「で、なんかして欲しいことある?」
看病することになったのでとりあえず聞いた。
「いえ…特には……」
「じゃあ俺、部屋にいるから必要になったらLINEで呼んで」
「待ってください。どこに行くつもりですか?」
「どこって…部屋」
「看病してくれるのではなかったのですか?」
「いやして欲しいことないっていうから…」
「あります。例えば……」
人差し指を顎に当てて上を向く不知火。今考えちゃってるよ…。
「あっ!身体拭いて下さい!」
………なんつった今この子。自分で言って顔赤くしてるし。
「本気?」
「ほ、本気です……」
「いや別に訂正してもい…」
「不知火になにか落ち度でも?」
「いや落ち度はないけど…」
まぁこいつがいいって言うならいいか。
「じゃ、服脱いで。あとタオルどこにあんの?」
「あ、あそこの棚です…」
なんで顔赤くしてんの?こっちが恥ずかしくなんだろうが。
「じゃ、拭くよー」
傷ひとつない背中を拭く。
「痛くない?」
「大丈夫です…むしろ、もう少し強く…」
「はいはい…」
「ん…痛っ……」
「痛いのかよ。無理すんなよ」
「し、司令の力加減が下手くそなだけです!」
「人のせいかよ」
身体を拭き終えると、さっさとパジャマを着る不知火。まぁそんな感じで一日世話をした。
その頃の執務室。あたし(妹提督)は仕事する振りしてゲーム中。元はあのバカ兄貴なんだから、この辺りで同じことするのは当然。なんだけど、秘書艦の吹雪に見張られて中々思うように出来ない。
「もういやー!やーめた仕事!めんどくさい!」
「だ、ダメですよ司令官!まだたくさん仕事あるんですから!」
「やーだよー!飽きた!」
そのままソファーで書類をチェックしているもう一人の秘書艦、白雪の膝にダイブした。
「きゃっ!し、司令官?」
「白雪の太ももやわらかーい」
「まったく…」
頭を撫でてくれる白雪。あたしは元々はアホ兄貴と同一人物。で、アホ兄は本当は何人かの艦娘に甘えてみたいと何回か思っていたが、異性に対してコミュ症なだけあって無理だったみたいだし、男としてのプライドもあった。が、あたしは女。だからめいいっぱい甘えられる。
「白雪〜」
「はいはい、なんですか?」
「こら〜!早く仕事しないと…」
「まぁまぁ吹雪、いつも働いてるんだからたまにはいいんじゃない?」
「最近は日替わりでしょー!」
「なになに、吹雪嫉妬?」
「し、司令官もからかわないでください!」
「それより間宮さんのところ行こー。お腹空いた」
「はいはい。休憩にしましょう。吹雪も行く?」
「し、仕方ないですね…」
と、まぁあたしは兄貴よりダメだった。