オレ、Jokerになります。[凍結中]   作:fateplanet

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結局習慣づいてたので書いてしまいました。




完成した新ギアと可哀想なモノを見るオレ

さて、強烈な瘴気に見舞われ、またこんな時に限って全くと言っていいほどエレメリアンが出なかった連休も開けて、ついに完成した新型テイルギア。

今日はその記念すべき初お披露目の日であった。

 

「ついに、ついに完成したんですね!トゥアール様!!巨乳ブレスが!」

 

「おかしいぞコアの属性力が変わってるぞおい!」

 

「愛香ちゃん、目が血走ってて怖いぞー」

 

正直乙女(ヒロイン)がしちゃいけない表情に……ってそれはいつもか。

 

まぁ、それほどまでに完成を待ち望んでいたのだろう。正直引くほどびっくりしているが、オレは。

しかし、そこまで気にしてしまうものだろうか。正直オレはどっちでもいいと思っているのだが……。それに総二だって胸よりツインテールなんだし。

きっとそこを言っても彼女は気にしてしまうんだろうことは今の執念から察しはつくのだが…。

 

「さあ、愛香さん、どうぞ。これが、第三のテイルブレスです」

 

そう言って手渡された真新しい黄色いテイルブレスを今まで付けていた青いテイルブレスを外した所に改めて付け直す愛香ちゃん。

その顔はもう楽しみで楽しみでたまらないといった風であったのだが、気付いているのだろうか?これってある意味究極のニセ乳なんじゃないのかということを……。

結局のところギアの力で大きくなっているだけなのだから、PADを付けているのに等しいんじゃなかろうかと思うのはオレだけなのだろうか?

 

そんなオレの内心等知らない彼女ははしゃぎ倒して、総二に見ているように念を押していく。総二に胸をアピールしても無駄だと思うんだけどなぁ…‥。

 

「テイルオンッ………!」

 

そうして、変身キーワードを力強く唱えた彼女はしかし、光に包まれず、私服姿のままだった。

なんでだ?いくらトゥアールちゃんでもこれに関しちゃおふざけはしないはずなのに。

 

「あ、あれ?」

 

「???」

 

「て、テイルオン!……テイルオン!!テイルオン~~~~~ッ!」

 

何度も試しているが一向に変身する気配さえ生まれず、ついには手を振り回し始める始末である。

その姿は欲しいものを買ってもらえない子供の姿を幻視してしまう。

 

「どうして変身出来ないのよ!トゥアール………これ壊れてるんじゃないの!?」

 

「いえ、そんなはずはありません!変身は絶対できるはずです!」

 

「でも現に出来てないしなぁ……もしかして最初に使ったのしか受け付けないとかか?ほらよくあるじゃないか」

 

色んな特撮でもあったしなぁ。ほら、オーズでもそういう描写があったし。

 

「いえ、そんなことはありませんよ。確かに強引に強奪された際のセキュリティは存在しますが、世界最高クラスのツインテール属性がなければ起動しないんですよ?わざわざ本人以外で使えないなんていうムダなセーフティなんかつけませんよ」

 

「そういや、そういう条件があったっけ」

 

忘れてしまいがちだけど、もともとテイルギアは強いツインテール属性を持つ者にしか使用が出来ないんだったよな。

本来男である総二が変身できていることが異常なのであり、それに慣れてしまってはいけなかったのだということを思い出した。

総二は例外中の例外。本来なら存在しないような奴だったんだよなぁ……。

 

「えぇ。ですから、総二様レベルではないとしても世界レベルのツインテール属性を持つ愛香さんならば、起動するはずなんですけど……」

 

「どうしてか、反応しないと」

 

こうやっている間にもずっとテイルオンと言い続けている愛香ちゃん……そこまでなのかい、そこまで乳に執着するのかい、愛香ちゃん……!

 

「そうだ、総二様も試してみます?」

 

そう言われた総二は一度自分のブレスを見てから

 

「せっかくだけど、オレはこれでいいよ」

 

そう言って誇らし気に自身の赤いブレスを掲げたのであった。

 

「もしかしたら、女の子にならないかもしれませんよ?」

 

いや、巨乳の属性力組み込んでんだから、女性化は確実だろうに。

 

「いや、これがいいんだ。テイルレッドのギアが。トゥアールのツインテール属性――トゥアールの思いが詰まったこのギアだから、これじゃなきゃ、ダメなんだ」

 

「私の――想い」

 

「ひゅぅ」

 

相変わらず、ツインテールが絡むとカッコいいことをおっしゃる弟君だこと。まぁ、そこが総二のいいところであり、欠点でもあるんだけど。ツインテール以外でもかっこよく決めてほしいものだと思う。折角男に生まれたのだ、ハードボイルドにかっこよく、ってねぇ。まぁオレもハードボイルドには程遠いんだけどね。

