球磨型の五人でフルブ大会、総当りで負けたら島風服で一日過ごすという大会らしい。
「いや無理だから。俺片腕無いし…」
「頼む!俺はやりたくなかったのにほとんど矯正なんだ!」
「いや知らねぇよ。俺だってそんなリスキーなことしたくねぇし」
「提督!お前しかいないんだ!」
「妹に頼め。俺とスペック変わらないし俺は片腕ないから向こうのが強いぞ今」
「あいつは仕事してんだろ」
「じゃあ諦めろ」
「わかった!なにか望みはあるか!?」
「現金八兆円」
「ていとくーっ!」
悲痛な叫びを上げる木曾。そのまま俺の腕に涙目でしがみ付いた。
「おーねーがーいー!流石に島風の服は嫌だ!なんとかしてくれよ!」
なんだかんだでこいつも女の子なんですね。
「仕方ねぇな。その代わり、負けても文句言うなよ。あと勝ったらラーメン奢れよ」
てなわけで参加することになった。
次の日、木曾含めて球磨型全員が島風服になっていた。結局、俺一人でボコボコにした挙句、「替え玉はズルい」ってことで木曾も着せられたらしい。どうやってゲームしたかって?キーボードを打つ感覚で指を光速で動かしました。俺は五人分キッチリカメラに収めて仕事をサボった。宣言通り!
そんなわけで俺は暇潰しに海岸に出た。ウォークマンにイヤホンをぶっ刺し、イヤホンを耳に装着。耳元で「女々しくて!」×3が流れて来たので速攻で曲を変える。
次に聞こえたのは「ミカンでマッサージ!」。うん、OK。さて、とりあえずゲーセンにでも行こうか。そう思って歩き出した時、なにか鉄みたいなものを踏んづけた。
それは不発弾だったようで、俺は足元から爆発した。
あたしと鳳翔さんは急ぎ足で医務室に向かった。ガララッとドアを開けるとお兄ちゃ…アホ兄貴が起き上がって窓の外を見ていた。
「あら、元気そうじゃない」
「足元で爆発が起きてどうして元気でいられるんですか…」
「また足が取れてるとかじゃないでしょうね」
だが、バカ兄貴はそっぽを向いたままだ。
「ちょっと聞いてんの?」
ぐいっと肩を掴んでこっちを向かせた。
「痛たたっ!な、なんですかあなた?」
「は?」
「ひょっとして、さっき僕に話し掛けてました?」
「はぁ?なに言ってんの?それより、足とか吹っ飛んでないでしょうね?」
言いながらあたしは布団をひっぺがす。良かった、きちんと足は付いてる。
「な、なにするんですか!ホントに誰ですかあなた!?」
「はぁ?あんたこそどうした…」
「あの、妹さん…もしかして提督……記憶喪失なんじゃ…」
鳳翔さんがおそるおそる言った。え、マジで?
「ねぇ、いくつか質問させてもらってもいい?」
「……なんですか?」
警戒したようなジト目で聞いてくるマヌケ兄貴。
「ビームマグナムはビームライフル何発分の威力?」
「さ、さぁ…」
「ガンダムUCのepisode1の最後、『ここから出ていけ』の時に挿入されるBGMの名前」
「いやだから知りませんって」
「シナンジュが袖付きにパクられる前の色」
「な、なんですかさっきから…」
あたしと鳳翔さんはその反応を見るなりお互いに頷いた。
これから緊急集会だ。