オレ、Jokerになります。[凍結中] 作:fateplanet
さて、トゥアールちゃん主導のもと制作にかかった新型テイルギアではあるのだが、彼女の腕を以てしてもこの大型連休全てを費やさなければならないらしく今日からラボに籠って作業するようだ………召使い的扱いの愛香ちゃんとともに。
トゥアールちゃんは日ごろの鬱憤を晴らすかのように愛香ちゃんを
その仕打ちの1つ1つを愛香ちゃんがしっかりとカウントしていたことに。だからこそオレは実家なのに、逃げるようにして家を飛び出たのである。あの空気にはとてもじゃないが耐えれれそうになかったのである。
もしも、もしもであるが、うまく巨乳になれなかったとしたら、トゥアールちゃんの命は消えてしまうのではないかと考えてしまう。
まぁ、その時は流石に見過ごせないから介入はするのだが……。
そんなわけで当てもなくブラブラと散歩を敢行していたオレは折角なのでバイクショップに足を運んでいた。何を隠そう、去年の誕生日の際に中型免許を取得しているのだ。
やはり現世にはないが前世で仮面ライダーに憧れていたのだ。やはりバイクというものに憧れを持つのは道理であろう。
そんなわけでやってきたのはHondaのバイクショップ。前世は平成ライダー世代だったから、やはりここのバイクに興味があるのだ。買わないけど。
買わない理由は簡単だ。お金がないのと校則に違反するからだ。学生である以上校則は遵守しなければならない。そうでないと停学や最悪退学になってしまうのだから。
というわけでウィンドウショッピングではあるが、バイクを見ていく。それだって、CBR1000RRやDN-01、シャドウファントム、Fire Stormといったバイクを中心に見ていく。ここら辺はライダーのバイクの素になっている奴らだからな。この世界では関係ないが。
その代わりにこの世界ではメタルヒーローでバイクを使う際にはここのを使用しているようではあるのだが。
校則さえなければ、ローンを組んで買うのもアリかとは思うんだけどなぁ………。
後日このことをトゥアールちゃんに話すと、軽くバイク位ならできますよ?という答えが返ってきたのだから驚きである。
そうやって、ある程度バイクを見てからオレはショップを後にする。流石に買わないのにいつまでもいるわけにはいかないからなぁ。
そうしてブラブラとしていると見知った顔を見つけた。
「お?神堂じゃないか。奇遇だな」
「あら?観束くん。本当ですわね」
神堂とそのSPなメイドさん達だった。……あれ?
「今日は桜川さんいないんだな」
「尊は、母の勧めでお見合いに行きましたの」
お見合いか……。流石に学生に配ってたことを問題視されたんだな。
「うまくいくといいな」
「えぇ、本当に」
そうして全員で大きくため息を吐くオレ達。同僚にも心配かけてるってどんだけなんですか、桜川さん。
「ところで観束くんはどうしてここに?」
「あー、ちょっと家に居づらくてな、いろいろあって」
新型ブレスの制作の色んな意味で修羅場な場所に居たくなかったとは言えない。いや、修羅場の事は言ってもいいのかもしれないが。
「?大変なのですわね?」
「そう、大変なんだよ」
ホントにどうしてああなっちゃうのかがオレには分からないよ。
「それは置いといて、神堂はどうしてここに?」
ここら辺には場末のおもちゃ屋さんしかないんだけどな。
「実はこの近くのおもちゃ屋さんでツインテイルズのフィギュアが販売されるそうなんですの」
「……そっかぁ」
もう戦い始めて1ヵ月以上になるんだもんなぁ。そろそろ金型も出来て生産体制に入るよなぁ……。
「でもそれだったらいつものところでもいいんじゃないか?」
「それが、近辺ではここだけなんですの、テイルブルーの物もセットになっているのは」
………愛香ちゃんェ。
「ま、まぁ、ブルーは世間一般じゃあんまり人気ないからなぁ」
「そうなんですのよ。あの3人、いえ仮面ツインテールも合わせてツインテイルズだというのに」
愛香ちゃん、ここに君のファンがいらっしゃるぞー。
「それでこの辺じゃあそこの店にしか全部セットの物はないんだな?」
「えぇ。大体のところがレッドとジョーカーのセットオンリーなのです。この間出た食玩だってブルーはシークレットなので探し出すのに苦労しましたのに」
……そうらしいな。メイドさん達がげんなりしてるじゃないか。一体どれだけ買って、それの処理を手伝ってもらったんだ、神堂。
「そのせいで大分お金を使ってしまいましたが、今回はお年玉を崩して資金を用意しましたから。抜かりはありませんわ」
「そ、そうか」
凄い執念だなぁ、神堂は。
「観束くんは行かれますか?」
「いやぁ、オレは行かないかな。お金だって対して持ってきてないからな。予算がないんだ」
流石に自分たちがモデルのフィギュアは持つ勇気が湧かないしなぁ。
「そうなんですの……では、また学園で会いましょうね。さようなら」
「おお。またな、神堂」
そうして神堂が歩いて行ったのを見送って、オレも家の方に向かって歩いて行った。
結構歩いたし、いい運動にもなったし、流石にもう愛香ちゃんも帰ったころだろうと思ったからだ。というか、思わせて下さい。お願いします。
そうやって帰っていると、また見知った人影を目撃してしまった。
「あれ?恋香さん?」
「あら?一くん?」
そこにいたのは幼馴染みの姉の方、津辺恋香さんだった。
彼女は愛香ちゃんの姉で大学2年生の物腰柔らかな女性である。………たまにシモに走っちゃうのが困ったところではあるのだが、まぁその程度であるのなら、最近我が家にやってきた異世界人の方が外れているので、問題はあんまりなかったりする。
「奇遇っすね。こんなところで会うなんて」
「そうねぇ。最近じゃ会うこともそんなになかったから。どう?お店を継ぐ準備は出来てる?」
「まだまだですよ。母さんバリなコーヒーはまだ淹れられませんし」
「そうかしら?前に飲んだ時はとてもおいしかったように思うんだけど?」
「それでもまだまだなんですよ」
「そっかぁ。まだまだなんだ」
「えぇ、そうなんですよ」
と、ふと視線をずらすと恋香さんは大荷物を持っているのに気付いた。
「恋香さん、どうしたんですか?その荷物」
「あ、気付かれちゃった?お母さんに頼まれて食材買いに行ってたから」
にしても重そうだなぁ……よし。
「オレ、持ちますよ」
「えぇ?でも重いし悪いから」
はぁ、まぁそういうのは目に見えてたしなぁ……。
仕方ない。ここは強引に、と。
「いいから、持ちますよ。どうせ帰り道が一緒ですし」
とりあえず、強引にオレがその荷物をもつ。
「あ……もう、しょうがないなぁ。でもありがとう、一くん」
「どういたしまして」
………ホントに結構重いなぁ。まぁ体鍛えるのにはちょうどいいか。
そうしてオレは恋香さんと一緒に家路に着いたのだった。
追記
もう大丈夫だろうと思っていたが、帰ってみると瘴気を噴出する愛香ちゃんと遭遇して、胃が痛くなってでござる。
そろそろ毎日更新に疲れてきました。