オレ、Jokerになります。[凍結中]   作:fateplanet

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大きく変わる日常と1人戦闘なオレ―2

あの驚愕の集会から半日、オレは人気のない教室で1人(・・)で昼食を摂っていた。

何故1人きりで辺鄙なところにいるのか、それは数分前にまで遡る。

 

 

 

 

 

 

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授業中や休み時間でも今朝のことからの噂話―――テイルレッドやテイルジョーカーの話をしているのを聞きながら、いつもなら神堂と特撮談義をしながら飯を食べるのだが、あいにくと今日は生徒会の仕事が忙しいらしく、1人で食べることになった。実は今日一緒じゃなくて良かったと思っていたりしている。

美少女との食事がお流れで悲しくないのかって?時々こういうことはあったし、何よりも今日一緒だとするならば、その話は大部分がテイルレッドとテイルジョーカーの話に他ならないからだ。

 

いくら何でも次の日から親しい人に正体を隠さなければならないヒーロー……この場合ヒロインか?の気分を味わいたくはなかったからだ。人より精神が長く生きているとはいえ、肉体に精神は引っ張られると言われている。そのせいか、年相応の反応をすることだって多いんだ。

きっと、今のオレならボロを出してしまいそうで怖いのだ。

 

そんな風に若干シリアスに物事を考えていると、なにやらこんな言葉が聞こえてきたのである。

 

「テイルレッドたんもいいけど、テイルジョーカーさん、いいなぁ」

 

「だよなぁ」

 

「勝気そうだから踏まれたい」

 

………き、気のせいだな、うん。

 

「よし、今日から俺がテイルジョーカーさんの彼氏だ!」

 

「何言ってやがんだ!俺がなるんだよ!」

 

「いや、俺が!」

 

「僕だ!」

 

「僕はブタになりたいなぁ、フヒヒ」

 

……気のせいじゃなかったぁ!!

つーか、他のは分かるよ。だって正直変身したオレって美少女だったもん。

でもな、最後の1人、テメーはダメだ!!

なにサラッとⅯ発言してんだよ!!

つーか、気持ちわりぃ!

 

こうして見られることは今朝の時点で覚悟はできていたと思っていたが、実際に耳にするとかなり気持ち悪いというよりも寒気というか怖気を感じてしまう。

女子ってこんな気分だったんだ……これは確かに怖い。怖すぎるぞ…!

 

そうして、オレが恐怖に震えていると更に恐ろしいことが行われようとしていた!

 

「もう辛抱たまらん!キスしちゃおう!!ん~」

 

ビックゥッ!

 

「お前、やめろよ!俺のテイルジョーカーさんを汚すな!お前に汚されるくらいなら俺が汚す!」

 

「お前にもやらせるか!俺が!」

「僕が!」

「ワイが!」

「わ、吾輩が!」

 

ひぃぃぃいいいいいっ!!!

 

『ガタン!!ダダダッ!ガラッ!』

 

「あ、観束くん、仕事が終わったので、一緒にって、どうしたんですの!?真っ青でって『ズダダダダダ―――――ッ!!』観束くーん!?」

 

もうやだぁぁぁぁああああああああっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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と、いうことがあり、オレは逃げるように、っていうか逃げてきたわけである。

ま、まさか男に性の対象として見られることがこんなにも恐ろしいことであるとは思いもよらなかった。こ、これからは今以上に女性に優しくしよう、そうしよう。

 

転生しても男だったのに女性としての恐怖を覚えてしまうという何とも恐ろしい状態に陥ったオレであるが、いつまでもこうしているわけにはいかない。午後の授業だってあるわけではあるし………。しかし、アイツらと一緒に受けるのは怖すぎて腰が引けてしまう。

 

そんな風に二の足を踏んでいたオレが隠れている教室に声がかけられた。

 

「観束くん。ここにいますの?」

 

この声は……

 

「……神堂か?」

 

「やっぱりここだったんですね。心配したんですよ?お顔が真っ青でしたから」

 

あ、ドア開けた時にいたのは神堂だったのか。

 

「いや、ちょっと、な。もうたぶん大丈夫だと思うからさ」

 

「本当ですか?観束くんは、ヒーローっぽいところがありますから、本当の事を言ってくれてるか心配になります」

 

「ヒーローっぽいってそんなとこあるか、オレ?」

 

「すこーし秘密主義なところや本音を隠してしまうところが特に」

 

むむ……だって、そこはほら

 

「女の子に全部知られるのって恥ずかしいじゃないか」

 

「あら、そうだったんですか。男の子らしいっていうんですか、それは?」

 

「かもしれないな」

 

ふぅ……神堂と話してると落ち着くな」

 

「も、もう、からかわないでください!」

 

「あれ?声に出てたか?」

 

「ばっちりと。たまにありますから注意してくださいね?」

 

は、はずかしすぎる!

