オレ、Jokerになります。[凍結中]   作:fateplanet

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彼女の事情と新たな力の不思議―1

邂逅から少ししてオレ達は無事に地下秘密基地に戻ってくることが出来た。どうやら本当に彼女は退いたようであり特に妨害などなく帰ってきたのだが、帰ってきたら帰ってきたで問題が発生していた。

それは悪の女性幹部コスをした母さんであり、そんな母さんを軽く受け入れる慧理那。そんでもって有言実行している愛香ちゃんと血祭りにあげられているトゥアールちゃんとそれを止めようとしている総二といった絵面が繰り広げられていた。

うん、いつも通りだな。

 

そんな風にオレが傍観に徹していると(だって、巻き込まれたくなかったし)、無事にリカバーしたトゥアールちゃんを交えてやっと普通の会話が始まった。

 

「いやー、それにしても慧理那ちゃんすごかったわねぇ。銃にして正解だったでしょ?」

 

「はい!必殺技も思っていた通りの物でしたし、最高でしたわ!」

 

「いつつ……愛香さん、貴女更に力強くなってませんか?」

 

「だったら、攻撃されないように言動とかに気を付けなさいよ」

 

「気を付けてこれなんですけどね!普通はここまで攻撃なんてしないんですよ!このナイチチ蛮族が!」

 

「ほう?もっかいやられたいようね?」

 

「あぁ!私のおバカ!んぎゃあああ!胸が捻じれ切れるぅぅぅううううううううっ!!」

 

また2人のじゃれ合いが始まったけど、スルーしよう。ああなったら終わるまでそのままだろうし。

 

「それと、一ちゃんもすごいわね。新しい武器を手に入れるなんて」

 

「あー、イエローマグナムな。これってトゥアールちゃんが仕込んでくれてたものなのか?」

 

一通りやって満足した様子の愛香ちゃんから解放されたトゥアールちゃんに問いかけてみる。まぁ、返すだけの元気があるのかは疑問ではあるが

 

「わ、私はそんなものを仕込んだ記憶はありませんよ。第一、それならばギアに仕込まず、直接お兄様に渡しますよ」

 

「それもそうか……ならこれはどうして出てきたんだ?」

 

そう言ってオレはイエローマグナムを取り出す。どうやらこれは変身せずとも出しておけるようで、どういった原理なのか意識のスイッチでメモリから出したりしまったりできるようだ。

 

「考えられるものとしてはジョーカーメモリとギアの相互干渉によって引き起こされたのではないかと」

 

「相互干渉?」

 

「ギアは使用者の心によって力の増減が激しいものなのです。だからこそ昂ぶった慧理那さんとスペックの上昇していたメモリとの間で何らかの作用が起きたのかもしれません」

 

「ちょっと待ってくれ!メモリのスペック上昇だって?」

 

なんでスペックが上昇してるんだよ?

 

「事実です。以前のジョーカーと今のジョーカーでは確実に力が強くなっているのです。なにか心当たりはありませんか?」

 

「心当たりって言われてもなぁ……」

 

メモリは使用すれば親和性は上がっていくものだ。それが原因か?でも、それだって急激すぎる。もっとゆっくりのはずなのだ、上昇していくのは。

 

「ごめん、分かんねぇわ」

 

「そうですね。こればっかりは使用しているからと言って分かるものではありませんしね。私の方でも改めて調べてみるので、また貸していただけると嬉しいのですが」

 

「それは願ってもないことだ。よろしく頼むよ、トゥアールちゃん」

 

「はい。任せて下さい!」

 

とりあえず、このことは考えても仕方ないから、置いておくとして。

 

「ところで慧理那ちゃん、ちょーっと露出大きくなるけど大丈夫?」

 

いや母さん、ちょっとではないと思うけどさ。

 

「恥ずかしくないと言えば嘘になりますわ。きっとこれからもはしたないところを何度もお見せすることになりそうですが……」

 

そうしてオレの方をチラ見する慧理那。まぁ流石にあれだと、オレの方を見てしまうよなぁ。

 

「まぁ、戦力としては素晴らしいし、禁止してもいけないしなぁ。でも逆にあれだけになると清々しいからいいんじゃないか。強かったし」

 

「は、はい!ありがとうございます一樹くん!」

 

でも少しは自重しような、慧理那。でないとまた叩かれるからな?

