オレ、Jokerになります。[凍結中] 作:fateplanet
とりあえず、自分の赴くままに蹴りを入れて入ったわけではあるが……こっからどうするかね?
ノープラン過ぎてどうしようもねーや。
「さて、とりあえず、慧理那、もう解いておく理由もないだろ?結いなおしたらどうだ?ツインテール」
「確かに目的は達しましたけど、早すぎません?」
「はぁ……どうせツインテールの事でなんか一悶着あったんだろう?その事でとやかく言われないようにしとけ………嫌いになったわけじゃないんだろう、ツインテール」
「それは、そうなのですけどね」
と言って慧理那はツインテールにし直す。
「……お待ちなさい。慧理那、あなたはツインテールに嫌気がさしてやめたのではないのですか?」
あ、理事長が驚いてる。どうやらそれだけ慧理那の演技が完璧だったってことなのか?
「どうやら、理事長は勘違いをしているようですね。今回慧理那がツインテールを解いたのには訳があります」
クールにいけ、オレ。怒りに任せて話しても慧理那のいいようにはならないんだから、頭はクールにそれでいて心はホットにいけ!
「勘違いですか?」
「そう、別に慧理那はツインテールに嫌気がさして解いたわけじゃない。ただ、貴女に抗議するために解いただけだったんですよ」
「しかし、それでも解くことは神堂家の家訓に背きます。それが分からない娘ではありません」
……怒るな、オレ……。まだ怒るときじゃない。
「第一、その程度の事で解くなど、未熟の一言に尽きます。何か言いたいのなら、自身の口から話すべきなのです。それが出来ないようでは未熟につきます」
「あんた!」
「だぁってろって言っただろ!総二!!」
途中から話に入ろうとしている総二を怒鳴って押しとどめる。
それと共に横目で未熟と言われ泣きそうになっている慧理那を見たオレは………正直言って我慢が出来なくなった。
いくら親だろうが、泣かせていいわけがないんだ……!それも家訓なんてもので!
確かに大事なのかもしれない。でもそれ以上にオレは慧理那が悲しむことの方がオレにとっては大事なんだ!!
「家訓だか、なんだか、知りませんが、そんなもん知ったこっちゃないですね」
「……なんですと?」
「家訓なんて知ったこっちゃねぇ、っていったんだよ、理事長」
どうやらオレの沸点はオレが思っていたよりも低かったようだ。
「貴方、暴言もそこまでにしておきなさい」
「しらねぇな。そんなこと」
隣で慧理那がオレのいいように驚いているのが空気で伝わるが、それよりも言ってやりたいことがあるんだよ。
「アンタから見れば、慧理那のツインテールや未熟なのかもしれないさ。それはアンタの主観だからこそ否定なんてしない。でもな!それでも慧理那の、その頑張りを否定するのは許さねぇ!!」
「頑張り?実際慧理那は生徒会の仕事を疎かに……」
「してなんかいねぇよ。たしかに少し身が入っていなかったのかもしれない。それでもそのことに気付いて直そうとしてんだよ!その頑張りまで否定なんざさせねぇ!」
そうだ!あの日慧理那は生徒会を頑張るって言ってたんだ。学園をよくしたいから努力を惜しまないって!
だからこそオレは慧理那の味方に付いた!それに生徒会の友人に聞けば、いつも以上に頑張っていると話していたんだ!そのことも知らないで、慧理那の否定なんざ絶対させない!それがたとえ彼女の親だろうと!
「それに、慧理那のツインテールはとても綺麗なんだ。それも分からないのに、それも否定させねぇよ?」
「慧理那のツインテールが、綺麗、ですか……」
なんか横で赤くなってる慧理那のツインテールを見る理事長。
その目は深く注視しているようにも見えて、それでいて、何かを探るようにも見える。
「……確かに、慧理那の頑張りをキチンと見ていなかったのかもしれないでしょう。しかし、一時期疎かにしていたのは事実。私との約束を疎かにしていたこと自体は覆りませんよ」
「知るか、んなもん」
「なっ!?」
「掟だ、家訓だ、そんなもんで慧理那を縛ってるんじゃねぇよ!そんなもんで縛るのなら、オレがぶっ壊してやる!慧理那が泣いてるところなんざ、オレは見たくねぇんだよ!」
あぁ、そうだ。オレは慧理那の悲しむ姿が見たくないんだ。
そして、慧理那が誰かとくっつくことも嫌なんだ。だからここまで反対してたんだ……。
「それでもその掟を守らせるってんなら、オレが慧理那を貰っていく!」
「……えぇっ!?」
慧理那を他人に渡すくらいなら、オレがかっさらっていく!それが今オレが出した結論だ!
