オレ、Jokerになります。[凍結中] 作:fateplanet
「なぜだ!なぜ分からぬ!寂しいと死んでしまうという儚さをその身に宿した天使の―――」
「グランド!ブレイザァァァァアアアアアッ!」
炎刃一閃。これ以上戯言を聞かないためかどうかは分からないが、一撃にてウサギ型エレメリアン、ラビットギルディを塵へと返す総二ことテイルレッド。
オレ達がツインテイルズとなってはや1ヵ月弱が経とうとしていた。
その間もアルティメギルの連中は、ほぼ毎日のようにエレメリアンを至る所に送り込んではオレ達に倒されるというのを繰り返している。
その結果オレや総二の人気は天井知らずのごとく上がっていき、今では世界規模での認知度になってしまっているのだ。
オレや総二は人気がおかしいというのはあるにはあるがまだいい方なのかもしれない。問題は愛香ちゃん――テイルブルーの方にあった。
どれだけ人を助けようが、エレメリアンを倒そうが一向に人気が上がらないのである。
傍から見ていたら可哀想でしかたないのであるが、そのことをトゥアールさんにからかわれ、その度にトゥアールさんが吹っ飛ばされるという日常が定着し始めた今日この頃。
「しっかし、アルティメギルの連中はてんで代わり映えしないなぁ」
そうテイルレッドが漏らす。実際オレ達が苦戦したのはオレが戦ったゲコゥギルディと愛香ちゃんのデビューの相手だった、キツネ型エレメリアン、フォクスギルディくらいだったのである。それ以外の者は、属性力が変化はしているが十分な強さがあるとは言い切れない感じだったのだ。
はっきり言ってG3マイルドでも十分戦えることが出来るくらいの強さしか感じなかった。
それが世界の至る所に現れたのである。まぁ、トゥアールさんの科学力をもってすれば転移装置など簡単にできていたが。
そして、オレにもトゥアールさんから持たされているものがある。その名もトゥアールカフ。
オレだけ通信アイテムがないことから作ってもらった通信装置である。変身後の見た目からごついイヤホンは似合わないとのことで、カフになったそうだ。
学校では校則の関係上つけられないが、通信時に音が鳴るようになっているのですぐさま気付くことが出来るのである。
まぁ、今のところは学校の時間内に現れたことはないので問題はないのだが……それに結構おしゃれな見かけであるのでファッションとしても十分通用するのであるから、外でもつけていられるのである。
「……まさか、アイツって野生のウサギも守備範囲内だったのか?」
レッドがそう漏らしているのも無理はない。何故ならここはどこかの採石場。俗に特撮なんかが撮影されるような場所なのである。人なんて見当たらないが、気付けばテレビカメラが来ているのであるから、マスコミの情報収集能力は凄まじいものがあると感じてしまう。
「まぁ、いいじゃない。人に被害なんてなかったんだし」
「まぁ確かにな。でもなんでこんなところを選んだんだろうな?」
属性力の欠片もない場所だというのに。
そうやって力を抜いていたのが悪かったのであろう。オレ達はここに近づいてきている強大な気配に気づくことが出来なかった。
不意に太陽に影が差したのである。
その時初めてオレ達は強大なる気配に気づけたのである!
「全員散開!!」
オレの言葉を合図にオレ達は今いた場所から離れる!
そうした直後、オレ達がいた場所が爆発したかのように粉塵を巻き上げたのである!
「……すまぬ。不意打ちになるとは思わなんだ。だが、お主たちならばこの程度軽々と捌くと思ってな……」
そこから発せられるのは渋い、しかし存在感の激しい声だった。
粉塵が晴れるころに現れたのは、全世界に向けて宣戦布告をしたあの鎧のエレメリアンだった!
「く………」
一目見て分かった。コイツは………強い。今までのエレメリアンとは比較にもならないレベルの威圧感を感じるのだ。
「我が名はドラグギルディ!全宇宙全世界を並べ、ツインテールを愛することにかけて、我の右に出るものはないと自負している!」
「すごいプレッシャーなのに、口上的にはいつも通りなんかい…」
恐ろしいまでの闘気に
「……馬鹿者め。我が行くといったものを……」
「不甲斐無い部下たちが退屈をさせた!しかし大事な同胞には変わりはない!仇は取らせてもらうぞ!ツインテイルズ!そしてお前たちのその属性力を奴らの手向けとしてやろうぞ!!」
「勝手に攻めてきておいて何が仇だ!!」
そうして、オレ達は各々の武器を構える!レッドは剣を、ブルーは槍を、そしてオレは拳を!
「応!……参る!!」
「ウソだろ!」
3mはあろうかという巨体にも関わらず、一瞬の時の間にオレ達との距離を0にしてしまう、ドラグギルディ。
そうして振り抜かれるのは奴の持つ大剣!
全員が辛うじて防御の構えをとることで、吹き飛ばされるにとどまったが、その衝撃は凄まじく、それこそ全身を掛けめぐる一撃であったことに違いはない。
「なんつぅ、重い一撃なんだよ……」
「ほう……力任せの受けでありながら、刃こぼれどころか損傷1つないとは驚異的だな。とても人間の作ったものとは思えんな!我の認めた唯一の好敵手を思い出すわ!!」
「言ってくれる……!」
コイツの攻撃は重過ぎる……!そう何度も受けていられるとは思えない!
それでもオレ達は体制を建て直し!接近して攻撃を叩き込む!十分な体制ではなかったが3人同時での攻撃だったのだ!十分通用するか!?
「こそばゆいな?それが攻撃というものか?攻撃とはこうするものだ!!」
しかしオレ達の攻撃は奴の持つ大剣によって防がれてしまった!
しかもただ防御するだけでなく、こちらに衝撃を打ち返すという業を放ってきたのである!
「ぐわぁっ!」
「きゃあああっ!」
「くそう!!」
確信できた、コイツは桁違いの強さだということを。
「そうら!速くするぞ!!」
そうして一瞬のうちに振るわれるのは何十合もの剣劇!
どうにか受け、避けていくことが出来たが、ダメージが大きすぎてしまう……!
しかしその連撃の中でレッドは何かに気付いたようであった!
「ほほう…たったこれだけで我の剣を見切ったか!」
そして、剣劇がやむと同時に、ドラグギルディは背後に跳躍した。
「ドラグギルディ……お前の剣は……」
「そう、我の剣は……」
なんなんだ…?
「「ツインテールの
……はい?
「あ、今回のはそーじ系か、厄介ね……」
いや、なんなんだよ、ツインテールの剣って……