宇宙~KITA--~   作:蒼乃翼

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けっこう長いです今回


処・女・流・星

昴星高校

かつて天の川学園からの交換編入生である山田竜守(タツモリ)がホロスコープスアリエスゾディアーツとなり生徒・教員全員を支配下に置く恐怖政治体制を布いていた。しかし、弦太郎達ライダー部の活躍により元の学校に戻ってからは、平和そのもの

かつて天高に仮面ライダー部として苦楽を共に戦っていた戦士も編入期間が終了した今は元の学校であるここ昴星に戻り、一度は命懸けの裏切りをしてまで助けた友人、気の置けない女友達と共に学校生活を送っていた。そんな昴星の校舎裏、いままさにそこで真剣勝負が行なわれていた

 

 

 

 

 

「朔田君、あなたのことが好きです」

彼女の名は白川芽以。流星に想いを寄せる女子生徒で、なぜか剣道部でもないのに剣道がやたらと強い

「・・・・・・ありがとう。でも・・・・・・ゴメン」

そんな彼女をふった男子こそ、仮面ライダーメテオ。朔田流星である

「うん、わかってた。でも、こっちこそありがとう、ちゃんと気持ちを聞いてくれて」

白川はそう言うと流星から顔が見えないように振り返った。その目元には光る一滴の涙が

「で、本命の野座間さんにはいつ告白するの?彼女、2年生だけど朔田君はそろそろ忙しくなるんじゃない?」

「あぁ、実はある人から誘いを受けているんだが…」

 

 

 

「流星~!」

 

 

 

2人が声のした方を見ると、井関次郎と、その後ろには息を切らせながら必死の表情の友子がいた

「友子ちゃん?!」

「うわ、すごいタイミング…」

友子は後ろの白川には目もくれず、流星の制服を掴んだ

「助けてください!今弦太郎さんが…」

「っ、弦太郎がどうしたんだ!?」

友子は天高と財団Xについて説明した

「なんだと…」

「朔田君、すぐに行って」

「あとのことはまかせろ、流星」

白川と次郎の言葉を聞いた流星は友子の手を掴むと走り出した

2人が見えなくなると、白川は携帯を操作した。小型化が主流の中、やたらとごつく、精緻な細工が施された根付を付けていた

「芽以ちゃん?」

「……」

白川の目つきが変わった。まるで日本刀のように鋭い光を放っていた

「ごめん、次郎君。私もちょっと早退するから先生には上手く誤魔化しておいて」

「ちょ…、芽以ちゃん」

次郎の制止も聞かず、白川は走り去ってしまった

「何なんだろ…」

首を傾げる次郎の耳に不思議なメロディが聞えた。上を見上げると

「…列車?空に?」

赤・青・黄・緑・ピンクの5両編成の列車が空にレールを敷きながら走っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メテオの専用バイク『マシンメテオスター』の後ろに友子を乗せて、流星は一路天高を目指していた。その目の前に…

「っ、財団X!」

白服の財団員が立ちはだかった。装備はガイアメモリ、マスカレードメモリだけだった。財団員はそれを差しこみマスカレードドーパントとなった

「こっちの動きはある程度予想しているってことか」

流星はバイクから降りた

「友子ちゃん、ここから動かないで」

「…はい」

友子はバイクを楯にする位置に降りるとヘルメットを外す流星に頷いた

流星は両腕を斜めに広げると怪鳥音を発しながら突っ込んだ

「ほぉぉぉ~~~、あちゃっ~~~~~~!!!!」

幾つも幾十も繰り出される拳、蹴り、肘、背中の当身、足払いからの下段突き、拳の連撃、跳び蹴り、ジャンプしてからの肘打ち

財団Xのマスカレードドーパントたちは次々に倒されていった

 

 

 

 

 

「むっ!」

流星は異様な殺気に気付いた

「…祭りの会場は、ここかぁ~…」

そこには、素肌に蛇皮の服を着た、傷んだ金色の髪の男がいた

「お前は…」

「…ジャオウ…」

男は左手に蛇使い座の紋章が描かれたカードデッキ掴んで前に突き出した。すると男の腰にバックルが現れた

「変身っ」

男は空いた右手をだるそうに胸前に持上げると素早く前後に振ってカードデッキをバックルに差し込んだ

蛇使い座の紋章が男の前に浮かび上がり、それが男に吸収されると、そこにはゾディアーツが立っていた

 