「………慧理那、あなたはよき
さて、どんな言葉が飛んでくるのかと身構えていると、理事長はそんな言葉を優しい声音で話すのだった。……あれ?
「えーと……?」
「何を呆けておるのです。婿殿」
「婿殿!?」
え!なんでこんなにあっさりと受け入れ態勢なのさ!?
「おや?慧理那を貰うというのは嘘だったのですか?」
「いえ、本心です」
それだけは自信を持って言える。
「ツインテールの好きさ加減は考え物ですが、それは後々教育してゆけばよいというもの。ここまであなたの事を思い、この母相手に引かずに押しとおった度胸はとても良いものでした。少し口が悪かったですが……」
「それは……すみません」
「よいのですよ。しかしこのような
「……は、はい!」
と、ゆでだこ状態の慧理那が返事を返す。
………あれ?今考えるとオレ相当恥ずかしいことしてたんじゃないだろうか!?
どどどどどどどどどどどど、どうしよう!!?
「必ずや、彼と添い遂げなさい」
「は、はい?!」
「母はこの男が気に入りました。先ほど述べたようにツインテール好きは弱いですが、それも教育してゆけばよいというもの。啖呵を切ったのです。貴方もそのつもりでしょう?」
「は、はい!」
そうだよね!オレそういうこと言ってたんだよね!?どうしよう!弟に見られながら公開告白なんてオレやらかしてしまっていたなんて!
「せ、性急すぎますわ!お母様!」
「いいえ、このような貴女を思っている相手など、少ないでしょう。それならば逃がしてはなりません。母は気に入りました。嫌だというならば、また縁談を再開します」
「そんな!」
むむ……それは、嫌だなぁ……。
「ほら、婿殿も縁談を嫌そうな顔をしておられますよ」
「む、婿殿!?」
「そうでしょう?貴方は後々慧理那の夫となるのですから当然そう呼ぶべきでしょう」
わお!このお母さん色んな意味でぶっ飛んでらっしゃるぅっ!
「そうです。婿殿も生徒会に入ってもらいましょう。嫁を支えるのもまた婿の務めです」
「わぁ、もう決定事項のように進んでいくぞぉ……」
「よいではないですか。それともなんです?先ほどの言葉は嘘だったのですか?」
「いえ、そんなことはありません」
「ではよいですね」
「あ……はい」
どうしよう、この人止まらないよ!?
仕方ないので慧理那の方を見るとチラチラとこちらを見ている。というよりも変身した時のようになんかハァハァ言ってるんですが……。
「い、一樹くんさえ、よければ、わたくし……」
あぁ、もう!流石に誤魔化ししていいモノじゃないよな!度胸を決めろ!観束一樹!!
「お、オレなんかでよければ、その、喜んで」
「一樹くん!」
「うわ!?」
オレの答えを聞いた途端慧理那は抱き付いてきて、オレは尻餅をついてしまう。しかし、それでも慧理那を離しはしない。
もうこうなったら開き直っていくしかないよな!
「なにか為しているのは婿殿と一緒なのでしょう。ならば、母からは何も言いません。しかししっかりとやり遂げなさい」
どうやら、何かをしていたのは気付いていたようだった。流石に正義の味方やってるとは気付いていないようだけども。
「婿殿、慧理那を頼みましたよ」
「了解です」
そうして、オレは抱き付いている慧理那の頭を撫でて、騒動が終わることになり、しかしまたえらい騒動を持ち込んでしまったと思うのだった。
この時気を抜かず理事長の言葉を最後まで聞いておくべきだったと後悔したのは、もっと先の事であった………。
追記:なぜか桜川先生も貰うことになりました。
ビクビク……