もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

82 / 156
番外編3-2

 

 

 

遊園地。そこで今日は「セット撲滅戦隊単品マン」のヒーローショーだ。そこには第六駆逐…もとい暁姉妹に引率に加賀先生、赤城先生がいた。

 

「まだかなー!単品マン!」

 

「ち、ちょっと雷!抜け駆けなんてレディらしくないわよ!」

 

「こらこら走らないの。慌てなくても単品マンは逃げませんよ」

 

赤城先生が優しく微笑む。その横では加賀先生が響と電の手を繋いでいた。

 

「まったく…こんなところ他の生徒に見られたら…」

 

「まぁいいじゃないですか。私達は高等部の教師ですし、多分大丈夫ですよ」

 

「まったくあなたは…そもそも提督先生はなにが用事があるですか…あの人に予定なんてあるわけないでしょうに…」

 

「そんなに提督先生に会いたかったんですか?」

 

「〜〜〜っ!赤城さん!」

 

なんて会話しながら野外ステージへ。で、六人は座る。

 

「楽しみね!」

 

「はらしょー」

 

「なのです!」

 

「私は子供じゃないからそうでもないけどね!」

 

言いながら一番そわそわしている暁。そんな微笑ましい光景とは裏腹に加賀先生は提督がいないから少し悲しげ。

 

「あ、始まりますよ」

 

赤城の声で全員ステージに顔を向ける。で、司会のお姉さんとお兄さんがマイクを持って言った。

 

「みんなー!こんにちはー!」

 

「今日はこんなところに来てくれてありがとなー!」

 

鈴谷と提督だった。

 

((なにしてんのあの人……))

 

加賀先生と赤城先生は同じことを思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前。舞台裏、俺は最上型四人の前で土下座していた。

 

「頼む!お前らの力、貸してくれ!」

 

「ホントに物は言いようだよね」

 

間髪入れずに最上は言った。

 

「や、姉妹水入らずで遊園地に来ていたのにそれをぶち壊すのは悪いと思う。それでも…」

 

「まずなにがあったのさ」

 

最上が聞く。

 

「そーですわよ提督先生。そもそもなんであなたがここにいるんです?」

 

熊野に聞かれて提督は答えた。

 

「バイト…」

 

『は?』

 

四人は驚いた。いや仕方ねぇだろっつの。金がなかったんだよ。

 

「それで…役者が四人風邪で休んじまって…そこにお前らが来たから…」

 

「今更、何言ってるんですか!?そもそもこんな当日になって台詞を覚えられるとでも…」

 

「全部アテレコだから問題ない。なぁ頼む!じゃないとあと給料日まで二週間!どうやって生きて行けばいいんだ!」

 

俺の必死な弁明になんとか首を縦に振ってくれた四人。で、鈴谷が司会のおねえさんである。俺は主役だが、出番までまだ時間があるので鈴谷のサポート。

 

「ゲッ…加賀先生じゃん…」

 

司会で出て一発で視界に入った。鈴谷も気まずそうな顔をするがなんとか笑顔を取り繕う。

 

「あとで尋問ね……」

 

「用事ってこういうことだったんですね〜」

 

加賀先生と赤城先生の会話が怖い。後が怖い。っと、それより司会に集中。そこで、なんか声が響く。

 

「フハハッ!クソガキどもが!お子様セットにしてやろうか!」

 

なんか説明しにくい変なのが出て来て周りに黒タイツの変なのが現れた。

 

「たいへーん!お、お子様セッター吉岡よー!」

 

と、鈴谷が声を上げる。おい…吉岡ってなんだよ…。

 

「フハハッ!クソガキどもが!お子様セットにしてやろうか!」

 

おい三隈(←音響係)!同じこと言わせんな!グダグダ過ぎだろ!

 

「ふははっ!貴様らから一人さらって完全なお子様セットになってやるぜ!」

 

その台詞にきゃーきゃー騒ぐ客席。ちなみに第六駆逐…じゃねぇや、暁姉妹の暁以外が白い目で見てる。あぁ…正体ばれてるわ……。ちなみに暁は涙目だ。

 

「お前に決めたぞ!」

 

あーあ…暁が攫われちゃったし……、

 

「きゃー!きゃー!きゃー!」

 

おい五月蝿ぇ暁。泣きすぎだ。中の役者さん困ってんだろ。

 

「大変よおにいさん!単品マンを呼んできて!」

 

「りょーかーい」

 

「ヤル気ないっ!?」

 

ほっとけ。てなわけで、俺は着替える。表で単品マンのコールアンドレスポンス。流れる単品マンの搭乗前の台詞、

 

「100円あったらマ○クへ行こう!そうすりゃ単品しか買えねぇぜ!」

 

なんだこの台詞、

 

「ボッチヒーロー、単品マン参上!」

 

俺は舞台に降り立った。で、ポーズを決める。

 

「来やがったな単品マン!」

 

そのまま周りの雑魚が襲い掛かって来る。

 

「うおぉっ!ハンバーガーボール!」

 

ハンバーガーボールとは、100円で買える代表みたいなハンバーガーを相手に投げつける攻撃だ。だからなんだこのヒーロー。食い物粗末にすんなよ。

 

「っらぁっ!」

 

俺の投げつけたハンバーガーが黒タイツの人のボディに減り込み、20mくらい吹っ飛んだ。やべっ…やり過ぎた…観客の父兄も引いてる。

 

「た、単品マーン!やり過ぎだよー!」

 

鈴谷がサポートしてくれるが、なんだ、この感覚…楽しくなってきた……。

 

「や、やるなぁ単品マン!だがここからだ!」

 

走り込んで来るお子様セッター吉岡。

 

「た、単品マーン!やり過ぎないように…」

 

その敵の攻撃を俺はスカイウォークでかわす。

 

「あの人浮いてるよー?」なんて声がするが知るもんか。俺は今、輝いている。

 

「た、単品マァーンッッ‼︎‼︎いい加減に……!」

 

「単品スターライトショット!」

 

俺の空中からの蹴りが敵の腹に減り込み、今度は多分100mくらいすっ飛んだんじゃないかな。き、気持ちいい…。

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。