「すごいじゃん提督!上手いねUFOキャッチャー!」
「一回ミスったけどな。それに出来ない時は出来ないよ。フィギュアとか2000円は使わないと無理だし」
「え、フィギュアとか取るの…?」
「俺の部屋にベジータとバナージのフィギュアあんだろ。全部吹き飛んだけど」
「な、なんだ…良かった…」
「美少女フィギュアだと思ったのか……?」
「し、しょーがないじゃん!フィギュアって言ったら…」
「まぁリンちゃんとアスナのフィギュアあるけど」
「うわあ……」
「おい待てリンちゃんはともかくアスナは不可抗力だ。なんでもいいからSAOのなにかが欲しくて4回やったらたまたまS賞が…それに俺はアスナそこまで好きじゃないし…」
「で、でもそれなら売っちゃえばいいじゃん」
「リバースカードオープン。勿体無い病」
「あー……ち、ちなみリンって子はどうなの?」
「正義」
「うわっ……」
あぁ…やっぱり引かれるよね…死んじゃおっかなぁ……。
「ち、ちなみにさ……そのリンちゃんって子は、どんな子なの?」
「え?あー…見るなら送っとくけど」
「う、うん…」
で、送る。そして、しばらくその写真を眺めた後、
「基本的には黄色いのね…夕張なら衣装も持ってるかな…」
川内の声はボソボソ言っててよく聞こえない。ハッキリしゃべれハッキリ。
「ご、ごめん提督!この後用事あるんだ!また後で部屋でね!」
「は?部屋?」
「え?今日の秘書艦は私でしょ?だから今日は提督私達の部屋で暮らすのよ?」
「あーそーいうノリな。分かった、後でね」
で、別れた。てかあいつ、用事あんのに俺と遊んでたのか?
鎮守府。とりあえず人に会わないように川内型の部屋へ。中には那珂と神通がいた。
「あ、提督!那珂ちゃんスマーイル☆」
「スマーイル★」
「川内ちゃんは?」
「用事があるってどっか行った。で、今日は俺ここにいればいんだろ?」
「うん!じゃ、みんなで花札やろう!」
「わ、私もですか!?」
神通が困ってたが花札開始。で、神通が一番強いと。ドベは那珂。
「もおっ!なんで勝てないのぉ!?」
表情豊か過ぎなんだよ。神通を見ろ。いつもニコニコしててあれほど怖いポーカーフェイス中々ないぞ。
「もういやっ!那珂ちゃん1抜けぴー」
「花札は三人用だろ。抜けるとかねぇから」
「もうすぐ川内ちゃん帰ってくるでしょ。それでいいじゃない」
「わーったよ…」
すると、ガチャッとドアが開かれた。
「て、提督。いる、かな…」
入って来たのはくノ一だと思ったが違った。川内(ver.リンちゃん)だった。髪型まで帰るつもりなかったのか、普段通りだが金髪、服装は完全にリンちゃんだった。全員、それも那珂ちゃんですら唖然としている。
「り、リン○ゃんなう…」
不意にそんな呟きが漏れた。が、すぐに那珂ちゃんが通常運転に戻る。
「きゃあぁぁぁっ!川内ちゃん可愛い!ね、神通ちゃん!」
「え、えぇ…とても可愛らしいと思います…」
「そ、そう…て、ていとくはどう?」
えぇ…俺に振るか普通?だが聞かれちまった以上は答えてやらんと…。
「えーっと、まぁその…なんだ?似合ってます…」
「あ、ありがと…えへへ…」
や、ヤバイ……リンちゃんをぎゅーぎゅーしたいな じたじたするのを押さえ込んでぎゅーってしたいな
腕噛まれるのもアリだよ 噛んでいいよ リンちゃん
リンちゃんと二人で買い物に行くことになって、
なんでもない顔で「デートだねー」って言ってめちゃくちゃに意識させたい。
リンちゃんのリボ……っとあぶねぇ!これはリンちゃんではなく川内…これはリンちゃんではなく川内……。自分にそう言い聞かせないと色々と危なかった。
「リン……川内。ど、どしたのそれ?」
「て、てーとくがリンちゃん好きって、言うから…その、髪染めて、ゆ、夕張に洋服借りて…その…」
おい、その上目遣いでチラチラ見んのやめろ。ちやほやされたいのか。あとで夕張にはたっぷりお小遣いあげとな。
「悪い、川内。ちょっと出てくる。那珂と神通借りるわ」
「へ?」
てなわけで、少し食堂へ。
一時間後、夕張の所に寄ってから再び川内の部屋へ。
「もぉ〜提督、なんだったの今の?」
「まぁいいだろ。昼飯奢ってやったんだし」
中に入ると、予想通り川内は寝ていた。まぁ夜戦バカだし、そりゃそうな。で、さっき夕張に借りた猫耳を頭にそっと装着。写真を撮る。で、起こした。
「川内、起きろー」
「ん……あれ?てーとく?」
「悪いんだけどさ、お使い行って来てくんない?」
「えー…なんでぇ?」
「ちょっと鳳翔さんが食材切らしたからって。頼むよ」
「仕方ないなぁ…」
お金を渡すと、そのままふらふらした足取りで行ってしまった。リン○ゃんなう!