いや、ゾディアーツと呼ぶにはあまりにも機械的で精緻な装甲、むしろ仮面ライダーのようだ。しかし邪悪で禍々しいオーラを放ち、コブラを想わせる頭部はそれだけで相手を射竦めるようだった

 

財団Xが創り上げた対仮面ライダー専用人造人間(ホムンクルス)

 

そしてゾディアーツスイッチをカードデバイス型に改造した新たな変身システム、マスクドゾディアーツシステム

 

それらを併せて誕生した凶戦士

 

蛇使い座マスクドゾディアーツ・蛇王(ジャオウ)

 

 

蛇王は首を振り鳴らした

 

「さぁ、祭りを始めようか」

 

 

 

 

 

「くっ…」

流星はメテオドライバーを腰に装着し、メテオスイッチをソケットに挿入してトリガーを引いた

 

メテオ・レディ?

 

流星は両腕を大きく旋回させ、右腕を顔の前で斜めに構えた

 

「変身!」

 

叫び、レバーを下に下ろすと、宇宙のM―BUSからコズミックエナジーが照射され、流星は青い発光体に包まれた。発光体は友子からさらに遠ざけるように蛇王を体当たりで弾き飛ばした

発光体が消えるとそこには戦士が立っていた

空に浮かぶ星々を想わせる白い斑模様と黒いボディ、それに惑星軌道のようなラインが走り、胸部と頭部には青い左右非対称の流れ星を髣髴とさせるアーマー

銀のマスクを右拇で擦る仕草をして、流星…、仮面ライダーメテオは決め台詞を言い放った

 

「お前の運命(サダメ)は、俺が決める!」

 

 

 

 

 

「はぁ~っ!」

何の牽制も考えもないただ突っ込んできた蛇王。メテオは冷静にカウンターを狙い、拳を繰り出した

「はっぁ!」

しかしありえない反応速度と柔軟性で躱されてしまい、逆に自分が攻撃を喰らってしまった。ボディに一発。その重い拳はメテオをたった一回の攻撃で膝を着かせてしまった

「おらおらおらぁ!」

追い討ちをかけるように蛇王は踏みつけをメテオに喰らわせようとする

「くっ!」

メテオは地面を転がりながら蛇王の攻撃範囲から逃れると体勢を立て直した

「喰らえ!」

メテオは右腕のガントレット、メテオギャラクシーを操作し、左手人差指のフィンガーポインターで認証した

 

マーズ・レディ?

OK!マーズ

 

メテオの右腕に火星を象った高熱エネルギーが具現化した。それを蛇王目掛け放った

 

ゴゥン!

 

打撃の衝撃と高熱による付加ダメージが腹部にクリーンヒットした。蛇王は後ずさりした

「いいなぁ…、もっと喰らわせてみろ」

「くっ…、ほぅっ、ほぅっ、ほぅっ、っあちゃっ~~~~!!!!」

メテオはさらに4発蛇王にマーズブレイカーを喰らわせた。しかし蛇王はダメージがあるはずなのにまるでそれすら愉しむかのよう両手を広げて笑っていた

「いいなぁ、もっとないのかぁ…?」

「ちっ…」

 

サターン・レディ?

OK!サターン

 

「ほゎっっちゃ~~~!!!」

メテオは右腕に土星を象ったエネルギーを具現化しそのリングを3つ同時に射出するサターンソーサリーを繰り出した

「こっちもいいもん見せてやるよ…」

蛇王はカードバックルからカードを一枚引いた。そしてコブラの頭を模した杖を取り出すとその上部を引き装填口を露出させ、カードを挿入、装填した

 

スウィングベント

 

機械音声が鳴ると持っていた杖がまるで生きた蛇のように蠢きだした。蛇王は尻尾の部分を持ちそれを振るった。いや、振るったように見えただけでまるでそれ自体が生命体のように高速で動き、全方位から迫ってきたサターンソーサリーのリングを3枚とも噛み砕いてしまった

「なんだと?!」

メテオは驚いたが、すぐにリブートスイッチを押してサターンスイッチを元に戻し、最大威力の攻撃体勢を取った

 

ジュピター・レディ?

