オレ、Jokerになります。[凍結中]   作:fateplanet

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新たなるツインテールと掃除当番なオレ―1

「「ぎゃああああああああああっ!!」」

 

その朝はオレ達2人の悲鳴から始まった。

その理由は、いつも見ている朝の報道番組にあった。

そこには、変身したオレと総二の特集が組まれていたのである。

しかも昨日よりも鮮明な画像で取り上げられ、昨日の戦闘の様子、その後のもみくちゃにされている様子まで撮影されていたのである。

オレは握手を求められているだけだからまだいいが、総二に至っては女子高だったそうだが、それにもみくちゃにされ、手足をバタつかせている様子が克明に映し出されていた。

 

「なんで、動画まで取られているんだよう」

 

確かに。しかも鮮明であるところを見るとテレビカメラのような本格的なもので撮影されているのではないかと考えてしまう。

しかもきちんと名乗ったのは昨日が初めてだというのにテイルレッド、テイルジョーカーとご丁寧にテロップまでつけられている始末。

なんで、オレらの情報がここまで早く流れてしまってるんだ?

確かにアルティメギルの連中が世界中に侵略することを流してはいたが、それにしたって、本来ならアルティメギルのことを優先して流すはずだ。

それなのに実際はそれに反抗する少女達をメインに置きすぎているように感じてしまうのだが……?

 

横で、総二と愛香ちゃんがラブコメっている間にも報道番組は続き、テイルレッドが現れた女子高の関係者というドレッドヘアーの男が映し出されていた。

 

『自分、あの幼女マジリスペクトっす』

 

おい、サクラだとしても無理がありすぎるだろう。女子高なんだろ、そこは!!なんでドレッドヘアーのがいるいんだよ!?

と、ツッコんでいると、今度はオレが行った学校の方にもインタビューをしていたようだ。

 

『自分、あの少女マジリスペクトっす』

 

今度は坊主頭の、ってコイツさっきのドレッドヘアーじゃねぇかよ!サクラに手ぇ抜きすぎだろ!テレビ局!!双子か!双子って言い張るつもりなのか?!

 

『警視庁はこの少女達に関しての情報を引き続き求めていく方針で―――――――』

 

「なんでだよ!ほっとけよ!アルティメギルの方を調べろよ!」

 

「なんでヒーローの方に関心を全部持っていくのかねぇ!!」

 

宣戦布告の方はどうしたんだよ!むしろそっちの方が重大だろう!世界規模だぞ、世界規模!!

 

「かわいいわねぇ、(テイルレッド)ちゃん、(テイルジョーカー)ちゃん♪」

 

「「やかましいわっ!!」」

 

母さん、楽しみすぎだからな、今の状況!本人たちからしたら悪夢だからな!

 

「総二様、お兄様、見てください、テイルレッドたんまとめブログやテイルジョーカーさんWiki、ファンサイトや考察ページ!ネットでも大盛り上がりですよ!」

 

「まだ2回しか変身してねぇのになんだそのラインナップは―――――っ!!」

 

……もう、ゴールしてもいいよね?

 

「一樹さんが死んだ魚のような目をしちゃってる!」

 

あははははははははははは………。

 

「なぁ、総二」

 

「なんだ、兄さん」

 

「この世界って、変態ばっかなのかな?」

 

「かもしれないなぁ」

 

「ちょっと!そんなわけないでしょう!まともな人だったきっといるわよ!」

 

「ふふふ……」

 

「はははは……」

 

「あ、駄目だ、声が聞こえてない」

 

なぁ神様、もしいるんだったら、オレはアンタを1発殴りたいよ……。

 

 

 

 

このときとある神がくしゃみをしていたが、まぁどうでもいいことである。

 

 

 

 

そんなこんなな朝を越えて、オレ達が登校するころには、オレと総二はやつれきっていた。

 

ヒーローとして注目されるのはうれしいものがあるが、度を過ぎてしまうとここまで心にクるものだとは思いもしなかった。

総二は完全にまいっていているようで、世の不条理を痛感しているようであったが、愛香ちゃん的にはどうでもいいようであった。

曰く、政治家の汚職とかの辛気臭いニュースよりは断然いいと。

だが、総二も報道がいくらなんでもテイルレッド・ジョーカーに向きすぎている事に疑問を持っているようであった。

 

確かにいくら生命の危機がないからといっても今朝考えたように余りにもオレ達に対しての報道しかしていなかったように感じてしまう。

だって、世界規模の演説があったというのに、その扱いの差が大きすぎるのだ。これは日本が平和ボケした国だからなのか、それ以外の要因もあるのかどうかわからないが、少なくともいい傾向であるとは言い切れない。

前世で見た、ウルトラマンガイアの最終回付近のアレを思い出してしまうからかもしれない。

アレを見たときはテレビの前で同じように絶望してしまったものだ。

 

………もしも、アルティメギルが同じようなことを考えているのだとするのならば、オレ達を打倒できると考えている、もしくはそれが可能な戦力を保持していることに他ならない。

それはつまり、絶望を世界に振りまく準備を行っているというサインでもあるのかもしれない。

 

「まぁ、考えすぎてるだけなのかもしれないけど」

 

もしも、連中がアレと同じことをしようとしているのなら、テレビ放送はかなりの危険を伴うことになってしまう。

けどだからと言って放送を止めることができるわけがないし、テイルジョーカーとして言ったところで、ここまで加熱してしまうと、人は容易には止まれないだろう。

それに、これが完全にあたっているとは限らないし、結局のところ負けなければいいだけの話である。

確かにジョーカーの能力は低いのかもしれない。でも、あの人達も言っていた。身一つになっても守り抜く、それが仮面ライダーだと。

今のオレは仮面ライダーだなんて名乗る事は出来ないかもしれないが、それでも、仮面ライダーから学んだことは忘れない。

人間の自由と尊厳を守る。そのために仮面ライダーの力を使ったのだから。

いつまでも愚痴など言っている場合ではないだろう。

さしあたってまず考えるべきことは……

 

「トゥアールさんにメモリガジェットもどき作ってもらうことかなぁ……」

 

 


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