執務室。ジュエル253個貯めて全部回して☆4どころか☆3すら出なかった。しかも九割が虹のルーン。もう無理。このクソゲーやらねぇ。おかしいでしょ、マジで俺の努力返せし。仕方ない、ストレス発散でもするか。俺がこの手のショックから立ち直るには方法は一つしかない。
携帯をスピーカーに繋ぎ、流れてくるのは「HOT LIMIT」。そして、冷蔵庫からコーラを取り出した。
『YO! SAY夏が 胸を刺激する ナマ足 魅惑の マーメイド』
流れてくる音楽に合わせて俺は片足上げながらコーラを振った。いやこれマジで爽快。
『出すとこ出して たわわになったら 宝物の恋は やれ 爽か』
「提督、失礼します」
コーラを噴射すると共に鳳翔さんが入ってきた。コーラが見事にぶっ掛かり、沈黙が…いや、こんな状況でもスピーカーだけが気持ち良さそうにHOT LIMITを歌っていた。
コーラ味の鳳翔さんが爆誕した瞬間に、俺は爆撃されると思って土下座の姿勢をとった。だが、鳳翔さんは「後で覚えてて下さいね」と言って風呂に行ってしまった。
………後が怖ぇ。どうする…土下座か?いや、今回は完全に俺の落ち度どころではない。叩き落とされてるまでもある。いや待てよ…確かどっかの映画で土下座以上の謝り方があるとかなんとか…そうだ!それだ!
この結論に至った瞬間に鳳翔さんが戻ってきた。丁度いい。
「さて、提督。何か言うことはありますか?」
「ワキゲボーボージユウノメガミ!」
沈黙が、ただただ沈黙が流れた。
だよね…なんとなく予想してたわ。今のは冗談ということにして土下座しようとしたときだ。
「………バカ」
そのまま鳳翔さんは出て行ってしまった。やべっどうしよっ。
「で、私達のところに来たわけですか」
正規空母の部屋。というか一航戦の部屋。
「ハッキリ言います。バカですかあなたは」
加賀さんにハッキリ言われて俺の心のライフは赤ゲージです。
「いや分かってるんですよ…多分パニクってたんだろうな…」
「それで、提督はどうしたいんですか?」
「許して欲しいです」
赤城さんに聞かれて即答した。そりゃそうでしょ。鳳翔さんほどこの鎮守府でいい人いないよ?多分、キチンと謝れば許してくれたんだろうし。……本当になんでキチンと謝らなかった俺。
「それなら素直に謝りなさい。私達から言えることはそれだけです」
「赤城さん…」
なんだかんだでこの人も親みたいだ…と、思ったけどダメだな。ブラックホールの擬人化みたいな人だぞ。
「それじゃ、行ってきますか…」
うん、今回のラストパートは普通に終わりそうだな。本当にヒロイン鳳翔さんで良かったわ。