OK!ジュピター

 

木製を象ったエネルギー拳を振りかぶり、メテオは蛇王に迫った

「はっぁ…」

蛇王も再びカードを一枚引いて装填した

 

ガードベント

 

杖の頭部が巨大化し頭巾が開き、蛇王は蛇の顔を自分の方に向けてメテオのジュピターハンマーを防いだ

「くっ…」

「ほぅら…」

蛇王はメテオの拳を弾くと楯を反転させた。蛇の口から緑色の粘液が吐き出された

「ぐゎっ…!」

不意を付かれたメテオはそれを真正面から受けてしまった。粘液はメテオの装甲を溶かし始めた

「なんて奴だ…」

蛇王はレオ・ゾディアーツ以上の強さだ。しかし、それよりもなによりも得体の知れない、底知れない狂気が蛇王から溢れ出ていた

「こんな奴に時間を取られるわけにはいかないんだ!」

メテオはメテオスイッチを取り外し、切り札を挿入した

 

メテオ・ストーーム

 

メテオ・オン・レディ?

 

メテオはスイッチ上部のストームトッパーを回転させた

金色と青色の旋風がメテオの周りに吹き荒れ、装甲を侵蝕していた粘液を吹き飛ばした。それを切り裂くと青いボディに金色のアーマー、隕石が地上に激突した衝撃を象った頭部の戦士が立っていた

 

「俺の運命(サダメ)は嵐を呼ぶぜ!」

 

旋風を切り裂いたロッド状の武器、ストームシャフトを構え、メテオ…、仮面ライダーメテオストームは蛇王に言い放った

「いいなぁ、祭りが盛り上がってきたじゃねぇか!」

蛇王は三度カード引いて装填した

 

ソードベント

 

蛇の尾を象った螺旋状曲剣が杖状態に戻った蛇の口から飛び出した

蛇王はそれを掴むとメテオに突っ込んだ

ぶつかり合う棒と曲剣。火花を散らし鎬を削り、何合も打ち合った

蛇王の剣筋はのらりくらりと蛇のように捕らえどころがなく、それでいて一瞬の僅かな針穴のような隙を的確に鋭く突いてくる。得手ではないとは言え、メテオの棒捌きは理に適っている。しかしこの場合、なまじ武術の心得があり一定の型が身体に染み込んでいるため、蛇王の邪道とも言うべき剣筋にてこずってしまっている

 

 

 

 

 

「流星さん…」

友子はメテオと蛇王の戦いを見て固唾の呑んだ。その時…、友子の脳内に閃くものがあった

「ここ…」

天高に向かうこの道は、かつて自分がゾディアーツスイッチを投げ捨てた川沿いの道だった

「なら…」

友子は自分の直感を信じ川の中に入って行き、川底に手を入れた。すると…

 

「あった…」

 

かつて自分が投げ捨てた、おそらくは数少ない残存ゾディアーツスイッチの一つ

友子は覚悟を決め、スイッチを握りしめた

 

 

 

 

 

「はぁっ~!」

「ぐわっ!」

ストームシャフトを弾き飛ばされ、そこに蛇王の蹴りがクリーンヒットした。メテオはそのまま数十メートルも吹っ飛ばされ、川に落ちた。メテオに近づく蛇王、しかしの間に割って入った影が…

両腕に翼が生えた、白鳥座のキグナスゾディアーツと似ているがそれよりも細身のシルエットでそれよりも白いゾディアーツ

「私も…戦う!」

友子がゾディアーツスイッチ押して変わった姿、白鳥座ゾディアーツがメテオを庇うように蛇王に立ちはだかった

「駄目だ…、友子ちゃん来ちゃ…」

「なんだぁ、祭りに水差すんじゃねぇよ」

蛇王は杖を友子…白鳥座ゾディアーツに向けた。すると杖の蛇の瞳が怪しげな光を発した

「…っは、かっ…」

急に身体の自由が利かなくなった。蛇王の杖『蛇召杖(ジャショジョウ)』の特殊能力『へびにらみ』だ。蛇王は杖で無造作に自分の前のまるでごみのように白鳥座ゾディアーツを払い飛ばした

「きゃ…」

その衝撃で白鳥座ゾディアーツから友子に戻ってしまった

 

「貴っ様ぁ~~~!!!」

 

マックスパワー

 

怒りに駆られたメテオはストームトッパーのボタンを3回押し、ストームシャフトの上部に差し込みストームワインダーを引いて発射ボタンを押した

「メテオストームパニッシャ~~~!!!」

超高速回転したストームトッパーが蛇王に襲い掛かる。メテオの攻撃はこれで終わらなかった

メテオギャラクシーにメテオスイッチを挿入しON状態にしさらにジュピターとマーズのスイッチも押してフィンガーポンターで認証した

 

リミットブレイクOK!

