オレ、Jokerになります。[凍結中]   作:fateplanet

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今回から3巻内容です。




3巻
新たなる脅威!ダークグラスパーとオレ達


「貴女を迎えに来たのじゃ、トゥアール。わらわと共に戦ってほしい」

 

リヴァイアギルディとクラーケギルディを倒した余韻の中、現れた新たなる存在、ダークグラスパー。

彼女は首領直属の戦士と言っていたことからその実力は想像する通り高いのだろう。

そんな彼女がオレの方を見てトゥアールちゃんの事を呼んでいるのだ。このことから分かることではあるが、彼女はトゥアールちゃんと同郷の存在であるということなのだろう。

だとしたら少し矛盾が生じてしまう。彼女は何もなくなった世界からやってきたということであるはずなのだ。しかしその髪は2つに結われ少し変則的なモノではあったがツインテールであることには違いなかった。

 

そして何故彼女はオレの事をトゥアールちゃんと呼んでいるのかも謎だった。トゥアールちゃんの属性力を感じられるのなら、真っ先に疑うべき存在はオレよりもレッドの方であろう。

全員が訝しんでいるが、だんまりをしている場合ではないことは容易に把握できる。だからこそ、改めて問わなければならない。

 

「キミは、いったい、誰なんだ?」

 

「ほう……やはり分からぬか。しかしそれも無理ない事かもしれん。それだけわらわが美しく成長したということでもあるのだから。喜ぶべきか、悲しむべきか、迷う所ではあるのう」

 

しかし、彼女は余裕の表情は変わらず、しかし物憂げな表情をしている。

それだけ彼女はトゥアールちゃんと親しい間柄であったということなのかもしれない。だからこそ忘れらていることを悲しんでいるのかもしれない。

 

「……兄さん、右手を後ろにやってくれ」

 

どうすべきか考えていると、レッドが小声でオレにそんなことを言ってきた。この状況でふざけているようなモノはないので素直に従うと携帯、トゥアルフォンを握らされた。

そうか、つまり腹話術をすればいいのか!

すぐにレッド、いやトゥアールちゃんの考えを察することが出来たオレは、しかし、声はどうするのだろうかと考えていると、驚くべきものが聞こえてきた!

 

「イースナ……なぜこの世界に!?」

 

それは変身したオレの声そのものだったのだ!

まさか、彼女はオレの合成音声を完成させていたのか!?

しかし、それも当たり前なのかもしれない。トゥアルフォンの機能の1つである周囲に違う言葉が聞こえる機能を使うには相手の声が必要になってくる。つまり彼女はその為の音声データを持っていることに他ならないのだから。

 

そんなオレの驚愕はそのままに話は進んでいく。

 

「おお……やはり思い出してくれたか!嬉しいぞ!貴女の一番の信奉者(ファン)じゃったイースナじゃ!!」

 

しかし彼女はトゥアルフォンからの音声であることに気付いていない様子。それだけトゥアールちゃんに会えたと思っていることが嬉しいのだろう。

とりあえず、更にばれないように口元を左手で隠しておこう。そうすれば口を動かす必要性はないしな。

 

「しかし、ずいぶん性格も変わりましたね?以前の貴女はそこまで饒舌ではなかったと記憶していますが?」

 

「グラスギアのおかげじゃて。これを纏いダークグラスパーとなったわらわは本当の自分となったのじゃ。貴女の隣でいても恥ずかしくないほどの戦士となったのじゃ」

 

彼女は誇らしげに笑い、胸を張る。

 

「貴女の属性力が奪われていないということは貴女はアルティメギルの侵攻が完了する前にアルティメギルの軍門に下ったのですね……」

 

その言葉で初めて誇らしげだった顔が曇った。つまり、彼女にも罪悪感があるということ。それだけで彼女がいい子なのは分かったが、そうまでして軍門に下ったのにも理由(わけ)があるはずだろう。

 

「でも何故なのです?テイルギアシステムは私のオリジナルのはず。それがどうして貴女のもとにあるのです?」

 

「ふむ。わらわの心の力じゃろう。トゥアールをずっと、ずっとずっと、ずっとずっとずっとずっと見続けるうちにわらわの眼鏡に不思議な力が宿っておったのじゃ。あとはテイルギアの記憶をもとにこの眼鏡を変身ツールへと変化させたのじゃ。わらわはこれを神眼鏡(ゴッドめがね)と呼んでおる」

 

途中不穏な感じがしたが、それ以上にどうして見続けている間に力がついたのだろうか?これも属性力のなせる(わざ)といったところなのであろうか?

