オレ、Jokerになります。[凍結中]   作:fateplanet

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黄色い戦士とそこまでなのかと思うオレ

さて、神堂に正体バレして、そのうえ黄色いテイルブレス、通称巨乳ブレスを神堂に託した翌日。

今オレは、神堂を待っていた。

 

今日も神堂は生徒会の仕事に精を出しており、それが終わるまでは部室にいけないとのことだったのだ。いついかなる時でも生徒会長としての責務を全うするその姿には尊敬の念を送るものだ。

で、なぜ、オレが神堂を待っているのかというと、オレもちょっとした用事で遅れていくことになったのだ。で、それが案外早く終わったために、それだったら神堂達と一緒に行こうと思ったからなのである。

 

それに神堂の事である、自分のせいで遅くなったとか考えて急いできそうなのだ。だったら、もう1人行ってない奴がいればそれも抑えられるだろうと考えたからだ。

………しかし、結構視線を集めるな。なんか皆してヒソヒソ話しているし。

 

そんな風に手持無沙汰に待っていると、生徒会室の扉が急いで開けられたのだった。

 

「急ぎますわよ!尊!」

 

「はい、お嬢様」

 

まぁ、そんな風に急いでるのは神堂達しかいないのだが。

 

「よ、神堂」

 

「観束くん?」

 

「そんなに急がなくてもいいぞ?オレも今から行くわけだしさ」

 

「………待ってらしたのですわね?」

 

「さぁて、どうでしょうかね?」

 

「……もう、でもありがとうございますわ」

 

「お礼を言われることはしてないんだけどなぁ。ま、部室に行こうか」

 

「そうですわね。でもどうしていたんですの?」

 

「ん。オレも用事があっただけさね」

 

まさか先生に荷物運びをさせられるとは思いもしなかったんだよなぁ……。まぁ、もともと生徒の扱いが若干悪い先生だったからなぁ。

 

「そうなんですの?」

 

「そーなんですの。だから、ほんのちょっとしか待ってないんだよ、実際」

 

「……やっぱり待ってらしたんじゃないですの」

 

「……ひゅーひゅひゅー」

 

「吹けていませんわよ?」

 

「……昔っから吹けないんだよ」

 

「れ、練習あるのみですわね」

 

「うん……」

 

なんて、オレの若干恥ずかしい事も判明している間に部室に無事到着した。

どうやら1年組はもうすでに部室に居るようでにぎやかな声が聞こえてきた。

そして、横目で神堂の様子を窺うともういてもたってもいられないといった風になっており今か今かと待っているようでもあった。

 

「邪魔すっぞー」

 

「お邪魔いたしますわ」

 

「お邪魔しよう」

 

「あ、皆、どうぞ。何かお茶でもって、もう既に物色してる!?」

 

お茶の用意を早速しようとしている桜川さん。やっぱり、こういう所はメイドさんらしいが、弟に流し目を送るのはやめい。そいつは既に何名かの予約済みだっつうの。

 

そんなわけで、トゥアールちゃん主導のもと、神堂に対してテイルギアの説明がなされていたが、途中トゥアールちゃんの変態モードが発動して、それを止めるために愛香ちゃんのVT(ヴァイオレンスツッコみ)が発動したりと、いつも通りな風景が流れていたが、本筋とは関係ないなので、カットしていく。だっていちいち目くじら立ててたらキリがないんだもの。

 

「観束くん、変身時の掛け声はあるのでしょうか?」

 

「掛け声か。総二達は変身時は『テイルオン』って言ってるな」

 

「あら、それなら観束くんは違っていまして?」

 

「オレはシンプルに『変身』だからなぁ。まぁ神堂は総二達と一緒だから、『テイルオン』でいいと思うぞ」

 

「なるほど。システムが違えば掛け声も変わる。王道ですわね!」

 

「そうだろう。そうだろう」

 

「それで変身ポーズはありますの?それとも各自違いますの?」

 

変身ポーズか……。

 

「そういえば決まってはないなぁ。結局オレ達って正体隠してることが前提だから、こう特撮ヒーロー張りなのはしてた覚えがないな」

 

「そうだったんですの……この機会ですし、決めてみてはいかかでしょうか?」

 

「……うん。確かに何時か必要になる可能性が無きにしも非ずだしな。決めるのもいいかもしれない。まぁ、それは後ででもいいだろう。神堂、お前そろそろ変身したくて、うずうずしてんだろう?」

 

「う、ばれました?」

 

「うん。バレバレ」

 

「恥ずかしいですわね……」

 

「いや、やっぱりヒーローに変身するとなるとそうなるって」

 

まぁ、オレはそういうのをすっ飛ばしてしまっていたから、その感情は未体験だったのだが。

 

「そ、それでは変身いたしますわ」

 

「会長、言葉よりも変身したいという意思が大事だから!」

 

「わかりましたわ。うぅ、緊張します……」

 

そして神堂は大きく一度深呼吸をするとブレスを胸の前にかざし、意を決したように凛々しく叫んだ!

 

「テイル―――オンッ!」

 

しかし、これといった変化は全く見られない。

あわや失敗かと皆が浮足立つ中、神堂は真剣な目をしたままだった。

そうしてその神堂の真剣さが伝わったようにブレスが反応し、神堂は黄色い繭に包まれたのだった。

 

変身のプロセスは一瞬なので、ギャバンのようにもう一度見てみなければその変化はきっちりとは見られないのだが、まぁ、そこは気にするところではないだろう。

光の繭が解けるころには激しい、後ずさりしてしまいそうになる程のスパークを発した。

流石にスパークに耐えられず、目を閉じたオレ達が再び目を開けた際には、そこには大きくシルエットの変わった神堂が、新たなツインテイールの戦士がいた。

 

「こ、これが、わたくし?」

 

ほんの少し大人びた声、いや声だけでなく、その姿も大きく成長しており胸も通称のとおり大きくなっていた。その姿は神堂が成長すればこうなるのではないかと思わせるものだった。

しかし、目を引くのは大きくなった体だけではない。

 

「かなりの重装甲なんだな、防御力重視か?」

 

そう、総二の言葉のとおり、神堂の纏ったギアは総二や愛香ちゃんのものとは異なり、ゴテゴテとした装甲に覆われていたのである。また後ろにはプロペラントタンクのようなものがあり、機動補助の役割をになっていることが分かる。

 

「黄色のテイルギア…ですわね」

 

「新たなるツインテイルズ、テイルイエローの誕生だな!」

 

「観束君!」

 

感極まったように瞳を潤ませている神堂だが、オレはそんなことよりも恐ろしい波動を感じてしまった。

 

「そ、そんな……」

 

そう、それは誰よりも巨乳ブレスの効果を待ち望んでいた彼女、愛香ちゃんの波動だったのだ。

 

「なってるじゃない!巨乳になってるじゃないの!トゥアール!!」

 

「なってますねー」

 

それでも自分よりも小さいサイズだと即座に確信できた彼女は余裕の表情で愛香ちゃんに答えていた。

 

「お願い、交換してええええええええええええええ!!!」

 

そして愛香ちゃんは恥も外聞もなく神堂の脚に縋り付いて交換してもらうように懇願を始めたのだった……。

 

愛香ちゃん、君、気にしすぎだと、思うぞー…………。

 

 


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