 

ストームトッパーの合い間からジュピターの攻撃力とマーズの火力を併せた高速拳撃を繰り出した

「メテオライトシャワーーー!!!」

かつてレオゾディアーツを倒した時以上の、今のメテオ最大最高出力の攻撃は蛇王を巻き込んで大爆発した

 

 

ドゴォォォ~~~ン!!!!!!

 

 

「はぁはぁ…、はぁ」

メテオは友子の方に駆け寄った。呼吸が浅く早く身体も痙攣していたが何とか無事だった

「さぁ、友子ちゃん…」

メテオは友子に手を差し伸べた

「…っ、…っ!」

口をぱくぱくさせながら友子が必死な形相でメテオを、いや、その後ろを見ていた

 

 

 

 

 

ザクっ

 

 

 

 

「…なん……だと………」

メテオは自身を貫いている曲剣を見下ろしていた

背後には装甲がぼろぼろになりながらも蛇王が立っていた

蛇王はストームトッパーの高速だが直線的な軌道を野生の直感で読み取り曲剣で打ち払い、拳は急所への攻撃を最優先に避けて、それ以外は装甲を犠牲にして耐え抜いたのだ

 

「良ぃ祭りだったぜぇ…」

 

欠けたマスクの奥から蛇王の笑った眼が見えたのを最後に、メテオ…流星の意識は途切れた

 

 

 

 

 

「いやぁぁぁぁぁ~~~~~!!!!!流星さぁ~~~ん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは…」

流星は青白い空間に居た。ちょうどメテオの発光体を広げた時と同じ空間だ

 

「「「流星」」」

 

呼ばれて振り向くと、そこには3人が立っていた

 

 

ややくたびれた感じの柔和な中年男性

 

乙女座の容姿をした怪人

 

鉄仮面

 

 

サジタリウス・ゾディアーツ=我望光明、賢吾の父歌星緑郎と共に研究をしていた江本州輝

 

その江本がホロスコープスの裁判官・処刑人として活動していたヴァルゴ・ゾディアーツ

 

その二つの顔を隠して反ゾディアーツ同盟として流星にメテオの力を与えて影ながらサポートしていたタチバナ

 

 

その3人が流星の目の前にいた

「江本さん、ヴァルゴ、タチバナさん?!」

「すまない、流星君。あのシステムは私がかつて我望と歌星の2人の考えを併せて考えていたものなんだ。ただあまりにも使用者に負担がかかるため封印したはずだったが、財団Xの連中がその資料を持ち出したようだ」

「そのスペックはホロスコープスをも凌駕する。無論、私をも」

「今のメテオでは敵わない」

「なら、どうすれば…」

3人は流星の前に手を伸ばした

 

「流星」

「今の君には資格がある」

「この力で」

 

3人の手から光が放たれた。流星はその光を受け止めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っは!」

気付くと、メテオの目の前には蒼ざめた表情の友子がいた。後ろには蛇王の気配も

「これは…」

メテオは改めて自分の胸を見下ろした。そこには自分を貫いて“いるように見える”剣が。剣は極小規模な、ヴァルゴが発生させるダークネビュラへ続く、ワームホールがメテオを前後に挟むように発生してそれによって曲剣はメテオを貫いてはいなかった

「なんだぁ…?」

蛇王は曲剣を引き抜いて間合いを取った

「流星さん…?」

「あぁ、大丈夫だよ。友子ちゃん」

友子のゾディアーツスイッチがメテオの手元に飛んで来た。スイッチはラストワン状態になり、乙女座のホロスコープススイッチとなり、さらに変化した

「…それは」

「江本さん、ヴァルゴ、そしてタチバナさんから受け継いだ力…」

メテオはストームスイッチを抜いた

「蛇王、お前は一番傷付けてはいけない人に手を出した。その罪、贖(アガナ)ってもらうぞ」

「ぁあん?」

メテオはヴァルゴスイッチを構えた。すると、先ほど3人から受け取った光がスイッチに集まった

そしてスイッチは最後の進化を遂げた

 

ヴァルゴの頭部を象った渦巻状のパーツ、《ヴァルストームトッパー》

スイッチの色はクリアヴァイオレット

メテオのマークの上には乙女座のシンボル

メテオは《ヴァルゴエヴォリューションスイッチ》を起動させた

 

ヴァルゴエヴォリューション!

