もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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カブトムシ

 

 

ぜんかいのあらすじ☆

 

那珂ちゃんはーアイドルだからー提督と川内(リンちゃんver)ちゃんの尾行してたんだよー☆

川内ちゃんはーアイドルじゃないからー不良に絡まれチャッたんだよー☆

それを提督がー助けに入ってー今回は煙乱闘編なんだよー☆

そこんとこ夜☆露☆死☆苦‼︎

 

 

 

 

 

 

てなわけで、それから数十秒後。不良は全員壁に上半身丸々めり込んでいた。死んでないことをただただ祈りながら俺は川内に向き直る。

 

「大丈夫か?」

 

「うん…少し怖かった」

 

「まぁあれだ。いつでも助けてやるから」

 

「うん。でさ提督、私のこと…」

 

「なんか飲むか?」

 

「うん。サイダーで。でさ提督、私のこと尾けて…」

 

「どのサイダーだ?三ツ矢サイダーか?天然水サイダーか?」

 

「三ツ矢サイダーよ。でさ提督、私のこ…」

 

「三ツ矢サイダーの『ミツ』はどの漢字だ?」

 

「数字の三よ。でさ提督、わた…」

 

「サイダーさんなにか飲むか?」

 

「誰がサイダーさんよ誰が!てか私に喋らせなさいよ!」

 

「OK、サイダーな。さぁてコンビニ行くぞオーライ!」

 

「私のこと尾けてたよね?」

 

「………」

 

「こんなものまで付けて」

 

ひょいっと猫耳を俺の前に突き出す川内。見れば顔を真っ赤にしているし、相当お怒りみたいだな…。怖くてなにも言えない。そして、俺の前に歩いてくる。手を俺の頬の横まで持って来た。殴られる、と思ったら違った。そのまま抱き付いてくる。

 

「へ?」

 

「でも、助けてくれたから、許したげる…」

 

「………すまん」

 

「許してあげるってば」

 

相当怖かったのか、まだ震えていた。そんな川内をどうすればいいのか分からず、ただぼんやりしていた。

 

「でも…、」

 

と、また川内が声を出す。なんだ?

 

「誤魔化そうとしたことに関しては怒ってるし許してないから」

 

「へ?」

 

目だけで横を見ると、さっきの怖がっていた顔から悪戯っ子みたいな顔になっていた。

 

「と、いうわけで提督、また二人でデートしようね」

 

「え?」

 

「返事」

 

「は、はい…」

 

なんだこれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付けば七月になっていた。すっかり治った私室で目を覚まし、顔を洗いながら寝癖を直す。で、パジャマのまま、執務室へ。すると、なんか騒がしい声。

 

「だから、これから提督は仕事なんだってば〜」

 

「いいだろ!カブトムシが欲しいんだ俺は!」

 

「そーだそーだ!」

 

なに、何事?と思って声を掛ける。うるせぇのは瑞鳳、木曾、天龍の三人。

 

「なにしてんだ朝っぱらから」

 

「あ、提督助けてよ〜この二人しつこくてさぁ…」

 

「お前が固すぎるんだろ!」

 

「や、だから何の騒ぎだよ。お祭り騒ぎ?」

 

話を要約すると、摩耶に自慢されたからカブトムシ取りに行きたいそうだ。

 

「頼む!」

 

「ダメ!」

 

と、さっきから天龍と瑞鳳が五月蝿い。ん?これチャンスじゃね?

 

「いいよ。行こう」

 

「えっ!?」

 

「「っしゃあぁぁぁぁっっ‼︎‼︎」」

 

「と、いうわけで明日くらいまで帰らんから。じゃあな瑞鳳」

 

「ち、ちょっとー!仕事しようよー!」

 

言われながらも俺達は逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くの臓器林。怖いわ!雑木林な。

 

「で、結局瑞鳳も来たのね」

 

「し、仕方ないもん!……私だって、てーとくといたいしぃ…」

 

最後の方はよく聞こえなかったが、とりあえず四人。

 

「よっしゃあー!探すぜぇ!」

 

「天龍はあっち頼むな!」

 

「おいコラバカども。カブトムシは昼は出てこねぇよ」

 

「「は?」」

 

「カブトムシが動き回るのは夜中だ。だから昼間は餌を仕掛ける。常套手段だろ」

 

詳しい手順が他にもあるらしいが、まぁ俺はそこまで詳しくないから知らん。

 

「それも木の選択も重要だ。カブトムシはクヌギとコナラの木じゃないと出ないし」

 

