オレ、Jokerになります。[凍結中] 作:fateplanet
無事に慧理那を励ますことに成功したオレではあったのだが、どうやってテイルギアを使いこなせばよいのかは全くと言っていいほど、思いつかなかった。
当然である。オレはテイルギアを使っているわけではないのだから、オレがテイルギアに詳しいわけではないのだから。
そのため、オレは総二達を部室に戻し、何か意見がないのかを聞いたのだ。(勿論、慧理那を抱きしめていたのはやめていた)
「で、その結果がここ、だもんなぁ……」
今、オレ達ツインテイルズはどっかの使われていない採掘場に来ていた。
理由としては総二の馬鹿に付き合う形をとったからだ。
そう、総二は使えないのなら、使えるように特訓すればいいという、なんとも脳筋な答えを返してれたのだ。
まぁ、確かに使えないのなら使えるように特訓するというのは理に適っているのだろうが、それにしたって急すぎるだろう。
「弱いのなら、自分のツインテールを使いこなせばいいんだ!会長、やろうぜ!!」
「いや、ツインテールの力で使いこなせるのは分かるんだけど、使いこなせってなんだよ。髪型だろうが」
「ですよね。使いこなすっていったところでどういう風に使えばいいんでしょうかね」
どうやら一緒についてきていた愛香ちゃん、ブルーも疑問顔だった。
「肩肘張らずに自分をさらけ出せばいいんだから、大丈夫だ!会長だってツインテールが好きなんだし、問題ないはずだ!」
総二達にはオレ達が2人きりだった時間の事は話していないが、総二的には変身できたのだから、当然ツインテールが好きだという考えなのだろう。
まぁ、実際そのことは間違っていないのだから、問題はないのだが……。
この時さっきの事を思い出して、少し頬が赤くなってしまったオレであったが、周りの奴らには気付かれなかったのでよしとしよう。
しかし、自分をさらけ出せと言われたときに慧理那の様子が少しおかしかったが、大丈夫なのだろうか……?
「ッ!テイル、オン!」
そうして変身する時間は前回よりも早くなっていた。どうやらさっきの事はそれなりに効果があったようである。
「無事に時間は縮まったな」
「ああ!きっとさらけ出したのと、兄さんとの話が良かったんだ!」
「だから、今のカッコで兄さん、言うなし」
因みにオレもテイルジョーカーに変身していたりします。
「それじゃあ行くぜ!会長!」
そう言って総二、レッドはブレイザーブレイドを握りしめイエローの目の前を斬りえぐった。
そうして、巻き上がる砂利は、まさしく間欠泉のごときものであり、イエローに襲い掛かったのであった。
「きゃあああああ!!」
「このくらいで叫ぶな!物理的な痛みなんて防いだり我慢したりできる!でもな!アイツらはもっと気持ちの悪い攻撃をしてくるんだぞ!」
「いや、わりとドイツもコイツも戦う時は真面目だったと思うぞ?」
オレが戦ってきたのはよくも悪くも武人気質なやつらだったし。
「いえ、タイガギルディやフォクスギルディとかは気持ち悪かったじゃないですか」
「あー………」
両方ともブルーに瞬殺された奴らか。そういえば奴らは気色の悪い攻撃、というか、変態だったなぁ……。片方は人形で片方はスクール水着だったか。うん、毎度の事ながら変態しかいねぇな。
でも、そう考えると貧乳、巨乳なんてまだ可愛いもんじゃないかと思えてくるのだから不思議である。
そうこうしている間にも、慧理那はヴォルティックブラスターを握り、レッドに向かってコルク銃のような攻撃を向けていたが全くと言ってダメージがない様子だった。
「ツインテール属性の存在を感じるんだ!それはいつだって会長の中に存在するんだ!」
「それが分かれば苦労しませんわよ!」
まぁ、確かにそれの存在を感じろと言われてもなぁ。さっきまで憎んでいるとまで言ってたんだからそのことをすぐに理解できるとは思えないしなぁ。
「もっとツインテールを受け入れろ!ツインテールは敵じゃない!頼もしい味方なんだ!」
いや、確かに自分の一部だから敵ではないだろうが……。何をいっとるんだろうか、アイツは。
『総二様、手ぬるいですよ!!』
「トゥアール?」
おっと、通信機越しにトゥアールちゃんが介入を始めたようだ。
『慧理那さん!私はそんな貴女を見るためにイベント満載の
「だからお返しすると言いましたわよね!もう返す気はありませんが!!」
『そんなこたぁ分かってるんですよ!ここまで来たら何としても貴女には使いこなしてもらわないと私の気が済まないんですよ!』
なんて、自分本位な励まし方なのだろう。まぁ慧理那にとってはいい発破の掛け方なのかもしれないが。
こういった励まし方の方が変に気負わずいいのかもしれない。……それにしてもえらく私怨にみちみちているが。そこまで総二とのフラグを建設したいのだろうか、彼女は。
『愛香さん!総二様と、さっきから傍観しているお兄様では慧理那さんが傷つくのを恐れまともな特訓なんて出来ません!特訓ならば、その辺の大岩を転がしてボンボン投げつけてやってください!』
「ま、まってください!そんな急には無理ですわ!!」
「いくら何でも無理があるだろう、トゥアール!!」
「リスクが大きすぎやしないかい?トゥアールちゃん」
『何を甘ったれたことを言ってるんですか――――――ッ!』
耳をつんざくとはまさしくこのことを指すのではないだろうかというほど彼女は大声を発したのだった。
み、耳がいてぇ……。
『怪我をしたくない?遊びじゃないんですよ!こっちは!命がけなんです!世界の命運がかかってるんです!!私はいつだって満身創痍で生きてるんですからね!』
「……だ、そうだぞ、ブルー」
とりあえず、満身創痍の原因に声を掛けておく。視線を大きく反らされてしまったが。
でも、まぁ。
「言ってることは間違っちゃいないんだよなぁ」
「ジョーカー……」
「イエロー。オレ達が憧れ続けてきた背中は、1度や2度、いや、それ以上の敗北の中でも、どれだけ絶望的であろうと、諦めてきたか?」
「あ………」
「ヒーローだって人間だ。弱かった時もある。そう言ったよな、オレ。だから、ここから強くなっていけばいいさ。それに仲間なんだ。上っ面の綺麗なとこばっか見ているわけじゃないんだ。だったら、素顔な方がいいじゃないか。今は生徒会長の顔なんて捨てて、等身大のお前を見せていけばいいさ」
「あっ……!」
そうしていると慧理那の中で何かが動いた気配を感じたのだが、何だったのだろうか。一瞬過ぎてオレにはうまく分からなかったがなんとなーくいいものではない気配がしたのだが。
『ははぁん。そういうことですか。なんとなくわかってきましたよ、慧理那さんのことが!』
どういうことだろう、トゥアールちゃんにはわかってきたようであるが、なぜだろうか。この胸に去来する嫌な予感は。
なんだかんだで前世と現世を合わせると生きてきた時間は40近くになるのだから、それなりの勘というのは働くモノである。
そのうえ、さっき感じたこともいいものではなかったのだから、嫌な予感どうしの相乗効果で完全におかしな方向に向かうのではないかという危惧がオレの中に生まれたのだった。
頼むから外れてほしい…………ッ!
昨日は疲れていたので書き上げることが出来ませんでした。