オレ、Jokerになります。[凍結中] 作:fateplanet
さて、トゥアールちゃんの一言から嫌な予感がヒシヒシと感じているオレではあるのだが、そんなことはお構いなしに時間は過ぎていく。
まぁ、そんな予感は無理やり無視し、オレも一体何が、足らないのだろうか、と考える。
ツインテール属性はきっと十分にあるはずなのだ。それは変身出来ていたことから間違いはない。しかし、何故かギアの能力を十全に扱えないという不具合が生じてしまっているのだから、何かしら原因があるのだろう。
そうだとするならば、今のところギアを使っているのと比較していけばいいのではないか?
総二は言わずもながなツインテール馬鹿であり、そのことを公言もしている正真正銘の馬鹿であることには違いない。まぁ、自身がブレていないとでもいえばいいのだろうか。
一方、愛香ちゃんは総二を助けたい一心でギアを纏って戦っている。まぁ、戦いが凄すぎて蛮族呼ばわりされているが、確かに彼女も自身をしっかりと持って戦っていることが分かる。
では慧理那はどうであろうか?確かに彼女も自身を持ってはいるのだろうが、それが十分でないのではないかと考えられるのかもしれない。実際彼女は自信がなかったのだから、そのことが的を大きく外れていないとは思う。しかし、それをどうやって引き出せばいいのだろうか?
残念ながらオレには妙案を出す頭が欠けている。確かに慧理那の事は1年の間でよくは知っているが、それだってあくまで友達としてであり、それも異性という壁だってあるのだ。全てを理解することなどできるはずがないし、それはしたくはない。
こんな時、フィリップのような相棒がいれば何かしらのアイディアをくれるのかもしれないが……いや、フィリップは無理か。特に初期のころは。
どうしたもんかと頭を悩ませていると、急に陰りが出てきた。雲にでも遮られたのかと、天を見て、そして後悔した。
だってそれはブルーがドでかい山のような岩を軽々と片手で持っていたのだった!
「………何してんだ、愛香」
「急にどうしたんだよ、愛香ちゃん」
オレ達
「初めて使ってみたんだけど、
「こんな、大岩なんてレベルじゃなくてもう山だろ、これは――ッ!!」
「あー、愛香ちゃん、何に使うのか、言ってくれないかなぁ……?」
「つ、津辺さん、そ、それは……?」
ほら、慧理那も怯えてるから、早くそれを仕舞ってきなさい。
「……やっぱ、ほっとけない。会長、今ツインテイルズを辞めたら一生後悔すると思うから」
「あ、お兄さんたちは無視ですか、そうですか」
ほら、もう慧理那がかわいそうになるほどに後ずさってるから。もう既に後悔しまくってるようだから。だから、それをどうにかしなさい。
「会長、あたしね、貴女に救われたんだよ?世界中で笑いものにされてさ、アルティメギル同じみたいに言われてさ。………でも、一樹さん経由でも、会長が、そーじと、一樹さんの仲間だって言ってくれて嬉しかったんだよ」
うん、いい話なのはいいんだけど、それを台無しにする
「だから、今度はあたしが会長を救いたい。辛い時を、今を一緒に乗り越えようよ。仲間なんだからさ―――!!」
何度も言うけど、いい言葉なんだけど、そのいい言葉が君の手に持つもので台無しなのに気付いてくれないかなぁ!
「さぁ、会長!破壊して見せなさい!出来なければ、潰されて死ぬわよ!」
「ほっとけないとか言ってとんでもないもん投げようとすんな、アホー!!」
「愛香ちゃん、いくら何でもその方程式はおかしいと思うんだけどな、お兄さんは!!」
流石に看過できるものではないので、愛香ちゃんを止めようとするが、下手にさわって、オレ達まで下敷きという未来だけは避けたいので、うまく介入の仕方が分からず、手を
『お兄様、やっぱり慧理那さんにはテイルギアを纏う資格があったんですよ!』
「なんだって?」
『とりあえず、私の言うとおりに言ってみてください!きっと効果がありますから!!――――――――――です!』
「本当だろうな!」
『そっちの状況見てるとジョークを挟む余裕がないのは私にだってわかりますよ!』
確かに下手したら慧理那の傍にいるオレ達も被害を
そうこうしている間にも大岩は投げはなたれこっちに向かって落下してきているのだ!もう悩んでいる暇などない!ここは慧理那とトゥアールちゃんに賭けるしかない!!
