オレ、Jokerになります。[凍結中]   作:fateplanet

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戦闘員とオレ

オレが戦闘員にダメージが与えられることが分かったからなのか、この場にいる戦闘員どもがわらわらと寄ってきてしまった。

こっちは神堂と桜川さんを助けなければならないというのに……!

 

「そこをどけぇ!この雑魚ども!!」

 

だが、そんな泣き言も言っていられない。早く助けなければ、また神堂の属性力は奪われてしまうし、なによりもあの光景を見るのはなぜか嫌なんだ!

だったらどうすればいい。答えは簡単だ。邪魔する障害を……!

 

「叩き壊せばいいだけだもんな!!」

 

とりあえず1番近い奴に喧嘩キックをブチ込んでやる!

 

「モ”ゲッ!?」

 

「さあさあ、かかってこいや!今のオレは押さえが効かねぇぞ…?」

 

ここからは喧嘩の時間だ!

まずこちらに向かって拘束しようとしてくる奴が背後から近づいてきているので、シンバルキックをお見舞いしてやる!

そしてその回転を生かしたままにもう1体近づいてくる戦闘員に拳をお見舞いしてやる!

これで2体!次は!

 

真正面から近づいてくる3体に1,2パンチとアッパーのコンビネーションで沈めてやる。そしてしゃがんで左右から殴りかかっている奴ら同士で同士討ちを誘い、ジャンプする要領で同士討ちした奴らの顎に両の拳で打ち抜いてやり、ジャンプの勢いを使いフライングクロスチョップを叩き込んでやる。

そのまま倒れこむオレに蹴りを入れようとしている奴らが4体!両腕をバネに見立て、跳ね上がるようにして起き上がりそれらを避ける。そしてその内の2体の頭を掴んで、もう2体の頭に思い切りぶつけてやる。これで11体!あとは何体だ!

しっかりと数を減らせたと思ったが、まだ十数体はいるようだ。普段ならもっと早く倒せるというのに……やっぱり変身しなければ、こんなものなのか、オレは!

 

オレが戦闘員達に手間取っている間にも、神堂はクラブギルディの手によって属性力を奪われそうになってしまっている。このままじゃ、間に合わない!こうなったら正体バレの危険が伴うが、変身するしかないか!

 

そう腹をくくった時、よく知る声が聞こえてきた。

 

属性玉(エメレーラオーブ)―――――兎耳属性(ラビット)!!」

 

その声と共に神堂を押さえていた戦闘員がはじけ飛ぶように吹き飛ばされた。

それは青い閃光。そしてそれとともに現れるのは――!

 

「ブルー!あっちの戦闘員達は頼んだ!」

 

そう、我らが弟であり、正義のヒーロー(ヒロイン)、テイルレッドこと観束総二である。

 

そうして、総二――テイルレッドがクラブギルディに向かい合う間にもブルーはオレの方にやってきた。

 

「なんで、貴方が戦ってんですか、生身で」

 

「オレだって知らん。でも、神堂がヤバかったんだからこうするしかなかったんだよ」

 

「だからって生身で戦うのはヤバいじゃないですか」

 

「しょうがないじゃないか(えなり風)」

 

「なんで、ここでものまねする余裕があるんですか?」

 

なんでかって?それはね、君がキックホッパーよろしく雑魚狩りをしてるからなんだよ?なんで普通にキックホッパーの連続キック的なものが出来てるのか、お兄さん、超疑問なんだけどね。

 

「とりあえず、ここはあたしに任せて、一樹さんは会長達の方に行ってください」

 

「了解した」

 

とりあえず、いても邪魔なようだし、あっという間に狩りきれるだろう。そして気付けばクラブギルディもレッドにやられているようだし、神堂とレッドが話しているところを見るに、向こうも無事に終わったようである。

 

そうしてあっちに近づいているときに信じられない言葉が聞こえてきた。

 

「ご、ごめん会長(・・)……それじゃ!」

 

あのバカ!会長とか言えば、うちの学校だってばれるだろうが!

