オレ、Jokerになります。[凍結中]   作:fateplanet

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新しい日常といつも通りなオレ

あの土曜日の戦いから2日後。

今朝も総二を巡って愛香ちゃんとトゥアールちゃんの醜い争いがあったが、そんなことなどお構いなしに時間は過ぎていく。え?オレはそれには関わらなかったのかって?最近中二病喫茶となったおかげかお客さんも増えてきたので、朝の仕込みを手伝っていたので関われなかったのだ。まぁ、関われたとしても心労を重ねるだけだから、関わる気は全くなかったのだが……。

 

そんな日常を越えて、今は学校に向けて4人(・・)で向かっているところなのだ。

 

「さあ、今日こそ私の編入初日です!気合い入れていきましょう!」

 

「悲哀しか出てこないわよ」

 

そう、トゥアールちゃんの真・初登校日なのである。そのせいか異様に気合いを入れて何やら画策しているようであったが、オレにとっちゃ関係ない話である。理由?学年が違うからである。

学年が違うということは、部活なんかで関わらない限りそうそう学校で接点なんぞ出来ないから。オレだってわざわざ1年の教室まで顔を見せる必要なんてないわけだし。

 

「トゥアール、頼むからみんなで考えた設定以外は話さないでくれよ?」

 

「了解です、総二様。私を誰だと思ってるんですか?」

 

「………」

 

「「変態幼女好き痴女」」

 

「愛香さんはともかくお兄様まで!?」

 

だって、あの告白聞いてたらこうとしか答えられないじゃないか。ねぇ、愛香ちゃん。

 

「いや、当たり前じゃない。アンタ自覚なかったの?」

 

「自覚ならありますよ!この豊満な胸の中に!」

 

そう言って愛香ちゃんを挑発するように胸を張るトゥアールちゃん。あぁ、そんなことをすると……

 

「だったら、それ事、押しつぶしてあげるわよっ!」

 

「にぎゃあああああ!!胸が!胸がぁぁぁああ!!」

 

言わんこっちゃない。とういうか、すんごい目立ってて恥ずかしいぞ…。

 

「……不安なのはこっちだな」

 

総二、関わりたくないのは分かるけど、スルーしてやんなよ。いやオレもスルーしてるけどさ。

 

認識攪乱装置(イマジンチャフ)には不備はなかったんだよな?」

 

「そうらしいぞ。神堂の高いツインテール属性を加味しても見つかることはシミュレーション上、ないらしい」

 

今は胸を押さえて蹲っているトゥアールちゃんの代わりに昨日聞いたことを話してやる。

なぜ、聞いたのかって?オレの体の事も調べてもらったからだ。

桜川さんが勝てなかった相手に簡単に、とはいかないが勝てたことからオレの体にも異変が起きているのではないかと危惧したオレは精密検査をお願いしたのだ。

結果は健康そのものであり、まったく問題などなく、また筋力の異常なども見当たらなかったらしい。

その結果に疑問を感じたが、天才であるトゥアールちゃんの診断なのだ。人格と趣味に問題があろうが腕は確かなのだ。その結果は本当にその通りなのであろうことは、わかった。それにこっちが真剣に頼むと彼女はおふざけなどなく、きちんと結果を出してくれるのだから、根はいい子なのであろう。趣味ですべてが台無しではあるのだが……。

 

さて、そんなこんなをしている間にも学園が目の前にまで来ていた。

 

「んじゃ、オレは行くぞー。また放課後な?」

 

「わかったよ、兄さん。ほら、愛香にトゥアールもいつまでもじゃれてないでいこうぜ?」

 

……じゃれてたんじゃないと思うぞ、総二……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、何事もなく教室にやってきたのはいいのだが……現在教室では目を疑いたくなるような光景が広がっていた。

 

「さぁ、婚姻届けがいる者はいないのか!」

 

「「「「結構ですー!!」」」」

 

「お、俺はテイルレッドたんのために純潔を捧げるんだー!!」

 

「ぼ、僕はテイルジョーカーさんに優しくもらってほしいんだー!!」

 