「なるほど…」

 

「なんか、面倒になってきた」

 

「ま、そんなもんだろ。とりあえず昆虫ゼリー買いに行くよ」

 

まぁそんな感じで準備して、いよいよ夜中である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜中。天龍を起こすのに時間が掛かったがとにかくこれから捕獲である。今更だが俺は虫が好きだ。それは蜘蛛や蛞蝓も例外じゃない。てか生き物全般好きだ。

 

「で、瑞鳳も来たと」

 

「当たり前でしょ!?い、一応秘書艦なんだから!」

 

「はいはい…」

 

「でもよ提督、罠結構仕掛けただろ?四人だけで回り切るのか?」

 

「大丈夫、夜の最強の助っ人呼んだから」

 

「「「へ?」」」

 

すると、タッタッタッとどこぞの猿の手の女子高生の足音みたいな足音がした。

 

「夜戦だぁぁーっ!」

 

「川内だ」

 

染めた髪の毛もほとんど落ちている川内。全員微妙な顔をしていた。

 

「てなわけで、行くぞお前ら」

 

夜の森へ出発である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森に到着。が、なぜか全員俺の後ろに。

 

「……なにしてんの」

 

『こ、怖い……』

 

は?

 

「や、お前らいつも深海棲艦と…」

 

「お、お化けに砲撃は効かないだろ!」

 

「何か出たらどうすんだよ!」

 

「や、夜戦でも…お化けは、ちょっと…」

 

「わ、私も無理、かな…」

 

なんだこいつら。お化けなんていないだろ。俺はお化け屋敷や人工物の建物は無理だが自然の闇は怖くない。だってなんも出ないもん。あと心の闇、これ無理。

 

「いいから行くぞ。カブトムシいらないのかよ」

 

「いるぅ…」

 

仕方ねぇな……てなわけで俺はiPhoneのライトを付ける。

 

「行くぞ」

 

俺が歩くと後ろからついて来た。さてこの辺だろ。確かスイッチスイッチっと…あった。拾い上げてスイッチオンー☆すると、テントを映し出すように明かりが付く。

 

「おぉ!提督いつの間にこんなもの…」

 

「昼間だよ。夜だと見えないし。仕掛けた木もこの辺りだからさっさと探すぞ」

 

「「「おー!」」」

 

で、捜索開始。天龍、木曾、瑞鳳が仕掛けた木を見回る中、川内は俺の横にいる。

 

「ところで提督、夜戦じゃないの?てかなに探してんの?」

 

心なしか怒ってるように見えるなー…まぁいいか。

 

「カブトムシ取りぃ」

 

「」

 

やっべ…肩震えてるわ…このまま「俺は怒ったぞぉぉっ!フリーザァァァッッ‼︎‼︎」とかなったらやだなー。と、おもったら違った。

 

「な、なんで言ってくれなかったの!?わ、私虫は無理なの早く帰ろ!」

 

「いやいやいや、俺は虫好きだし」

 

「や、やだよー!帰らせてよー!」

 

面倒くせー…完全に人選ミスだわ。仕方ねぇな…小六の時に身につけて周りにドン引きされたスキルを使うか。

 

「おら、いいから行くぞ。一緒にいてやるから」

 

言いながら手を伸ばす。一緒に+手を伸ばす=手を繋いでてやる、の効果により安心させる。無論、手を繋いでてやるとは言ってない。立たせてあげたらこっちから手を離す。

 

「じゃ、行くぞ」

 

で、しばらく探索。

 

「うおおぉぉぉっ!すげぇ!カブトムシにクワガタまでいやがるぜ!」

 

天龍が五月蝿い。木曾もクワガタを手に乗せながら喧しそうな顔で天龍。見ると、川内もコクワガタならなんとか触れるようになったようで、ツンツンしてからえへへと微笑んでいた。

 

「で、瑞鳳は?」

 

「「「へ?」」」

 

全員ハモる。うん、何度人数確認しても木曾に天龍、川内しかいない。

 

「探してくるわ…お前ら一時間以内に俺が帰って来なかったら帰っていいから」

 

「えっ!?でもよ提督!みんなで探した方が…」

 

「お前らまで迷子になる気?いいから行ってくるよ。保護者監督を怠った俺の責任だ」

 

三人は納得しないながらも頷いた。さて、探すか。

 

 

 

 

提督が出発した数秒後、泣きながら瑞鳳が帰ってきて、三人はムンクみたいな顔になった。

 

 

 

 

 


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