オレ、Jokerになります。[凍結中] 作:fateplanet
さて、色々と精神を削られる授業と休み時間から解放される
それなのに、オレはまだ学園にいたりする。この変態たちの巣窟から早く逃げたいところではあるのだが、今日のオレは掃除当番に当たってしまっているのだ。
廊下やトイレといった場所は用務員や清掃業者が入ることになっている陽月学園ではあるのだが、教室や部室棟は生徒が掃除をすることになっているのである。
このことを決めた理事長曰く「自身の生活する教室を自身たちの手で美しく保つことで気持ちよく生活でき、なおかつ汚さないようにと気をつけることでしょう」とのことらしい。
事実自分たちの手で掃除をしなければならないと思っているとそうそうポイ捨てなど出来ないしそれをした奴なんかは全員から怒られるというオマケが付いてくるのだから、やりもしない。
変態たちが多い学園ではあるが、そういった教育指標があるからこそ、ここらで一番評判がよいのであろう。変態は多いが……。
今だって、テイルレッドやテイルジョーカーのプロマイドやら写真やらを手に思い思いの行動をしている奴らがいるのだから、筋金入りである。
本当だったらオレも当番をサボってでも逃げ出したいのだが、ほかに当番になっているメンツの中にサボりを許さない奴がいるのである。
「さぁ、皆さん、頑張ってきれいにしましょうね!」
「「「おー!!」」」
「お、おー」
そう、我らが生徒会長殿、神堂がいるのである。コイツのことだからサボったことの理由などをしっかりと聞いてくるに違いなく、理由を答えられないオレをいぶかしむことだろう。
絶対に理由は言えない。言えるわけがない。実はテイルジョーカーはオレで、変態行為に悪寒を感じたんだ!だなんて言えるわけがない。
しかし、もしアルティメギルの連中が現れたらどうしようか……まだ、この時期1年生は掃除を行っていないから総二がいるから問題はないが……。それにオレ、トゥアールさんとの通信の手段がないしなぁ。
総二の持つテイルギアのように通信機能が備わっていないメモリとドライバーではいざというときの通信手段がないのである。
スマホを使えばいいとは思うが、それだって変身中には使えないから困ったところである。
そんな風に考えながらも習慣付いている体は教室を掃除しやすいように机を奥に運んで行く。そうやって運んでいると、神堂が四苦八苦しながら机を運んでいる姿が目に映った。
「神堂、無理しなくてもいーぞ?」
見てて危なかっしいから。
「いえ、わたくしだって、机くらい」
そうは言っても小さいお前の体じゃ難しいだろうが。
「はぁ……ほら貸せって」
仕方ないので反対側から机を持ち、奪い去る。
「あ……観束くんは強引ですね」
「こうでもしないと、お前やめないだろう?」
頑固なところもある、神堂なのだ。強引に行かなければとてもじゃないが納得はしなくとも奪えはしないだろう。
「もう、仕方ないですね。じゃあわたくしは箒を使っていますね」
「あいよー」
そう言って女子たちの方に向かっていく神堂。これで不安が1つ解消されたな、うん。
「……なぁ、観束」
「ん?なんだ」
「お前って神堂と仲いいよなぁ」
「まぁ、仲いいか悪いかで言ったら仲はいいな」
何せ、同好の士なのであるのだから。
「そうやったらあんな可愛い
いやそんなに強く言われても……
「その時の運の巡り?」
「答えになってねぇよ!くそ!顔か?やっぱり顔なのか!!」
「いや、神堂は顔で付き合うやつは選らばねぇだろ」
どっちかというと性格とかで選びそうであるし。
「いーや、顔だね!女子なんて基本顔でしか判断しないんだ!」
「いや、落ちつけって。そもそもオレと神堂が知り合ったのだってホントに運の巡り合わせだぞ?」
まさか変身アイテムを買いに来てばったり売り場で出会うなんてまずないぞ、普通は。
「うるせぇ!この勝ち組め!どうせ神堂と休日とかもあってんだろ!!」
……………………。
「なんで急に黙るんだよ!会ってんのか!休日も会ってんのかぁぁぁぁぁああああああっっ!!」
「血涙出すほどに悔しいのか、お前!?」
まぁ、実際会ってるからあんまり言えないんだよなぁ。でも会ってやってる内容は色気も何もないんだけどな。
だって………変身アイテムとか特撮のグッズ買いに行ったりとか、特撮の映画見に行ってるだけだもんなぁ………メイドさん同伴で。
そりゃ可愛い娘と一緒にお出かけとかテンションあがるさ。でもな、毎回毎回SPよろしく数人のメイドさん従えてやってくるんだぜ?
なんでも理事長が守るために雇っている腕の立つメイドさんらしいのだが、離れていうわけでもなく、近くで一緒にいるのだから、デートとかの雰囲気が味わえるわけがないし。
そのことを
「「「「このハーレム野郎ぉぉぉぉおおおおおおお!!?」」」」
「なんでさ!?」
めちゃくちゃ怒鳴られた!解せぬ。
「なんでだとぉう!お前、神堂ンとこのメイドさんは美人で有名じゃねぇかよ!そんなメイドさん達と神堂とお買いものだとぉ!」
「十分リア充じゃねぇか、この野郎!!」
「しかもそのことに自覚なしとかふざけんな!!」
「いや、でも皆年上だし、オレなんて弟くらいにしかみられてねぇよ。実際、そんな感じの話もしたし」
「メイドさんと話しただとぉ!」
「この、この………っ!(血涙)」
「ちくしょおぉぉおおおおおおおっ!!(崩れ落ちる)」
「どいつもこいつもオーバー過ぎやしませんかねぇ!?」
確かに羨ましいないようだろうけど、そこまでか!そこまでなのか!?
男泣きしている連中に割と驚愕を覚えていたオレであった。
「観束くんたち、きちんと掃除してくださいね?」
「「「「「はーい」」」」」
まぁ、全員その場のノリでやっていただけなのであるが。
「でもいいよなぁ。くそう、俺もテイルレッドたんとお知り合いになりたいぜ!」
「お、俺は、テイルジョーカーさんかなぁ」
「ふ、お前ら甘いな。両方という選択肢もあるだろう!」
「「お前、天才か!?」」
「ふ、ほめても何も出ないぞ」
ほんと、こういうとこさえなければいい友人たちなんだけどなぁ………。
この時、オレは総二がピンチとなり、そして愛香ちゃんも力を手にしていたということを知らなかった。