比企谷 八幡の異世界漂流記(沈黙)   作:Lチキ

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今現在、作者さんが鬱期にはいられました

なので、非常に残念ながら当初の予定を変えてハッピーエンドにならないルートにしま~す

何か流れ的にいい感じになってんじゃね?と思ってくださった方、申し訳ありません。

この八幡はやっぱりゲスでした


IS インフィニット・ストラトス 15

試合開始まであと数十秒というところか‥‥

 

現在の状況は、俺の予想とはいささか異なる。まずオルコットの雰囲気が違う。生前でもああいう目をした奴は一様に厄介極まりない

 

10度目くらいの裁判ですっかり俺の担当弁護士になってる葉山もあんな目をしてたっけか

あ、担当弁護士って言っても俺を訴える方の担当だから、俺を弁護とかは絶対してくれないから間違えないように

 

あの時の葉山は本当に厄介で一度は負けも覚悟した。まあ、最終的には俺が勝ったけど

それでも後にも先にも俺があそこまで追いつめられたのはあの時だけだった。

 

それに、この間合いも予想外だ。遠距離射撃を主体とするオルコットの事だから最低でも20mくらいは最初から離れて、そのままライフルとビットで射撃体勢に入る物だと思っていた。

 

それがなぜかこの距離、大体10m程度

 

離れてないならいいじゃん、と思うかもだがそれは一夏みたいに近距型のみの話だ。

俺の主体攻撃も実を言うと遠距離で、むしろ近距離戦は苦手だ。今構えてる手刀もただの張ったりで、こんな超至近距離武器なんざ怖くて使いたくない。

 

俺は詐欺師であり犯罪者であり、その筋ではかなり有名だが基本的にはビビりの臆病者である。

臆病だからこそいくつもの策をめぐらしのらりくらりと今までやってこれたし、ビビりだからこそ警戒心を強め、どんな時でも冷静に慎重に対処してきた。だから、あの人外と言って過言ではない千冬の攻撃(出席簿)もよけられる

 

ただし、ビビりで臆病だから回避や保身は得意でも相手への攻撃とかは苦手だ

こんな明らかに僕兵器ですよと言う感じのパワードスーツでの戦闘とかめちゃくちゃ怖い

 

なので剣や手刀での斬りあいとか勘弁願いたいし、手刀とライフルでのドンパチなんかなおさら嫌だ

 

当初の予定では、相手の方から十分に距離をとってくれると予想してたのでこっちは、開始早々に一発レールカノンをブチ込んでそのまま移動しながら距離をとり蜂の巣にでもしようとしていた。八幡だけに

 

自分の得意分野である射撃で完敗することにより相手の心をへし折って日本をディスった事を後悔させてやるつもりだったのに‥‥

 

こうも近いとその予定も難しい、レールカノンはその威力とスピードから完全な遠距離戦で不意を突けば割と回避不能の強力な兵装だが、逆にこのくらい近いと発射までの予備動作やための時間などで相手に悟られ回避される可能性が高い

 

意外な事だが、こういった兵装は遠距離より近距離の方が回避されやすいのである

しかも、何あの凛と真っ直ぐにこっちを見てる目は?

 

透き通るような青い目に決意の炎を燃やしてて物凄くきれいだ。目の濁った俺へのあてつけかよ?

 

これ絶対よけられるよ。別に軍人でもないし銃とかあんま使ったことないからあれだが、俺の直感がいってる。このまま撃ってもよけられて逆にこちらが一発もらう

 

むしろ一発で済めば御の字というレベルだよ

 

‥‥しかたない、こうなればプランβを使うしかないか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥随分と雰囲気が変わったな。何かいい事でもあったのか?」

 

 

試合開始までもう時間がないというとき、俺はオルコットに話しかける

今までのように語調を強める事もなく、なるべくセリフに棘が刺さらないように

ただ、怪しまれないように最低限の警戒心をセリフに乗せる。

 

 

「いい事‥‥確かにそうかもしれませんわね。このような気持ちになるのは随分と久しぶりですから、いえもしかしたら生まれて初めて感じる気持ちかもしれませんわ」

 

 

要領がつかめんが、さっきの試合で心境の変化でもあったんだろう。

頬を染め微笑むその顔からすると一夏に惚れでもしたのか?

というか、あの顔は絶対にそうだろ。絵にかいたような恋する乙女って感じだし

 

 

「何のことか知らんがそれは良かったな。でも、そんな緩みきった顔して勝てるのか?確か俺を奴隷にするとか言ってたけど」

 

 

「そのような事も言いましたわね‥‥申し訳ありませんでした。アレはわたくしの失言でしたわ」

 

 

と、オルコットは謝罪の意思として腰を曲げ頭を下げる

 

おいおい、本当にこれがあのセシリア・オルコットかよ‥‥

自分の責を認めその上での謝罪。まさしくザ・大人の対応だな

 

以前のこいつならありえない対応だぞ‥‥‥いや、むしろ本来の貴族としてイギリスの代表候補生としてのオルコットの姿はこっちの方かもしれんな

 

祖国を離れ単身日本に留学してきて肩肘はってたのが、一夏に恋することもとに戻ったていう感じか

 

 

「あのような失言謝ってすむとも思いませんが・・・せめてもこの試合は、わたくしの全力を持って貴方に答えます」

 

 