「俺は、2人に罵られたいんだー!!」

 

………なに、この状況。そして何を欲望全開にしてるのかなぁ、クラスメイト諸君。

 

「おはようございます、観束くん」

 

「おお、土曜日ぶりだな、神堂。でだ」

 

「はい」

 

「この状況はなんぞや?」

 

「えーと、ですね……どこから話せばいいものか」

 

「とりあえず、始めから説明してくれ」

 

「そうですわね。実は、尊にここの体育の教師になってもらったんですの」

 

「教師って……桜川さん、持ってたのか、教員免許?」

 

いくらここが私立でも教員免許がないものを雇うのはダメなんじゃ……?

 

「いえ、それが尊持ってたんですの、教員免許を。なんでも大学時代取れるものは全部取ろうと考えてたみたいなので……」

 

いや、それで取れるってどんだけ優秀だったんだよ、桜川さん。

 

「それでいつも護衛だけで学校にいるのもわたくしのきが引けたので……」

 

「それで、学校の先生になってもらうといいと考えたのか」

 

「えぇ。ちょうどお1人、寿退社されて枠が余っていたこともあったので」

 

「それで、今の状況なのですが…」

 

「あ、そっちは大丈夫だ。いつもの発作だろう?」

 

「………そうなんですの。確かに婚期は恐ろしいものだとわたくしも尊の様子を見ていたらわかるのですが、流石に1回りも違う相手に向かっては、どうかと……」

 

「多分言っても聞かないんだろうなぁ」

 

「まぁ、聞いて止まるようなら、全校生徒分も用意はしませんわ」

 

「「……はぁ」」

 

って、ちょっと待て?!

 

「今、全校生徒分って言ったか、神堂?」

 

ウソだろ?嘘だと言ってくれよ、神堂。

 

「えぇ。なんでも昨日のうちに用意してそうなんですの」

 

どこまで執念燃やしてんですか、桜川さん……。

 

「おや、観束じゃないか。お前にも1枚やろうではないか」

 

げ、見つかったし!

 

「はっはっはっは、謹んで遠慮しますよ、この野郎」

 

「そう言わずに、減るものでもあるまい」

 

「減りますよ。主に地球資源的な意味で」

 

「そんなもの婚期の前には塵にも等しいわ!!」

 

「塵にしちゃダメでしょうが!」

 

「ふん、見ていろよ、観束!美人先生として皆からちやほやされて、結婚相手を見つけてやる!そのあとに『やっぱり結婚してください』と言ってきても結婚なんぞしてやらんからな!」

 

「安心しろ、絶対言わねーから」

 

たとえオレが独身貴族になったとしてもそれだけはねーから。

 

「何故だ!」

 

何故って………。

 

「単純にタイプじゃない」

 

「な……!」

 

だって、ねぇ。

 

「な、ならばどんなのがタイプなのだ!?」

 

「そこに食いつきますか……ってなんで全員が耳を澄ましてるんだよ?」

 

「だって、観束がタイプの事言うのって初めてだし、なぁ?」

 

「「「「「うんうん」」」」」

 

「そこまで珍しいもんか?」

 

「おう、珍しいぞ?」

 

まぁ、確かに友達の間で言った覚えはないなぁ……。

 

「そんなことはどうでもいい!貴様のタイプはなんなのだ!」

 

桜川さんはそろそろ落ち着けというのに……

まぁ、言ったところで減るもんじゃないか。

 

「オレのタイプは………」

 

「タイプは……?」

 

《キーンコーンカーンコーン》

 

「あ、チャイムだ。席につかねーとな」

 

《ズゴロガシャドガーン!!》

 

「「「「「言わねーのかよ!!」」」」」

 

「だって、チャイムなったし。席につかねーと」

 

「「「「「こんなところで真面目か!?」」」」」

 

だって、学生の本分は勉強だろうに。

 

こうしてオレのタイプはなんなのかがウチのクラスでの謎となったが……ちゃんともっかい聞けば答えてやるのに。

 

オレのタイプは、趣味が合うやつだって。

 

 


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