 

エヴォリューション・オン・レディ?

 

「変身!」

ヴァルストームトッパーを回転させると目の前に乙女座の光が浮かび上がりメテオは赤紫色の発光体に包まれた

その発光体が解かれると・・・・・・

 

《ストームシャフト》がヴァルゴの杖《ロディア》のような色になった棒杖(ボウジョウ)《ロディアストームシャフト》を左手に握り

その左前腕には新たなガントレット《ヴァルゴギャラクシー》

全身のカラーは白となり、金色の星のような斑点が散りばめられ、赤紫の渦巻き模様が浮かび上がっていた

肩から胸を覆うアーマーは渦巻きを半分に割った様な形

蛇王を見据える複眼は蒼穹色

頭部はヴァルゴを彷彿とさせる重力渦を象ったやはりクリアヴァイオレット

 

宇宙を流れる星、乙女の祈り、それらが巻き起こした運命(サダメ)により誕生した超・流・星の戦士

 

 

仮面ライダーメテオヴァルゴエヴォリューションストーム

 

 

黒き渦をも超越し、流れ星は深く輝く

 

「進化した俺の運命(さだめ)は、ブラックホールも飲み込むぜ」

白銀のマスクを擦り、メテオはロディアストームシャフトを構えた

 

 

 

 

 

「はっはぁっ~!」

蛇王はさらなる強敵祭りに歓喜し、突っ込んできた

 

スウィングベント

 

杖が生きた大蛇のように今度はメテオ自身に襲い掛かってきた

メテオは冷静にヴァルゴギャラクシーのスイッチの一つを起動させた

 

ヴィーナス・レディ?

 

そして右指のフィンガーポインターで承認した

 

OK!ヴィーナス

 

起動音声が鳴ると、ロディアストームシャフトが形態を変化させた

「はちゃ~!」

硬度が一気に0になりこちらも鞭のようにしなり、メテオは蛇王の攻撃に対応した

ヴィーナスマジック

ロディアストームシャフトの硬度自在に変化させることが出来る金星の力だ

「ちぃ…」

蛇王は戦法を切り替えた。鞭状にした杖先の蛇の口から先とは違う、粘性のない毒液を周囲に撒き散らし始めた。これでは防御どころか躱すのすら困難だが・・・

 

マーキュリー・レディ?

OK!マーキュリー

 

毒液が飛び散り、メテオにかかろうとした瞬間!

 

バシャッ!

 

メテオの身体が液状化し、そのまま毒液を掻い潜り蛇王に肉迫した

「くっ…」

メテオの予想外の動きに一瞬反応が遅れた蛇王。しかし野生とも言うべき反射行動で杖を手元に戻し殴りつけた。しかし液状化したメテオには一切の打撃は効かない

「はぁっっ!!」

メテオは液状化から実体に戻り、蛇王の胸に拳を密着させ、一気に衝撃を前面に集中させた。その衝撃は蛇王の装甲を通り抜け直接蛇王の身体、体内に響いた。流星が修めた星心大輪拳の奥義に水星の水を操る能力を併せたマーキュリースプラッシュだ

「はぁ、はぁ…、は…、はぁ、はあはははははははは!!!!」

蛇王は狂気を帯びた歓声を上げた

「これで決める!」

メテオはヴァルゴギャラクシーの最後のスイッチを入れた

 

ムーン・レディ?

OK!ムーン

 

メテオヴァルゴフュージョン最大の能力。月の満ち欠けを体現した30人分身の術だ

30人に分身したメテオ。その頭部のパーツが月の満ち欠けを表していた

 

マーズ・マーキュリー・ジュピター・ヴィーナス・サターン・レディ?