 

「今度は別の理由で出にくくなったので、ほおっておいてもらえると助かるんだけど……」

 

「ふふ、わかりました。でもちゃんと授業は受けてくださいね?生徒会長として注意しておきますわ」

 

「了解……恥ずかしくなくなったら行くよ」

 

「はい。ではまた教室で」

 

「あいよ~」

 

………そうして去っていく神堂の足音を聞きながら、オレは思ったことを呟いていた。

 

「……それでも、変態たちのとこに帰るのは勇気いるよなぁ……」

 

どうしたら勇気って湧くんですか、教えてください……。

とりあえず、勇気を振り絞って授業には参加しました。(但し内容は頭に入ってこなかった)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんながあった学園からの帰り道、多分同じような目にあった総二とともに愛香ちゃんを伴って項垂れて歩くオレ達。

 

「なぁ、変態って死滅すればいいんじゃないかな?」

 

「あぁっ!?兄さんが人前に出しちゃいけない目をしている!」

 

「一樹さん、気をしっかり持ってください!」

 

励ましてくれるけど、無理。もう無理。

 

「アルティメギル出てこないかなぁ……今なら八つ当たりでブッ飛ばせそうだ」

 

「いや、それを思うヒーローってどうなんだよ?」

 

「そうですよ。それに昨日の今日でそうそう出てくるわけが……」

 

 

『この世界に住まう全ての人類に告ぐ!我らは異世界より参った選ばれし神の徒、アルティメギル!!」

 

「………」

 

「………」

 

「よっしゃぁぁぁああっ!」

 

2人は鞄を落としていたようであるがオレは思い切りガッツポーズをしていた。多分最高にいい笑顔をしているんだろう。

空には巨大スクリーンが投影され鎧を纏ったエレメリアンが映し出されていた。

とりあえず、喜ぶのもそこそこにして、演説の続きに耳を傾ける。

 

『我らは諸君らに危害を加えるつもりはない!ただ、各々の持つ心の輝き(ちから)を欲しているだけなのだ!抵抗は無駄である!そして抵抗をしなければ、命は保証する!』

 

そう続けているが、その言葉にオレは怒りを覚えた。命の保証があるのなら、なんでトゥアールさんは悲しそうな顔をしていたんだと。

命があるだけで言い訳がないじゃないか…!

 

『だが、どうやら我らに弓引く者がいるようだ……。抵抗は無駄である!それでもあえてするならば……思うさま受けて立とう!存分に挑んでくるがよい!!』

 

「これ、世界中に配信されているのか…?」

 

空だけでなく、ワンセグ等の通信の電波もジャックして放送されているようらしかった。

 

「マジでアイツら世界を、地球丸ごと侵略していくなんじゃないでしょうね!?」

 

いくらでも抵抗しろという発言。つまりはそれだけ余裕であるということなのであろうことは容易に考えついた。

しかし、それでも抵抗をやめてやることは出来ない。オレ達は人伝てではあるが、奴らに侵略された世界の末路を聞いている。

停滞した世界だなんて、それは平和であるとはいえない。ただ死んでしまった世界に他ならない。

 

「総二、おそらく奴らの先兵が来てるはずだ」

 

「兄さん」

 

『お兄様、その通りです。エレメリアン反応が2カ所から発せられています』

 

さっきまでの会話を聞いていたのかように即座に総二の腕輪、テイルギアから連絡が入る。

 

『テイルギアとお兄様のスマホにそれぞれ位置情報を送りましたので向かってください!』

 

「わ、わかった!………て、テイルオン」

 

昨日決めてた変身コードを恥ずかしそうにいう総二であるが、お前はまだまだだな。変身というのは覚悟を持っていうものだ!

懐からメモリとドライバーを取り出し、ドライバーを腰に当て、ベルトを巻く。

そしてボタンを押し込む!

 

《Joker!》

 

メモリを装填し、言い放つ!

 

「変身!」

《Joker!!》

 

黒い旋風の中、オレはジョーカー、テイルジョーカーへと変身を完了させたのであった。




次回戦闘です。

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