もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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正規空母

 

 

 

 

提督さんを殴り飛ばした後、私(瑞鶴)と加賀さんはポツンと立ち尽くしていた。にしてもなんでこの人私のことヴーヴー言ってくるのかね…そんなに私達ってダメなのかな…。

 

「瑞鶴」

 

「へ?あ、はい!」

 

急に呼ばれて少し返事が遅れちゃった。

 

「あなた、提督に膝枕の上に頭撫でてもらっていたわね」

 

「は、はい。それがなんですか?」

 

「少し用があるの。来なさい」

 

「な、なんでですか?」

 

なにされるんだろう…ま、まさかいくら加賀さんでもそんなことで怒ったりしないよね?とりあえず言われるがままついて行く。

着いたのは一航戦の部屋だ。ホントにリンチされるのかなぁと思いつつも中に入ると赤城さんの他に二航戦の2人がいた。ちゃぶ台を囲んで座っていて、お菓子が並んでいる。

 

「あ、瑞鶴さんこんにちは」

 

赤城さんや飛龍さんが手を振ってくれる。それに私はぺこっと会釈した。

 

「加賀さんがこの部屋に誰かを連れてくるなんて珍しいね」

 

「へ?そーなんですか?」

 

蒼龍さんに言われてつい反応してしまった。

 

「うん。なんだかんだ言って五航戦の子も大好きだからね加賀さん」

 

「蒼龍、余計なこと言わないで」

 

そ、そうなんだ…えへへ……。無意識ににやけていたのか、加賀さんが睨んで来る。それでもいつもとは違って顔が赤くなっているので全然怖くない。

 

「いいから座りなさい。追い出すわよ」

 

「加賀ちゃん…」

 

「調子に乗らない!ていうかなんであなたがその名を……」

 

え、異名だったの?さっきまでの加賀さんのイメージがこんな感じかなって思って言っただけなんだけど…。

 

「あ、加賀ちゃん可愛いー!」

 

「加賀ちゃん!」

 

「あ、あなた達まで!」

 

飛龍さんや蒼龍さん達まで声を上げる。

 

「ほら、それより始めましょう。加賀ちゃん」

 

「あ、赤城さん!」

 

赤城さんの号令でなにが始まるのか分からないけどなんか始まった。

 

「まず、瑞鶴。あなた提督に頭撫でられてたわね。それ、どうやったの?」

 

「へ?いや提督さんから撫でて来ただけですけど。アスナロ抱きしてあげたら」

 

『アスナロ抱き!?』

 

「あ、いや…後ろからがばっと飛び付いただけ、です…」

 

「それで、提督に頭を撫でられたの?」

 

「はい…ていうかなんの会ですかこれ?」

 

私が聞くと飛龍さんが答えてくれる。

 

「あぁ…えぇと、提督に少しでも意識させる会よ」

 

なにそれ……。

 

「ほら、あの人どんなにアプローチしても『最近ヤケにくっついて来る』くらいにしか思ってないでしょ?」

 

「あぁ…そういうことですか」

 

蒼龍さんが説明してくれて理解した。確かにあの人の鈍さはどこぞの幻想殺しレベルですらある。

 

「加賀さんなんて『お節介のお母さん』って感じだからね」

 

「やめて…」

 

「まぁ外から見た感じだけですけど」

 

飛龍さんが言うと加賀さんは少しゲンナリした様子になる。

 

「なるほど…でもホントにあの人私達のことなんにも意識してないんですかね?」

 

『ん?』

 

だから私が発言するたびに声揃えないでよ……怖いから。

 

「聞いてみましょうよ。青葉さんとかに頼んで」

 

「なるほど…その手があったわね。ありがとう瑞鶴、初めてあなたがここにいて良かったと思ったわ」

 

「あーそれは良かったですね!」

 

「とにかく、お菓子を食べてから…」

 

そう言いかけて加賀さんが机の上のお菓子に手を伸ばすと全部なかった。赤城さんの頬には食べかすがついていた。

 

 

 


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