ。そうなれば、次は……
「やれぇ!レッド!!」
「
剣が展開し先ほど以上の炎を吹き出していく。そしてレッドは一直線にリザドギルディに剣を叩き込む!
「グランド!ブレイザァァァアアアッ!!」
「ぐわぁぁぁぁあああ!!!」
弾ける熱波とリザドギルディの全身からの放電。その二つの光の中で振りぬいた剣を収めるレッド。
「ふ、ふはははは!二色のツインテールに頬を撫でられ果てる…!男子の本懐ではないか!」
「ちょっ!?」
「待て、おい!」
「さらばだ――――――!」
そして爆発四散した。しかしオレ達は言いたいことがあった。
「「勝手に変な妄想して果てるなぁぁぁぁああああ!!」」
なんてはた迷惑な最後だったんだ……。
などとオレが思っている間にもレッドは例の輪っかを破壊していた。
あの輪っかを破壊すると、光の粒子がツインテールを奪われた女性たちに降り注ぎ、髪型が元のツインテールへと戻っていく。
どうやら、トゥアールさん達の指示らしい。
通信の手段がないオレには羨ましい限りである。
………なんとなく、聞いてなくて正解だったんじゃないか、と本能が囁きかけてきたが。
と、レッドが何やらひし形の宝石を手にしていた。
「レッド、それは?」
「俺にもさっぱり…あれ?」
と、籠手の部分が展開し、そのひし形を収納してしまった。
「これもテイルギアの力なのか?」
「さぁな」
「てか、ジョーカーもギアを貰ったのか?」
「オレのはそうじゃないんだけどな。まぁ、後で話すさ」
「絶対だからな」
……中身、弟ってわかっててもこの幼女可愛いな、おい
となんだか走っちゃいけない道に行きそうになってたその時
「あの……」
よく知った声に呼ばれた。
「!?」
「なんだ」
そう、真後ろからかけられた声の主は神堂慧理那、その人だった。
「途中から拝見させていただきました。助けていただきありがとうございました」
「え、と、その…」
「えーと」
どう返せばいいんだろうか、これは。
「と、とても素敵な戦いぶりでしたわ……私と変わらない方や幼いのに、本当に勇敢で……強くて……わたくし、感激いたしましたわ!」
流石は特撮ヒーロー好きな神堂である。めっちゃキラキラした目でオレ達のことを見てくる。
総二に至ってはどうしたらいいのかテンパってるようだし。
「あの、あなた方は一体……?」
「せせせせ正義の味方です!さ、早く逃げてください」
な、テンパってるだろ?
「また、お会いできますか?」
「貴女がツインテールを愛する限り」
「あまり、会わない方が危険はないと思いますがね。お嬢さん、お気をつけて」
そして頭を下げて逃げていく神堂。それを見送ってオレ達はこの場から離れた。
これが初戦であり、オレ達、のちにツインテイルズと呼ばれるようになる、戦士たちの誕生の瞬間であった。
しかし、なぜライダー少女になってしまったんだろうか………謎だ。