「慧理那ああああああああああ!!本当のお前をオレに見せろおおおおおおおおおおお!!!!!」
もう総二のブレイザーブレイドも間に合わない、そう思い覚悟を決めたその時、2条の閃光により大岩は貫かれ、そして跡形もなく消滅させられていた。
オレ達は、その閃光の発した、方角を見た。そこには、背中のブースターと思われていた装甲を前に出し、展開し、そこから伸びるトリガーをしっかりと引いていた慧理那の姿があった。
そうか、あの後ろのも武器だったのか……まるでF91のヴェスパーじゃないか。
しかし、それはいいとして、彼女は自身の意思で放ったのだ。そう、自身の意思で!
それはつまり彼女がギアを使いこなしたことを意味している!
どうやら、オレの、というかトゥアールちゃんの一言が後押しとなって、彼女に自分らしく戦うことをさせたのだということが分かった。
「……え…?」
しかし本人は未だに実感できていないようで、茫然とした様子で大岩のあった場所を見ていたのだった。
「やったわね!!」
やったわね、じゃないからね、愛香ちゃん。後で君には説教だ!
『フフフ、やっぱり!流石私です!』
本当にその通りであるのだから頭が上がらない。後で何かしら甘いものでも作ってあげようと思う。
「慧理那、やったな」
名前で呼ばれてびっくりしているようであったが、しかし、彼女は満面の笑みで応えてくれた。
「はい!」
「どうやら、ツインテールを感じられたみたいだな?」
何言ってるかオレも分からないが、その通りなのだから始末に置けないシステムである。
「は、はい……。恥ずかしいですけど、わたくし、感……」
……なんか、言葉の端が変な気がするけど、き、気のせいだよな!
「嬉しいですわ、観束くん、いえ、一樹君。わたくし、長い間、貴方を待っていたのだと‥……」
きゅ、急に名前呼びになると恥ずかしいな、うん。
「一樹、くん。もっと、見てください、わたくしを……」
なんだか感極まったのか、息も荒げ、顔も赤くなっている、慧理那。だ、大丈夫なのだろうか?
「あ、ああ。勿論見ていてやるさ。でも大丈夫か?なんだか調子が悪そうだけど……」
「ええ!大丈夫ですわ!!そしてお見せいたしますわ!わたくしの全てを!はぁ、は、ぁ……!!ぜ、全部見てくださいまし!!」
「うおっ!」
急に胸の装甲がパージされ、そこからミサイルが飛んでいく。それは前回のおもちゃのようなものではなく、高速で飛来していくものだった。それは総二と愛香ちゃんの手によって破壊されて事なきを得たのだが。
「まだ、まだですわ……!」
そうして肩のバルカンを発射していく彼女はそれはもうイキイキとしていた。まさか、トリガーパッピーか?
まぁ、しかし。
「見事に使いこなしてるなぁ、慧理那」
「あっ……嬉しいですわぁ……んん!!」
そうしてオレがいる隣で慧理那はどんどん装甲をパージしていく。ってパージしていく?
「うふふ、観てくださいまし!一樹君!わたくしを、本当のわたくしを!!慧理那をみて!ご主人様~~~~~~~~!!!!」
「ちょっと、まて、まてまてまてぇぇえええええええええええ!!!」
なんで!急にどうしてそうなるんだよ!
彼女は言葉と共にドンドン装甲をパージしていき、
と、とりあえず!
「か、隠せ!色々とヤバいから隠せ―――――!!」
「いやですわ!もっと、もっとみてぇん!!!」
な、なんで自分をさらけ出した結果が、露出狂なんだよ!!
『やっぱり!やっぱり―!!絶対そうだと思ってたんですよ!大当たりです!私は慧理那さんの眠れる魔獣を呼び覚ましたのですね!!』
そんなもん、一生呼び覚まさんでいいわ!!
そう思いながら、オレは慧理那の露出を止めることを諦めなかったのだった………無駄だったが……。