 

「そうですよ。慧理那さんのはまだヒーローのソレですよ。装甲をパージしていき戦うなんて。どっかの邪神のような悪鬼羅列のようなモノじゃないじゃないですか」

 

「だぁれが邪神かぁああああ!!!」

 

「みぎゃあああ!!関節はそっちには曲がりませんんんんんんんんんんんっ!!!」

 

愛香ちゃん、邪神に反応したらそれは自身が邪神だと認めてるようなものだぞ、おい。

 

「でも会長。いくらそーじや一樹さんが変身時は女と言えども男なんだしさ、あんまりやりすぎるのはやめた方がいいんじゃない?」

 

愛香ちゃん、一般常識語る前にお兄さんは君のしている関節逆おりについて語りたいんだけども。

 

「構いませんわ」

 

「へ?」

 

「一樹くんはわたくしの全てを受け止めてくださいましたもの。今更見られるくらい……一樹くんになら恥ずかしくありませんわ」

 

慧理那は頬を染めながらオレの方を見てくる……さ、流石に恥ずかしいものがあるな。

 

「ふぉっふぉう!今の聞いたかしらトゥアールちゃん!おばさん大興奮なのだけれど!」

 

「私も同じくですよ!今の音声は早速フォルダにしっかりと残しておきましたよ!」

 

「やるわね!トゥアールちゃん!」

 

「お褒めに預かり恐悦至極!」

 

……で、そっちは何をしてるのかなぁ!?

ヤバい、なんかオレもスッゲー恥ずかしくなってきちまった!

と、とりあえずここは!

 

「で、でだ、トゥアールちゃん。あの子は一体なにもんなんだ?」

 

話を変えるしかない!

 

「そうだな。実際俺達も何が何だか分からないしな。話したくないことは話さなくてもいいから、話せる範囲で話してくれ」

 

よし!ここで鈍感な総二も乗ってきてくれた!これで勝つる!

で、話を振られたトゥアールちゃんはというと、急に机をバンと叩き言い含めるように口火を切った。

 

「話す前に断わっておきますけど、私は清い身です!あの娘とはなーんにもありません!」

 

「女の事説明すんのにどうしてそんな前置きが必要なのよ!」

 

「そんなもの、総二様に誤解されないために決まっています!今更誤解もされようのないゴリラな愛香さんには分からないでしょうけどね!清純派である私にとってこれは重要な事なんですよ!」

 

「だぁれがゴリラか!この不純派女の筆頭がぁぁぁぁあああ!!」

 

「ごりゃ―――――――!!?」

 

またVT(ヴァイオレンスツッコみ)が繰り広げられてしまっているが、流石に慧理那も引いただろうとそっちを見ていると、羨ましそうにこのやり取りを見てそして期待した眼差しでオレの方を見てきていた………うん、スルーしよう。

とりあえず、視線を外して、外したらなんかまた変な声が聞こえてきたけれども、無視する。

 

トゥアールちゃんは流石に命の危機を感じたのだろう愛香ちゃんから離れた席に座り直し、咳を1つして改めて語り始めた。

 

「そうですね。私も正直混乱しているので何から話せばよいのやら………彼女はイースナ。私の元居た世界の幼女(じゅうにん)でした」

 

なんか今おかしなルビが振られていたような気がするが……。

 

「1度エレメリアンに襲われていたのを助けたことがありまして。その時知り合ったんですが……」

 

「あの……もしかして、以前現れた仮面ツインテールはトゥアールさんでしたの?」

 

「あ、はい。その通りです。今は引退して総二様に託していますが……」

 

「では、トゥアールさんは先輩戦士だったのですね!引き継ぎイベントしかと承りましたわ!」

 

若干ずれてるけど、まぁいいか。なんかトゥアールちゃんが小声で言ってるけどスルーしよう。

と、少し話が逸れたが、トゥアールちゃんの説明は続く。

 

「どうやらあの娘は総二様のギアに組み込まれた私のツインテール属性を追ってやってきたのでしょう。アルティメギルと共に。それで何故、ジョーカーを私と誤認したのかはまぁ、思い込みの激しい娘ですから、きっと『幼女が可愛くてついあげてしまったに違いない!しかしそれでは収まり切らんから一緒に戦っておるのだろう!』みたいな愉快な思い込みをしているんじゃないでしょうか?」

 

なんじゃそら……。

 

 




年内はもしかしたらこれが最後かもしれません。

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