提督が仕事をしてる中、今度は加賀が外に出た。すると、そこに鳳翔。
「心配そうな顔してますね」
「そう見えますか?」
「えぇ。大丈夫ですよ。あの人のことですからどーせすぐ戻ってきます」
「だといいのですが…」
「とにかく、今は私達が出来ることは、提督を守ることです。いつも、守られてばかりなんですから」
「……そうですね」
二人の意思が団結した時だ。川内がタタタッと走ってきた。
「深海棲艦が攻め込んで来ました!」
((こんなに早く守る(物理)ことになるとは……))
その深海棲艦は強かった。いや、正確に言えばその深海棲艦の左腕が強かった。やけに人間っぽい左腕。その破壊力は提督にも負けないレベル。その二人の前に立ちはだかる加賀と鳳翔。近くで倒れている長門が二人に言った。
「気を付けろ加賀!奴の左腕は威力が尋常じゃない!」
「左腕……?」
「なんか、どっかで見たことあるような……」
そこに駆け付ける榛名。
「ここは榛名が食い止めます!お二人は提督をお願いします!」
「こんな時に…妹提督はなにをしているの?」
妹提督はゲーセンでぬいぐるみを取っています。
加賀と鳳翔は倒れている長門を担いで執務室に向かった。
「提督!」
だが、中には誰もいなかった。
「……こんな時に!」
「加賀さんはここで長門さんと待っていて下さい!」
鳳翔さんが探しに行ってしまった。
榛名もやられ、侵入した深海棲艦が視界に捉えたのは提督だった。
「見ツケタ。次ノ獲物……」
提督は「新しい艦娘?」とかほざいてる。そこに向かって殴り掛かる深海棲艦。だが、それを鳳翔がかばった。
「! 鳳翔さん!」
そのまま気絶するように倒れる鳳翔。それを心配させる間も無く提督を殴る深海棲艦。
(情けない…部下に庇われて、敵にやられてる。僕は…俺は………)
そこで、ゆらりと提督は立ち上がった。
「おいコラ。10秒以内に鳳翔さんから離れろ。じゃないと木星辺りまでぶっ飛ばすぞ」
「ヤッテミロ!」
殴り掛かってくる深海棲艦。だが、提督のパンチで屋根を突き抜けてぶっ飛んだ。
「その左腕、俺のだし」
医務室。鳳翔さんが目を覚ました。
「大丈夫ですか?」
声を掛けた。すると、笑顔で「はい」と答えてくれた。
「すいません鳳翔さん…俺が、記憶なんて飛ばなきゃ…」
「記憶、戻ったんですね…」
「えぇ、一応」
そう言ってポリポリと頬を掻く。
「侵入した深海棲艦は…」
「木星辺りじゃないですか?」
「あっハイ」
「それより、ホントにごめんなさい」
「本当ですよ。私や加賀さん達がどれだけ心配したと思ってるんですか」
「………」
何も言えない。仕事サボろうとして不発弾踏んで記憶すっ飛んだ俺が悪い。
「そんな提督には罰が必要ですね」
なにをされるのか…そう思ってドキドキしてると唇に柔らかい感触。それが鳳翔さんの口だと気付くのに時間が掛かった。
「……?……!?」
クグッと押し付けられ、ぷはっとようやく離れられたが、なにをされたのかイマイチ分かっていない。そんな俺に鳳翔さんが言った。
「助けてくれて、ありがとうございます」
俺が助けられたんじゃなかったっけ?そう思いつつも、軽く会釈しておいた。