「なにやってんの提督…」
後ろからジト目で二人に睨まれる。
「ひ、酷いですよ…せ、川内姉さんが…」
「まぁ待て、特に那珂。お前、いつも川内に夜戦に付き合わされてるよな?」
「うん」
「その川内が帰ってくる頃にはおそらく顔を真っ赤にしてるだろ?いつも自分の嫌なことさせてる奴の恥ずかしがってる顔、見るだけで痛快じゃないか?」
すると、顔をパアッと明るくする那珂ちゃん。こいつも大概いい性格してるよな。神通は流れでついてくるだろ。てなわけで川内を尾行。
なーんか、みんな私(川内)を見てるような…自意識過剰なのかな…。しかし提督もヒドイなぁ…寝てたのにお使いだなんてさぁ…勘弁してよまったく…。えーっと、あそこのスーパーか。にしてもやっぱりジロジロ見られてるよねぇ…。まぁ帰ってから鏡見ればいっか。
で、さっさと済ませて帰宅中。店員さんに「可愛らしいですね」って言われたけどどういう意味なんだろ…。
帰宅してる川内を後ろから見て俺は笑を堪えるのが辛かった。
「あい、つ…まだ気付いてねぇ…」
「な、那珂ちゃんも、笑い堪えるの、苦しい……」
「ふ、二人とも笑っちゃ可哀想だよ…」
神通が止めようとするが無理だろ。これを笑うなって言う方が。
「さてそろそろ先回りして帰らないとな…」
「そうだねー。じゃ、那珂ちゃんと神通ちゃんは合流してくるねー」
もし、川内が最後まで気付かなかった時のために、二人には帰り道中に川内に猫耳のことを教えてやるよう指示している。2ndプランって奴だ。俺が一足先に帰ろうとした時だ。「待って下さい!」と、神通に首根っこを後ろから掴まれた。
「な、なに…」
「あ、あれ見てください…」
神通の指差す先には川内、そして不良達だった。あらら…。
「ねぇ君ぃ、可愛いじゃん。なんのコスプレ?」
「はぁ?コスプ…」
そこで顔が赤くなる川内。どうやら自分がどんな格好してたかも忘れていたようだ。
「わ、忘れてた…」
「しかも頭、猫耳とか恥ずかしくないの?」
「へ?」
続いて頭もチェック。その瞬間、さらに顔を赤くして猫耳を握り締めた。
「あんのクソ提督ぅ…っ!」
「ほら、俺達と遊ぼうぜ。もっと可愛い服とか買ってやるからさぁ」
「結構です。私、帰ってやることあるし」
やることって俺をボコすことじゃないよな…。
「ほらほらそんなこと言わずにさぁ」
「しつこい!」
「あぁっ!?てめぇだれに口聞いてんだコラァッ!」
その一言にビクッとする川内。蒼龍の時もそうだけど深海棲艦怖くなくてなんで不良は怖がるんだよ。
「ちょーっと無理矢理にでもついて来てもらうぜ」
「ちょっと離してよ!」
「うるせーバーカ」
そんな様子を見て那珂ちゃんが声を上げる。
「て、提督!川内ちゃんが…!」
「や、わかってるんだけどさ、今出てったら後で俺が川内にボコられるんじゃ…」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ!那珂ちゃんスマーイル☆」
「スマーイル★や、でも…」
そこで神通が俺の胸ぐらを掴んだ。そして、すっごく怖い笑顔でこう言う。
「誰のせいでこうなったと思ってるんですか?」
「い、今すぐ行きます…」
加賀さんより怖いんだけど…こいつ本当に軽巡かよ。とりあえず、川内の元へ。
「はーいそこまでー」
「あ?なんだてめ…なに泣いてんの?」
「この世で一番怖いものを見ただけだよ…」
思わず不良に心配されてしまった。
「て、ていとく!」
川内は安心したような声を出すと、たたたっと俺の後ろに隠れるように回る。おい、涙目やめろ。可愛い。
「えーっと、一応こいつ俺の連れだからさ。離してもらえる?」
「あぁ!?涙目ヒーローに言われたくねんだよ!」
「泣いてねーよ!目から汗が出てるだけだよ!」
「モロ泣いてんじゃねぇか!」
流せぇ!お前だって神通に怒られたら泣くぞ!
「とにかくもう行くから」
「なめてんじゃねぇぞコラァッ!」
てなわけで、俺と不良三人のバトルロワイアル開催!