 

6人5様の攻撃体勢を取ったメテオは荒れ狂う蛇王に迫った

 

OK!マーズ・マーキュリー・ジュピター・ヴィーナス・サターン

 

高熱拳撃・内部破壊衝撃・圧殺重撃・超硬度棒杖打撃・大輪切断

メテオが持てる全ての攻撃が蛇王に全て当たった

「は・、はあっははははははhhhhh~~~~~~~」

しかし、野生の勘で僅かに打点をずらし急所を避けもはや正常とは言えない精神で痛覚を遮断、いや、元より快感しか覚えない精神はいまや最高に昂ぶっていた

「なんて奴だ…」

メテオは背筋が冷たくなるのを感じながらロディアストームシャフトにヴァルゴエヴォリューションスイッチを差しこみ新たな技を放った

「ヴァルゴエヴォリューションパニッシャー!!!」

超高速回転しながらヴァルストームトッパーは蛇王に攻撃を喰らわせた

「しゃぁッ!」

蛇王は杖で打ち落とそうとしたが、メテオがロディアストームシャフトを振るうとなんとヴァルストームトッパーは小規模ネビュラホールに吸い込まれ、次の瞬間には後ろから現れた

高速で移動しながらも動きが直線的だった以前と違い、短距離空間跳躍(ショートジャンプ)を繰り返すことで変則的軌道での攻撃が可能となった。その軌道はメテオ主動なので、まさに捕らえられぬ攻撃となった

超高速回転の刃に斬り裂かれ、蛇王の装甲はもはや生身同然までぼろぼろになっていた

「蛇王、お前の運命(サダメ)はこれで決まる」

メテオはエネルギーを吸収・増幅したヴァルストームトッパーを再びヴァルゴエヴォリューションスイッチに装着し、ベルトのソケットに挿入した

「・・・・・・・・・」

蛇王はもはや言葉すら発せられない状態だった

 

リミットブレイク

 

メテオはバックル部分の天球儀体を回転させた

「はぁぁっ!!!」

メテオを高くジャンプし、空中できりもみ回転すると、右足を突き出し、そのまま一気に蛇王に喰らわせた

 

ドォォォォォンン!!!!!!

 

ブラッディストライク

先の攻撃で溜まったエネルギーを右足に集約したライダーキックは、蛇王の装甲を全て破壊した。そして・・・

 

ゴゴゴゴォッゴ

 

ライダーキックを当たった部分を中心に、ダークネビュラが発生し、それは徐々に大きくなってきた

「…んだぁ、こりゃ…」

蛇王の身体は徐々にその中に吸い込まれていった

「…っち、これで祭りも終(シマ)いか…」

蛇王はメテオの方に顔を向けた

「…結構楽しめたぜ、ま…た、祭ろうぜ…」

その言葉を最期に、蛇王はネビュられた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ…」

ドライバーのレバーを二度上げて変身を解いた満身創痍の流星

「流星さん!」

友子が倒れ掛かったその身体を抱きとめた

「よかった…」

「友子ちゃん…」

2人が互いの鼓動を感じ合っていると・・・

「っく…、」

財団Xのさらなる人員が迫って来た。どうやら後詰として控えていたらしい

「…流星さん、」

「大丈夫、友子ちゃんは俺が守る」

流星は友子の頬を撫でた

 

 

 

 

 

「君の運命(サダメ)を俺に決めさせてくれ」

 

 

 

 

「…っ!」

驚いた友子の唇を流星は自分の唇でふさいだ

 

 

互いの唇を離すと、流星はすでにそれ自体も限界にきているメテオドライバーを構えた

流星はもはや友子の方を振り返らなかった

「弦太郎、どうやら友子ちゃんをそっちに無事行かせることが限界みたいだ…」

流星は呟くとそのまま財団Xに突っ込んで行こうとした

 

 

その時

 

 

 

 

 

どんっ、どんっ、どんっどんどんどんどん

 

 

太鼓の音が鳴り響くと黒い装束を着込み顔をやはり黒い布で隠した、黒子の集団が垂れ幕や旗を持って流星たちと財団Xの間に割って入ってきた

 

カカンっ!