「いや、こっちもあの時は言いすぎたうえに泣かせちまってるしな‥‥お互いあのことはこれで手打ちにしてくれると助かる」

 

 

そういい、俺は右の手をオルコットに向け差し出す

あっちもこちらの意図にきずいたのか、ゆっくりと近づきながら差し出された手を握り返す

 

金髪碧眼のイギリス人の女の子と握手すなんて本来の俺なら、内心で盛大にキョドリながら表面上は冷静に対応するのだが・・・なにぶんお互いがISに乗っており、握手したてもやたら機械じみたごつごつとした手なので正直なんとも思わん

 

むしろガチャガチャと鉄と鉄がぶつかる音が聞こえて酷く不愉快だ

嫌な顔はしない物のどうしても無表情になってしまう俺を責められる奴はいないだろう

 

例えるなら友好の印とか言ってガン○ムとザ○が握手をしてるけど、中に乗っているパイロットは握手してないみたいな何とも微妙な感じだ

こいつら一見仲良くしてる風だが、本心ではそうでもないだろみたいな

 

やはり握手と言う行為は人と人がお互いに手のぬくもりを感じられるからいいのであってロボット同士の握手と言うのは何か違うだろ、みたいな

 

 

「色々ありましたが、この試合はお互いに正々堂々と己の実力を出し切り戦いましょう。もう手加減やハンデなどという失礼な事はいいません。全力で行かせていただきますわ!」

 

 

そんな俺とは裏腹にこいつはこいつで物凄くいい笑顔で、言い切る

形から入るタイプみたいだし、こういう絵になる行動は好みらしい、合理主義者の俺にはよく分からんが

 

 

「ああ、そうだな。これであの時の事は手打ちだ」

 

 

試合開始のカウントが場内に響く

 

『5』

 

 

「だからお互い全力で頑張ろうじゃないか」

 

 

『4』

 

 

先ほどまで握っていたお互いの手を放しオルコットは徐々に後方に後退するが、3メートル離れたところで呼び止め

 

 

『3』

 

 

「そういえば一つ言い忘れてたぜ、オルコット」

 

 

『2』

 

 

「?・・・いったいなんですの」

 

 

『1』

 

 

「いやな大したことじゃないんだが、ただな俺は全力でやるつもりだが」

 

 

『試合開始ッ!!』

 

 

 

 

「正々堂々は保証できないぞ?」

 

 

「それは、どういう‥‥‥なッ!こ、これは!?」

 

 

不適な笑みを浮かべそう告げる俺にオルコットは一瞬感慨そうな顔を浮かべるも、すぐにそれは驚愕へと塗り替えられその場に押し止まる

 

いや、それは立ち止まるとかという意味ではなく文字道理に止まっている

人の取る態勢としては違和感があり、まるでテレビ画面を一時停止したような不自然な格好で彼女は身動き一つ取られず指の一本も動かすこともできず、張り付けられたように止まっている

 

唯一動ける顔は先ほどまでの恋に恋する乙女の顔とは異なり、驚愕とそして怒りの表情へと姿を変えている。

目を吊り上げ、こちらをにらみつける彼女はこれまたあの時と違い、迫力が半端ない

 

セシリア・オルコットが持つ第3世代型兵器『ブルーティアーズ』と同様にこの機体にも第3世代型兵器は搭載されている。

シュヴァルツェア・レーゲンが持つ第3世型兵器、その名も『停止結界《慣性停止能力(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)》』

 

 

 

 

 

第3世代型兵器とはその名の通り第3世代のISから搭載された兵器でISコアの能力をワンオフアビリティー以外で、誰でも自在に使用できるようにするという構想の元開発された。

 

言わば量産型ワンオフアビリティーとでも言う感じのしろ物で、搭乗者の意志による操作装置(イメージ・インターフェイス)を内蔵している。

 

ブルーティアーズは操縦者の意志により複数のビット兵器を同時に使用するが、この停止結界は意識的に停止させたい物体に意識を集中することでその物体を完全に停止させるという、何ともチート風な兵器である

 

常に複数のビットを動かしてるブルーティアーズと比べ集中するのは、停止させたい物体に限定している停止結界は操作がやりやすく、使用の際に他の武装が使えないという事態にもならず比較的に使用しやすい

 

だからと言って基本的には、一方向にしか使えないので複数人と戦うときにはあまり有効ではない。それに、本来ならティアーズのように複数の方向からの攻撃ができる武器相手では分が悪く

 

使い勝手はいいが、使う場面を間違えると痛い目を見る

 

まあ、本体事ビットも停止してる現在ではそれを心配する必要もないけどな

 

 

 

さてと‥‥

 

多くの人は思っただろう。一夏との試合を終え、纏う雰囲気が異なる今のセシリア・オルコットは、代表候補生として相応しいと

 

自分の非を素直に認め、謝罪をする潔さも、それからの啖呵も国を代表する、まだ幼いながらも貴族としての振る舞として素直に尊敬できると

 

これから始まる試合は、さっきまでの試合より過熱を極めお互いが死力を使い果たすさぞ素晴らしいものになると

 

ただ、生憎と現実と言うやつは中々に非情な物で、いくら心を入れ替えようとも、いくら自分の非を認めようともそれで全てがハッピーエンドになるとは限らない

 

そんなのご都合主義など俺は認めない

 

間違い続ける俺の人生はそれでも変わらない

 

 


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