もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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ZZ

 

 

 

 

 

六月も後半。梅雨明けのとある日。すでにガンダムの隣にザクが完成し、あとザク二機欲しいと言って殴られそうになった後、

 

「呼んだかな提督?」

 

「私達になんか用?」

 

俺はレーベとマックスを執務室に呼び出した。

 

「お前らさ、肩車してみてくんない?」

 

「「は?」」

 

「この通り頭を下げるから」

 

言いながら1mmも下げずにお願いした。すると二人は一応頷いて肩車する。

 

「な、ん、で…私が下なのよ…」

 

「わー!高ーい!」

 

「この…人の気も知らず…で、これがなんだっての?」

 

「レーべ、これ頭に乗せて」

 

主砲を渡すと、これまた素直に受け取り、頭の上に乗せた。

 

「提督?」

 

「だからこれがなんだってのよ!」

 

「名付けてZZガンダム!」

 

「「ハイ・メガ・キャノン」」

 

執務室ごと吹っ飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、仕事が出来ないと」

 

俺とZZは榛名の前で正座していた。

 

「まずあなた達!どうして扶桑さんの改二の主砲をぶっ放したんですか!限度を考えてください!」

 

「ごめんなさい…」

 

「ごめん…」

 

「それから提督!からかうのやめなさい!」

 

「あーいとぅいまてぇーん」

 

「勝手は、榛名が…」

 

「すいませんした…」

 

「ていうか、執務室が吹き飛ぶほどの砲撃喰らっても相変わらず無傷なんですね…」

 

ふぅ……とため息をつく榛名。そりゃそうだよね。

 

「でさ、榛名。俺、これからどこで仕事すればいいかな…」

 

「あー確かに…ていうか書類は生きてるんですか?」

 

「あー全部燃えてるかも…」

 

合理的に仕事サボれるね!その分失ったものが多いけど。ぶっちゃけPSPとiPhone以外滅亡したし。まぁいいや、あとで買おう。

 

「どこで寝ればいいんだ…」

 

その言葉にその場にいた全艦娘がピクッと肩を震わせる。え?なに?と、思ったら榛名に追い出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

跡形もなくなった執務室で待つことしばし、誰かの足音がした。

 

「しれーかーん!今日は暁の部屋で寝るのよー!」

 

「やったー!雷のおかげなんだから!」

 

「はわわわっ!ま、待ってください二人とも!」

 

「すぱしーば」

 

え?なに?どゆこと?

 

「ほらほら、ぼさっとしてないで行くわよ!」

 

誰もなにも説明してくれないまま、暁型の部屋に連行。中は意外と片付いていた。

 

「お、お邪魔します?」

 

「上がって上がって!雷、お茶!」

 

「はーい!」

 

「司令官、ここへどうぞなのです」

 

「え?あ、うんどうも」

 

「司令官、膝を失礼する」

 

「あー!だから響はなんでいつも膝の上にいるのよ!」

 

なんか騒がしい…で、なんでだから俺はここに呼ばれたんだよ。でも、暁型に説明出来るとは思えないしなぁ…。電話するかぁ…。LINE起動。

 

『もしもし?提督ですか?』

 

「榛名?なにこれ、なんでここにいんの俺」

 

『もしかして暁ちゃん達の部屋ですか?実は提督が執務室では寝られないと判断したので艦娘達の部屋で一緒に寝泊まりすることになったんですけど…』

 

「あのさ、俺それ初耳なんだけど」

 

『今日は暁ちゃん達の部屋になったんです』

 

「おい、これ毎回変わんのか」

 

『そうですけど?』

 

「……そう。懇切丁寧な説明をどうもありがとう」

 

『では、失礼しますね』

 

なんでこうなるの……や、マジで。

 

「ほら司令官!お茶が入ったわよ!」

 

「あ、ども」

 

「司令官、頭を撫でてもらえるかい?」

 

「あ、はい」

 

「ん…これは、なかなか…いいもの、だ……」

 

「響ちゃんばかりズルいのです!い、電も…」

 

「へいへい」

 

「しれーかん!私もー!」

 

「ち、ちょっと!あ、暁も…いや、暁はレディーよ!必要ないわ!」

 

「へぇーそう」

 

「な、なによそれー!」

 

忙しい…幼稚園かここは。

 

「とにかく、晩飯にしよう。腹減ったし眠い」

 

『はぁーい!』

 

だから幼稚園か。

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうして外に出たの?」

 

「決まってじゃん。食べ行くんだよ外に。食堂は空気が重い」

 

「えー!そんなことないのです!」

 

「辛い無理死ぬ」

 

「司令官、肩車を…」

 

「待ちなさい響!そうはさせないわよ!」

 

「そうよ!ジャンケンで決めましょう!」

 

俺、OKなんて言ってないんですけどね…最近は駆逐艦にアトラクションかサンドバックと間違えられてる気がする。

 

「じゃーん!私の勝ちよ!司令官、肩車!」

 

へいへい…もはや言葉にするのも面倒臭い。てなわけで、肩車してサイゼ。明日筋肉痛ですねこれ…。

 

「私お子様ランチー!」

 

「電もそれがいいのです!」

 

「これは中々いいものだ」

 

お前ら即決かよ…まぁ俺も決まってるけどよ。あ、ミラノ風ドリアじゃないからね?

 

「マダラは?」

 

「古城は?」

 

「間違えた。暁は?」

 

っぶねぇ…割と素だったとは言えねぇ…。

 

「で、どうすんの?お子様ランチ?」

 

今思ったけどランチって昼飯だよな。なんでディナーでも食えんの?

 

「あ、暁がそんな幼稚なもの食べるわけないでしょ!」

 

とか言いながらチラッチラッとお子様ランチをチラ見。

 

「じゃ、なに?10秒で決めて。間に合わなかったらカタツムリな」

 

「ちょっ…10秒!?って、カタツムリって…」

 

「10、9.、8……」

 

「わ、分かったわよ!お子様ランチ!これでいいの!?」

 

「はい決定ー」

 

別に暁がなに頼んでも良かったが、後でオモチャを持った三人を羨ましそうに眺める暁は多分面倒臭くて、結局途中で安いの買わされることになりそう。それは嫌だ。

その数分後、料理到着。店員さん達が影で「誘拐?」とか言ってた。例え陸上に深海棲艦が来てもこの店だけは守らないと決めた。

ちなみに俺が頼んだのは若鶏のグリルとピザ。ピザは全員食えるように器用に10等分した。おかげで一つ一つがかなり細い。

 

「美味しいのです!」

 

「あ、暁。人参だけ除けてる!」

 

「ダメだよ暁。ちゃんと食べないとレディじゃないよ」

 

「そうなのです!」

 

「そういう電だって茄子除けてるじゃない!」

 

なんでお子様ランチに茄子が…まぁいいや。

 

「そんなんじゃダメだぞ暁、こういう時は誰かがドリンクバーを取りに行った時にそっと周りと会話しながら注意を引き付けて手元だけでドリンクバー取りに行ったやつの皿に人参を乗せるんだ」

 

「え?え?」

 

あちゃー…子供には伝わらないかー…まぁいいよね。そのまま食べ終わって帰宅。その後、風呂(一人で)入って、マクラ投げやらされて榛名に怒られて、誰が司令官の隣で寝るだのなんだのって争いが起きた挙句、榛名にまた怒られて廊下で寝かされた。

 

 

 


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