オレ、Jokerになります。[凍結中]   作:fateplanet

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モノローグで終わる戦闘とその時蚊帳の外なオレ

桜川さんによる婚姻届けによる蹂躙があったその放課後。オレが今日も今日とて掃除当番により、部活に行くのが遅れている間に、アルティメギルはまた現れたらしい。しかも場所はグラビア撮影の現場だったそうで。しかも巨乳属性(ラージバスト)を持つエレメリアンだったそうで。

そのことにキレていた愛香ちゃん――テイルブルーの手によってエレメリアン、バッファローギルディは一瞬のうちにやられたそうだ。全くの見せ場もなく、ブルーに蹂躙された姿は敵ながら同情を禁じ得ないものだった。

そのせいか、案の定夕方のニュースではいいように報道されておらず、自業自得、仕方ないものがあるんじゃないかと最近オレは思い出していた。

 

で、今は日も暮れた晩。無事に本日の営業を終えたアドレンシェンツァの地下に存在するツインテイルズ地下秘密基地にて、オレ達はブリーフィングをしていた。1人を除いて。まぁ、それには後で触れるとして、今は……と。

 

「アルティメギルが戦力増強してきたのは間違いないっぽいな」

 

「確かにな。今までも爬虫類系から変わってきてたし」

 

今までなんだかんだで出てきてる奴はその殆どが爬虫類系のエレメリアンだったのだ。それが急に変わったこともあるし、何よりも映像の中でバッファローギルディが言っていた『主のため巨乳属性(ラージバスト)を』と言っていたのだ。

 

「当然、前々回出てきた学校水着属性(スクールスイム)のタイガギルディじゃないだろうし、また新しい幹部クラスが現れたってことなんだろうな」

 

あ、ちなみにタイガギルディは前々回、つまりツインテール部が始動した前後に現れたエレメリアンなのだが、欲望に素直すぎたために瞬殺されたのだ……ブルーに。

ついでに言っておくとドラグギルディとは親友だったそうであるが、その力の差は愕然とするほどに開いていたことを記載しておく。

 

「そうですね。これまでの情報を統合してくならば、たくさんの侵攻部隊で様々な異世界を侵略していたんでしょうが、ツインテイルズがあまりにも強かったことから追加の応援部隊を派遣してきたのでしょう」

 

倒しても倒しても補充はいくらでもきくというわけでもあるが、こういうのでお約束なのは段々と強いのが現れていき、そして最後は首領が現れるってのが特撮なんだけどなぁ……現実はそうはいかないのであろう。

大量の部隊がいるのだからわざわざ首領自らやってくるというのは考えにくいし。

 

「このまま俺達で対処していけるのかな…‥」

 

流石に不安を感じたのであろう。総二はそんな弱弱しい言葉を吐き出していた。

まぁ、確かに不安は感じるだろう。オレ達たった4人で対抗し切れるのかは、正直なところ微妙であると言わざるを得ない。向こうが戦士気質であるために1,2体でしか現れていないからこそ対処できているのであって、大量に来られた場合、勝てるのかというが一番不安を感じることだと言えよう。

 

そんなオレ達の心情が伝わったのだろう。トゥアールちゃんはオレ達に向き直り確信を込めて言ってくれた。

 

「大丈夫です!総二様のツインテールを愛する心に限界はありませんし、私だって精一杯サポートさせていただきますから!」

 

……励ましの言葉ってのは、やっぱりいいものだな。心に活力が湧いてくる。だからこそ、声援には力が宿るんだろうな。

だからこそ

 

「……うん、ありがとうな。トゥアール」

「Thank you,lady」

 

ちゃんとそれに応えるようにしなければな!

 

でだ。そろそろこの場にいる最後の1人に触れていこうと思う。

それはコンソールルームの隅っこで何やら左腕を噛んだり叩いたり振り回したりと忙しなく動き続けている人影――――愛香ちゃんであった。

 

彼女が何をしているのかと言えば、今回のバッファローギルディからゲットした巨乳属性の属性玉を試していたのだ………全く作用しなかったが。

なんでも属性玉には純度があるそうで純度が高くなければ、属性力変換機構(エレメリーション)出来ないそうなのである。

ようは、高純度のエメラル鉱石がなければジャンバードがジャンボットになれないように、同じく高純度でなければ扱えないのである。例えがあってるかが不安ではあるが、そういうことらしいのである。

 

と、オレが改めて属性力変換機構(エレメリーション)について回想している間にもいつの間にやら降りてきていた、悪の女幹部(・・・・・)コスの母さんを加えて何やら議論をしていたが、オレは母さんの格好を見て関わることをやめたくなってしまった。まぁ、総二が律儀にツッコんでいてくれたからいいのだが。

 

とまぁ、母さん乱入という騒動の興奮からも冷めた総二と共に母さんの提案を聞いてみると、新しいギアを作ってはどうかというのだ。

確かにツインテールの高純度コアはドラグギルディ戦で手に入れることはできているのだが……

 

「可能なのか?トゥアールちゃん」

 

「まぁ、材料は揃っていますし、出来なくはないですよ。それに予備のギアを作っていおくというのは賛成でもありますし」

 

「なんでだ?」

 

「総二様のギアは新しいですが、愛香さんのギアは正直もう相当古いですからね」

 

「いいわよ、あたしはこれでも」

 

そう言って何かで光るギアを指で親しみを込めて撫でる愛香ちゃん。その光ってるのさえなけりゃいいシーンなのになぁ……。

 

「いえ、というのも実はですね、属性玉のハイブリットを作ろうと考えていまして」

 

「ハイブリット?」

 

「総二様の幼女化を意図的に行おうということなんです。総二さんのソレは無意識化での事でしたので、今度はそれを事前に組み込むとこを目的としたギアを作ろうかと思いまして」

 

「つまりは属性力の掛け合わせを意図的に行おうってことなのか?」

 

「そういうことです。さっきの使えない巨乳属性もうまく使えば根本的な身体変化ができるのではないかと考えます」

 

と、ここで耳聡くこのことを聞いた愛香ちゃんが動く。

 

そこからは正直見るのが忍びないレベルであった。完成したら真っ先にそれをくれと言うし、弱みを握ったと思ったのだろう。今までの仕返しを込めて態度が悪いんじゃないかといったことを言えばすぐさま様付け、土下座まで披露して彼女にどんな風に向き合えばいいというのか……。

そこまでか!そこまで胸にコンプレックスを持っていたのか、愛香ちゃん!

 

それに心折れたのと、女としてその悩みに共感できたのであろう、トゥアールちゃんは承諾し、完成したテイルブレスを譲るといったのであった。その時2人は抱き合っていたのだが……オレのところから2人の表情がしっかりと見えてしまった。

 

邪悪な表情に歪んでいる2人の顔をという、最悪のモノを………。

これはきっと後々荒れるのではないだろうか…………。まぁいいか。どうせ被害を(こうむ)るのは総二なんだろうし。オレに火の粉がかからないのならいいか。

 

この時、オレはちゃんとこの計画に反対しておけばよかったんじゃないかと後悔する羽目になるのだが、この時点ではそんなことを露とも知らないオレ達なのであった。

 

 


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