ログ・ホライズン ~高笑いするおーるらうんだーな神祇官~   作:となりのせとろ

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第二部 予告
第二部予告


 

 秋の祭典から早くもニヶ月の月日が過ぎ、アキバの街に真っ白な雪の積もる冬が訪れていた。

 

「あの男は化物ですよ。人として大切なものがどうしても欠如してますから、貴女と一緒です。薄汚くておぞましい、見るに耐えません」

 

「彼はねぇ、惜しいんだよ。ヒーローに匹敵するくらいに魅力的なキャラクターをしているのにヒーローになりきれないんだ。まったく、俺からしたら羨ましくて仕方ないっていうのにさぁ」

 

 相も変わらず彼はどこかで語られる。それが悪評か酷評か褒評かは定かではないが

 

 今のアキバの街にそんな“彼”はいない

 

 それでもアキバの街はいつもと変わらずに活気に溢れ賑やかにその日々が過ぎていく。

 そんな中、少女と彼の妹はある噂を耳にする。

 

「殺人鬼?」

 

「僭越ながらそれでは語らせてもらおうか。

 〈紅き名探偵〉の二つ名がただのお飾りではないことくらいそろそろ証明しようではないか。

 私を赤面探偵なんて呼んでいいのは不愉快な話だがアイツだけだ」

 

「無粋だわ、この街で人殺しをしようだなんて。姫の目の前で人を殺そうだなんて

 

──身の程を知りなさい。理を捨てた畜生風情が」

 

 

 少女たちは鬼を止めるために集い助け合いその中で新しい友情を育んでいく。

 冬空の下、アキバの街では様々な思惑が交錯していく。

 

「もう少し頑張ってくれないかなぁ!アキバの精鋭諸君!こんなのじゃあメインデイッシュの前に飽きちゃうよ!」

 

「クインさんっ!危ないっ」

 

「いいねぇ。面白くなってきたよぉ!やはり人形の出来がいいと見応えがあるねェ」

 

「終わりです…。

 アキバの街はもう…」

 

 そして、彼も、血の繋がった実の姉との約束と因縁に決着をつけるために少しずつ足掻きつつ道を探していた。

 

「俺の剣には今、重さがなくなっちまった。

 元からあってないような重さだったのかもしれないけどな」

 

「ただ、視点が変わっただけよ、よく見えるであろう?

 おのが弱さも、惰弱さも、強さも、己にできることがなんなのかも」

 

「妾に膝をつかせてみせよ。

 それが最後の試練じゃ、お主の人の生の最後の試練にならぬよう、あがいてみせよ」

 

 

「立ち上がれ、もう一度

 

 立ち上がれ、何度でも

 

 ──また、みんなで笑うために」

 

 

 そして……

 

「終わらせようか─

 ──こんなくだらねぇ姉弟喧嘩

 

 姉ちゃんのそのありがた迷惑なお節介、俺が愉快に快活に高らかに高笑ってやるよ」

 

 

 

 次章、第五笑『その手に失せた夢の欠片』

 

 

苦しくて、苦々しくて、涙を流すことしかできない時があっても、

 

 ──それでも人生は楽しくてしょうがない

 

 




やっぱり主人公はかっこよくなきゃダメでしょう

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