 

拍子木の音が高らかに鳴ると、1人の和装の女性が立っていた

「白川くん?」

「なんで…?」

和装の女性、白川芽衣は黒子から刀を受け取ると構えた

「白川芽衣とは私が表の世界で生きていくための名前。でも、す…、親友やその大切な人を守るため、外道を相手にするのなら…!」

白川は携帯を開いて縦に合わせると先端から飛び出した筆の穂先で目の前に“火”の文字を書き、それを反転させた

火の文字が彼女を包むと、赤と黒のスーツが上半身と下半身に、火の文字書かれた赤いマスクを装着した戦士となった

ベルトのバックルから丸い鍔を取り出し腰の刀に取り付けた。刀を抜いて、手首を返して地面に切先を向け刃を相手に見せるように構えると、彼女は高らかと名乗りを挙げた

「志葉家十八代目頭首、侍戦隊が姫、シンケンレッド志葉薫!」

「戦隊…?」

「聞いたことがある。仮面ライダーと同じく、5人一組で戦う人たちがいるって、都市伝説が…」

「アリエスの時は力をちょっと海賊に力を貸していてね。ここは私に任せて、二人は早く天高に。それと…」

白川…、志葉薫は携帯…ショドウフォンを取り出すと目の前の空間に文字を書いた

「はっ!」

 

“癒”

 

反転させた文字は『癒』

それは流星の身体に張り付くと、すぐに消えた。いや、流星の身体に染み込んでいった

「癒しのモジカラだ。それである程度は回復できる」

「ありがとう…」

「さぁ、早く」

「はい、あの白…、薫さん、ありがとうございます」

薫は友子の顔を見るとほんの少し表情を曇らせたが、すぐに微笑んだ

「友子ちゃん、朔田君進路で悩んでいるみたいだから、相談に乗ってあげて。一つの進路は決まったみたいだけど」

「…はい」

流星と友子はメテオスターに乗ると走り出した

その姿を確認すると、薫はシンケンマルを構えて財団Xに突っ込んでいった

財団Xの白服はマスカレードドーパントとなった

シンケンマルを右に左に振り次々とマスカレード達を斬り伏せていった。背後からの攻撃にも対応する薫だが数が多い。それでもなんとか応戦していたが、突如凶弾が彼女を襲った

「きゃあっ!?」

変身が解けた薫が攻撃された方向を確認すると、そこにはかつて昴星を支配していたアリエスゾディアーツがいた

いや、よく見るとアリエスゾディアーツの動きは機械的だった。財団Xのダミースイッチによる複製ホロスコープスだ

「くっ…」

追い込まれた薫の窮地を救ったのは、意外な人物だった

 

 

 

 

 

撃ちま~す

 

 

 

 

 

タタンタタン

 

「誰?!」

薫が振り向くと、そこには右手に銃、左手に剣玉を持った緑色の服を着た青年がいた

「次郎君?!」

「ジロウ?違うよ、俺はヒカリ」

ヒカリと名乗った青年は剣玉を緑の上着に仕舞うと薫の隣に立った

「赤い奴が無茶してるのを見過ごせないんでね、助太刀させてもらうよ、お姫様」

「忝(カタジケナ)い」

2人は並ぶと、ショドウフォンとトッキュウブレスを構えた

「一筆奏上!」

「トッキュウチェンジ!」

 赤剣士と緑の戦士が並び立つ

「シンケンレッド、志葉薫!」

「トッキュウ4号!」

 烈火大斬刀とトンネルアックスを構える2人の戦隊

 「いざ、参る!」

 「出発、進行!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

繰り出されるフォーゼ渾身の攻撃

「ライダーグランドストライク!!!」

 

ついに天高に財団Xが

「さぁ、回収しようか」

 

吠える弦太郎

「やめろ~~~~!!!!」

 

そこに吹く二つの風

「「さぁ、お前の罪を数えろ」」

 

伸ばされる手

「ライダーは助け合いでしょ」

 

走る赤き装甲とバース

「俺に」「俺が」

「質問するな!」「バースだ!」

 

王と女王と騎士が立つ

「キングダイザー」

「クイーンダイザー」

「JKダイザー」

 

流れ落ちる星

「お前たちの運命は、俺たちが決める!」

 

絆の宇宙と青春銀河

白き仮面がスイッチオン

「宇宙~~~~、キタ~~~~!!!!」

 

 

 

 

次回第6話

宇・宙・到・来




トッキュウグリーンは出す予定はなかったんですが、書いてる最中にトッキュウジャーキャスト発表されて放送始まったので、出しちゃいました
空手アクションすごかったですよね、こないだ

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