案の定、神堂はびっくり顔でレッドを見送っていた。

 

馬鹿が……これで少なくともテイルレッドが陽月学園の生徒であることがばれてしまったと考えていいだろう。

まぁ、その辺の事は後で考えるとして、今は

 

「神堂、大丈夫か?」

 

「…‥は!観束くん。えぇ、わたくしはツインテイルズに助けていただいたので大丈夫ですわ。観束くんの方は?」

 

「オレか?オレはまぁ、何とかなったよ。戦闘員どもってあんまし強くないのな?」

 

「え?尊やうちのメイドでは歯が立ちませんでしたけど……?」

 

「なんだって?」

 

おいおい、神堂家のメイドさんって相当強いはずだぞ?人間やめてる愛香ちゃんならともかく普通の人間レベルのオレが神堂家のメイドが太刀打ちできなかった存在に圧勝できたいただなんて……どういうことだ?

 

「観束くんって、お強いんですのね」

 

……まぁ、そこら辺は後で考えればいいか。

 

「まぁ、これでも結構鍛えてますから。ホントに皆にケガはないんだな?」

 

「えぇ、メイドたちも気を失っているだけですから。ただ、尊が少し痛手を負ったかもしれません」

 

「桜川さんがか?」

 

桜川さんがなんて…‥

 

「いえ、私はもう大丈夫です。観束も私はそこまで痛手を負っちゃいない」

 

「み、尊?!」

 

「桜川さん?!」

 

「私も取り押さえられていただけだからな。奴ら、ツインテイルズが現れるや否や私の拘束など外し、向こうに向かっていったからな」

 

「そ、そうだったんですか」

 

「と、いうわけでだ、お嬢様を守れなかった私は痛く傷心していてな。観束、お前にその心を癒してもらいたい」

 

「………婚姻届けにサインならしませんからね」

 

「なぜ分かった!?」

 

「いえ、いつもの尊を見ていれば皆すぐにわかると思いますわよ?」

 

「お嬢様まで!?………こうやってお話できているということは大丈夫なようですね、2人とも」

 

……どうやらこっちも心配をかけていたようだ。

 

「えぇ、オレなんかはぴんぴんしてますよ」

 

「わたくしもツインテイルズのおかげですわ。それに……」

 

神堂はそこから言葉にはしなかったが、大体言いたいことは分かる。憧れのヒーローにまた出会えたのだから嬉しいと思っているのだろう。

これはいけない方向に向かっているのではないだろうか?

これまで神堂は何度かアルティメギルの標的にされてしまったことがある。そのせいで危機感が少し薄れてきているのではないか。そう考えてしまう。

 

「神堂、お前……」

 

「そ、それはそうと、今日はテイルジョーカーは来ませんでしたわね?」

 

オレや桜川さんに危惧されたことに気付いたのであろう神堂はあからさまに話題を変えてきた。

しかし、それはオレには大変答えにくい内容でして……

 

「さ、さぁ、どうしてだろうな?」

 

「そういえば、彼女は(たま)に現れないことがありますね」

 

それはね、学校の用事だったり、実家の手伝いなんかをしてるからなんだよ?

こう見えてオレは将来は実家を継ごうと考えてるため、料理やコーヒーの淹れ方なんかを勉強しているのだ。

高校を出たら、調理師免許を取れる学科を目指しているのだ。しかし、今のままではとてもじゃないが継げる状況ではないから、きっちりと継げるようになれば、もう少し宣伝にも力を入れなければと思う。

 

「きっと、彼女は先輩戦士として2人を育てているのですわ!」

 

違います。戦い始めたのも2人と同時期です。

 

この後、オレは神堂によるテイルジョーカー考察につきあわされる羽目になったのは、まぁ、余談である。


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