オレ、Jokerになります。[凍結中] 作:fateplanet
「会長補佐、こっちの書類の確認、お願いします」
「あいよー」
「会長補佐、部活申請が来ているんですけど」
「何部?」
「空を飛部です」
「……内容がよくわからないから、内容は?」
「鳥人間コンテストを目指すそうです」
「なら、許可するけど、部活の名前を変更するように連絡しといてくれ」
「了解です」
さて、あのオレが後から頭抱えてしまった告白事件から数日。とりあえず、桜川先生までもらうことは何とか辞退したが、結局生徒会入りは決定事項であったためにオレは生徒会長補佐という任につくことになった。
まぁ、生徒会の皆は優秀だからこそ、オレというものにもわかりやすく仕事を教えてくれ、なんとか補佐としての仕事を見た目上はこなしているようになったのだった。
また、今日は授業終了と共にエレメリアン反応があったそうなのだが、あいにくとオレ達は生徒会の仕事があったために終わり次第あとから向かう手筈になっている。この間にあれだけの啖呵を切ってしまったのだ。エレメリアンが出たからといって仕事をほっぽり出しては行けないだろう。
まぁ、その仕事ももう終わりそうなのではあるが。
「他にはあるか?」
「もうありませんよ。でも凄いですね。数日で仕事を覚えるなんて」
「皆の教え方が上手かったからだよ。そうじゃなきゃこんなに早く仕事を覚えるなんて出来なかったさ」
「お世辞もうまいんですね」
「本心なんだけどなぁ……」
と、今日は雑談をしている場合ではなかったな。
「と、それじゃ、オレと慧理那は用事があるから、お暇するよ」
「はい。わかりました。デートですね?」
「んー、デートじゃないんだよな、これが」
正義の味方をしに行くんだよね。
「照れなくてもいいじゃないですか」
「はぁ、ま、そういうことにしておこうか」
「素直じゃないですね、会長補佐」
「素直じゃないのは男の証だよ。それじゃ、またな」
「はい、楽しんできてくださいね」
どうやらデートで確定してしまっているようだったが……まぁそれはいいか。
「それじゃ、慧理那、行こうか」
「はい!」
と、オレ達が話している間に既に帰る準備をしていた慧理那に声を掛けオレ達は生徒会室を後にし、ツインテール部に急ぐのだった。
………今更ながらツインテール部ってすごいネーミングだよなぁ…。
オレ達が現場(他県のイベントホール。何故か女性が三つ編みにされていた)に到着した時には、エレメリアンが3体いて、そいつ等が1体に合体する光景だった……。
なんじゃありゃ?
「まさかこんなにも早く合体型の敵に出会うなんて……!」
「そうか、合体分離型のエレメリアンなのか!」
そう言う敵は特撮にもよく出てきていたからなぁ……しかもそう奴等ほど厄介な能力を有している場合が多いんだよなぁ。
「さて、今こそ出ていくべきタイミングですわ、ジョーカー」
「あ、ずっと観察してるのかと思ったけどそんなことは無かったんだな。よかった」
「何を言ってるんですか。最高のタイミングで出てこそヒーローというものではありませんか!」
「そ、そーですね」
こういう特撮的お約束になると目が爛々と輝いてるんだよなぁ、イエローは。普段はこうじゃないのに……変身すると途端に露出狂と特撮趣味のお約束を全開にするからなぁ……。あ、お約束は変身前からか。ホント、露出狂だけが問題だよなぁ………。
「……3体に分離できるのがご自慢のようですが、わたくし達、ツインテイルズが5人いることをお忘れなのでしょうか?」
「少なくとも数ではこっちが有利なんだよなぁ、これが」
と、そんなセリフを吐きながらオレ達は物陰から姿を現す。
その時の顔のレッドは、居たんだったらもっと早く出て来いよ、といった感じの顔だった。いや、ホントにさっき来たんだって、オレ達。
「あ、ちじょだ、ちじょー!お母さんが言ってたー!!」
……なんてことを子供に教えてんですか、お母さん!いや反論は全くこれっぽっちも出来ませんが!!
「テイルイエロー………なるほど、貴様はなかなかの
「な……!こ、これは変身の賜物ですわっ!!」
合体エレメリアン。三頭狼のところを見るにケルベロスギルディといったところか?に何故か品定めされ、それにイエローが反発する。
「そしてテイルジョーカーよ。お主からはこれといった属性力を感じぬが、うむ。磨けば輝きそうな素材よ。なかなかにプロデュースのしがいのありそうな面白い素材だ。しかもなにやら秘密も抱えているようだな」
「別にプロデュースなんぞ、されなくてもいいっての」
なぜか、オレのほうにも品定めが飛んできやがった。しかし、コイツの観察眼は恐ろしいものだな。正確にオレが秘密にしていること、つまり女性化というのまで見抜いているように感じる。女性化という所まではいっていないようではあるが。
なんか、ブルーがまたイエローに対抗意識燃やしてなんか言ってるけど、そんなことをしている場合ではないだろうに。
「イエロー、今日はまだ撃つなよ?回りに人が大勢いるんだ。キャストオフした時に周囲に被害をもたらしたらシャレにならないぞ……」
「わかっていますわ、ジョーカー。だからこそ相手が幹部クラスである今こそこのとっておきの
「まさか……ちょっと、やめてよ!」
今まで武装が多かったためにイエローはあまり使っていなかった
どうやらブルーが慌てているところを見るに、ブルーと絶対的に相性の悪いアレを使う気なのだろう……。
よし、少し距離をとっておこう、そうしよう。
オレが離れるのと同時にイエローは叫ぶ!
「属性玉――――――
そしてイエローの左腕が発光し始める瞬間。
「ダメって言ってんでしょ!これ以上大きくなったら千切るわよ!!」
と、とてつもなく恐ろしい言葉を吐きながら青い閃光がイエローに向かって襲い掛かる!
何をやってるんだろうか、あの子は。そもそも名前の通りの効果なんていままでなかっただろうに。使ったからといって胸が大きくはならないというのに……。
そんな風にオレが他人事のように考えていたのが悪かったのだろう。オレはこの後起こる惨劇に巻き込まれてしまったのだった。
「……え?」
ブルーの腕がイエローの肩にかかる寸前。空間に飲まれるように、ぐにゃりと沈み込んだ。
なにやら大きな光るトランポリンのようなモノが両者の間に浮かんでいるようにも見える。
そしてトランポリンということは、反発することを意味しており……。
ブルーは一気に吹き飛ばされた………オレの方に。
「キャ――――――――――――――――――――ッ!?」
「ちょ、まって――――――――――――――――――――――!?」
そうしてオレとブルーは特大ホームランよろしく宙を舞い、吹き飛ばされていく……どこまでも。
今のオレの心情を現すぴったりの言葉があるだろう………それは……。
な、なんで、こーなるのっ!?