 

「愛香。なんとなくだけど変身出来ない理由が分かる気がするよ。きっとお前も心のどこかでテイルブルーのギアじゃなきゃダメだって思っているんだ。だから新しいテイルギアは装着できないんじゃないかな?俺も試さなくても分かる。きっとそのギアじゃ俺も変身出来ない」

 

………いや、あの執念はそんなものをすっ飛ばしていたと思うのはオレだけなのだろうか?あれはそんなことを片隅にも置いていない顔だったと思うんだけど。それにそうじゃなきゃあそこまで(かしず)けられないぞ?

そんなオレの内心など他所に総二の演説は続いていく。

 

「2つともトゥアールの想いが、心が詰まってるんだ。それを託された俺達が他のギアを使うなんてありえないよ」

 

「総二様……」

 

そういった総二は確信しきった顔で言っていた。まぁ、ロマンチズムあふれる内容ではあったが、属性力だって、心の力なのだ。総二の言ったことも一理あるのかもしれない。

愛香ちゃんの中に前のギアの方が良かったと思っているという点については全く頷けなかったが。

 

「新しいブレスは何かのためにとっておいてくれ。俺達はこれで十分だからさ」

 

「まぁ、オレも必要ないしな。ツインテール属性がないし。何かの拍子で必要になる可能性だってあるんだし」

 

オレには殆どツインテール属性はないらしいからな。好きなのは好きなんだけど、なぁ。まぁ総二レベルで好きなわけがないが。

 

「でも、それだと愛香さんは巨乳に……」

 

しかし当の愛香ちゃんはさっぱりした様子で快活に答えたのだった。

 

「ううん、いいわよ。気軽に着せ替え出来るようなもんじゃなかったのよ。あたしが間違ってたのよ。心にウソはつけないってことなんでしょうね」

 

そう言って黄色いブレスを外すと、青のブレスを元の位置へと付け直した彼女は、その新ブレスをトゥアールちゃんに返したのだった。

その返されたブレスを胸に抱いたトゥアールちゃんは、告解するように言葉を発した。

 

「愛香さん、白状します。私、復讐するつもりだったんです。本当は、身体変化のための属性力ハイブリットなんて机上の空論だったんです。意気揚々と新しいテイルブレスを付けて全然胸の大きくならない愛香さんを見て思いっきり笑ってやろうと思ったんです。どんな力を使おうが貴女は貧乳なんですよ、って……」

 

「それなら、あたしも同じよ。目的の物さえ頂ければ、あとはもう散々扱き使ってくれた仕返しに心臓止まる一歩手前にまで追い込んでやろうと思ってたのよ…」

 

「愛香さん……」

 

「トゥアール……」

 

………君ら、何をぶっちゃけてんだよ!?お兄さん、下手したら凄惨な現場に居合わせてた可能性が相当あったんだね!?というか君らそれでよく一緒にいられるね!オレだと無理だわ!きっと逃げ出してたと思うわ!

 

そんな風に2人が笑いあっている隣で戦々恐々としていたオレと総二であったが、そんなことを考える余裕などなくなってしまう事態が発生する!

それは基地に備え付けられている警報だった。それがけたたましい音を立てて反応したのだ!

そのことでモニターを見たトゥアールちゃんが悲鳴にも似た声を発した。

 

「!総二様、エレメリアン出現です!これは……物凄い力の属性力が2体!」

 

「なに!?」

 

「まさか!」

 

「はい。そのまさかです。ドラグギルディレベルの幹部級が2体も現れたことになります!」

 

おいおい。あれだけ苦労したのが2体も出てきやがったのかよ!

………それでもオレの心は落ち着いていた。何よりも一度越えたものなのだ。2度目なのに越えられないわけはないのだ!

 

「よぉし!望むところよ!今日ならどんな奴にだって負ける気がしないわ!」

 

「その意気だ!行こうぜ、愛香!兄さん!」

 

「うん!」

 

「あいよ!」

 

《Joker!》

 

「「テイルオンッ!」」

 

「変身!」

 

《Joker!!》

 

さぁ、倒しにかかるとするぞ!

オレ達がワープを越えた先に広がっていた、その光景は――――

 

「この摩天楼を闊歩する、巨乳のツインテールはおらんかー!!」

 

「違う!私達は正しい貧乳のツインテールを求めなければならぬのだ!!」

 

そんな馬鹿げた野太い声が聞こえる光景だった………。

 

なんで毎度の事ながら変態ばっかなんだよ!コイツらはぁぁぁぁぁあああ!!!!!!


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