 

そうして今度は彼女がこちらに問うてくる番であった。

 

「しかし今度はわらわにも教えてくれぬか?何故(なにゆえ)そこな幼女に貴女の属性力を感じてしまうのだ?そして何故貴女はそのような姿で、属性力が低下しておるのだ?たしかに可愛らしい幼子を貴女は大好きであったが」

 

どうやらトゥアールちゃんの幼女好きは前の世界でも有名であったようだった。どんだけ幼女好きだったんだい、君は。

 

「はじめはこの世界最強のツインテール属性を持つ者、つまりテイルレッドに私のものを託し、私は裏方に回ろうとしていました。しかしそれではいけないと考え、違うシステムを考案しこの姿で戦うことに決めたのです!そうして気付けばこの姿でいることに何の違和感も感じないようになり、今の私はこの姿そのものなのです!貴女の知っているトゥアールという存在はもうどこにもいません!」

 

おいおい、それでどうにかなるのかよ?いくら何でもそんなので信じるわけが……

 

「なんと!では今の姿が貴女の姿ということなのか!?」

 

信じちゃったし!なにあの子!もしかしてかなり純粋な子なのかな!!?

 

「その通りです。こんな女幻滅したでしょう?ですから貴女は新しい恋でも探して下さい」

 

「なんの!その程度でどうにかなるほどにわらわの恋心はおさまりなどせん!いつか必ずお主を振り向かせて見せようぞ!」

 

すごく諦め悪いなぁ!まぁなんとなくだけど分かってたけども!

そして彼女は今気づいたようにブルーの方を見やり

 

「しかし、何故そこなアイロン台女に貴女のお下がりが身に着けられているのじゃ?」

 

それに対する返答は。

 

「今の姿を受け入れるために以前の私とは正反対の姿のまな板に託したのです」

 

「ぬうう、なんという決意じゃ」

 

「………トゥアール、後で殺す(ボソッ」

 

……これ帰ったらトゥアールちゃんの命は残ってるのかなぁ……?

 

「とにかく私のことはもう諦めてください。それだけ可愛くなったのならいろんな所で引く手あまたでしょう?」

 

「いいや!わらわの携帯電話に残された1つの連絡先、それはもう今では使われておらぬが、わらわは今でも変えておらぬ。しかし今ここで問答をしても貴女は首を縦には振ってはくれぬのであろうな……」

 

そうして彼女は悲しそうに笑うと、すぐに表情を元に戻し

 

「今日は顔合わせのつもりで来ただけじゃった!次に会う時はトゥアール、わらわと共に来てもらうぞ!」

 

そうして彼女は闇に包まれて消えていく。そして

 

「それと、わらわは人類に仇名すためにアルティメギルに下ったのではない。守りたいもののために下ったということを覚えておいてほしい……」

 

そう、言い残して消え去ったのだった。

 

「ふぅ……なんてプレッシャーだったんだよ、あの子」

 

「消耗した俺達だとキツイよな」

 

「なに弱音言ってんのよ、とは言い切れないか。あたし以外皆戦ってるし」

 

「さ、流石に連戦はつらいものがありますわ」

 

『皆さん、ひとまず基地に戻ってきてくださいね。あの子との関係性は改めて基地でお話しします』

 

「了解。それじゃあ、転送お願いするよ」

 

こうして2大幹部を撃破とともに新たな強敵の存在を知ったオレ達だった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

基地に帰るとまず最初にトゥアールちゃんが血祭りにあげられていたが、まぁいつもの事なのでスルーしておく。

 

 




もうすぐ今年も終わりですねぇ。
大みそかは家族で出かけるので、年末年始はかけないかもしれません。


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