もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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梅雨

梅雨。雨の音が五月蝿くて寝れないヲ級を寝かし付けたら俺が寝れなくなってしまった。なんとか替えのiPhoneを買い、パズドラのデータ吹き飛んで最初から。ただいま、次のゴッドフェスのために石回収中です。

 

「あ、ヴァンパイア落ちた」

 

不意にそんな呟きが漏れた。それと共にヴヴッと震えるiPhone。んだよ、今度は何バーガーが安くなんの?って思ったらLINEだった。

 

『かがたんだお☆元気かなぁ〜?かがっちゃんは元気でぇ〜す♪眠れなくて困ってる匂いがするにゃん(≧∇≦)暇潰しの相手になってあげてもいいゾ☆』

 

……誰?や、本当に誰?

 

『ふぁっ』

 

『やばっ』

 

『LINEでっ』

 

『どうかしたんですか?』

 

『忘れなさい』

 

『やっでもっ』

 

『忘れなさい』

 

こ、怖い!なんでこんなことに…てかあの人他の人とのLINEだとこんなテンションなのか…?もしかしてTwitterだと…そう思いTwitterで「一航戦」で探して見た。すると、ユーザー名が『誇り高き一航戦の青い英雄』とある。

 

『今日カステラ食べた(*^^*)ギザうますwww』

 

『てーとくに褒められちゃったお♪今日はいいことある気がする(^O^)』

 

「誰……?」

 

今度は思わず口に出ていた。痛ぇ…キャラ作りどころかキャラ転成してやがる…。Twitterだとこんなんなのか…。

てか、ヤバイ…こんなの見てしまったとバレたら今度こそ殺される…それどころか一生奴隷にされそ…、

 

「見ましたね?」

 

「!? ぎゃ…」

 

悲鳴を上げかけた俺の口を塞ぐ加賀さん。そして、殺意の波動を放った目で俺を見下ろす。

 

「静かに。ヲ級ちゃんが起きちゃうでしょ?」

 

言われてこくこく頷く俺。ヤベェ…怖いなんてレベルじゃない…うっかり話せば、殺される…。ていうか、そもそもLINEとTwitterをどう間違えたんだ…。

 

「正直に答えなさい。見た?」

 

また頷く俺。ヤバイ…狩られる、のか?と、思ったら加賀さんの表情は弱々しい。そして、涙腺が肥大化して来た。

 

「ぐす…」

 

「へ?」

 

「えぐ…」

 

「ちょっ、加賀さん!?」

 

「見ら、れたぁ…」

 

そのまま涙を流す加賀さん。面倒だ…とりあえず元気付けてやらんと…。

 

「だ、大丈夫ですよ!誰にも言いませんから!」

 

「……ほんとに?」

 

「あ、当たり前でしょ!ほら泣かないで!」

 

その辺にあったハンカチを渡すと、涙を拭く加賀さん。責めてキャラ変えるならさ、ユーザー名考えようぜ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、昨日のことは悪夢だと信じながら目を覚まし、Twitterを確認したが、悪夢じゃなかった。辛い現実だった。辛過ぎる…なんて思いながら布団から出て朝飯用のカップ麺を取り出…切らしてた…。その時だった。

 

「ぴゃあぁぁー!」

 

「鳥か?今日の晩飯にするか」

 

「ち、違うよう司令!酒匂だよ!」

 

なんだ、てっきり餌が来たのかと思った。

 

「今日の秘書艦は酒匂です!司令、よろしくね!」

 

「分かった。今日一日おとなしくしててくれ。あ、やっぱヲ級の相手よろしく」

 

「えー!司令と仕事したいよぉー!」

 

「バッカお前、仕事したいなんて間違っても言っちゃダメだぞ。働きたくないのに働いてるやつがこの世にゃ大半なんだから」

 

「そーなの!?」

 

「つまり、働かずに金儲けする奴が勝ち組だ」

 

「おー!なんかカッコイイ!」

 

「そうだろ!はっはっはっ!」

 

「なに嘘教えてんですか」

 

サクッと刺さりそうなくらいとんがった声で矢矧に怒られた。

 

「いつの間に…」

 

「酒匂が心配でついて来たんです…そしたら心配すべきは提督の方でしたか…」

 

余計なお世話だ。

 

「では、ヲ級ちゃんは私が預かりますから、きちんと二人で仕事してくださいね」

 

「へぇへぇ」

 

「では、失礼しました」

 

矢矧はヲ級を抱っこすると出て行ってしまった。

 

「で、司令!あたしはなにをすればいいの?」

 

「え?あー…じゃあとりあえず飯食いに行くからついて来たければついて来れば?」

 

「ぴゃ?しょくどーじゃないの?」

 

「朝からあんなトラウマ製造地みたいなとこ行きたくねぇよ」

 

「とらうま?この鎮守府に虎と馬がいるの?」

 

「クグれ。とにかく飯だ」

 

それだけ言うと財布を持って廊下へ。その後をついて来る酒匂。が、途中で加賀さんとすれ違った。お互い顔を合わせること数秒、

 

「まぁ、その…気にしないで」

 

「頭にきました」

 

「ごめんなさい」

 

「?」

 

酒匂はよくわからんって顔してるが、知らない方が良いこともあるんだよ…。

で、玄関まで行くと雨の音。面倒臭ぇー…免停喰らって車無いし…仕方ねぇな…。

 

「コンビニでカップ麺かな…」

 

そう呟くと傘を持って出発。と、思ったら酒匂もなぜか同じ傘に入る。

 

「……なにしてんの」

 

「えー?だってこうしてると恋人さんみたいじゃん」

 

「いやそう見えなくていいよ」

 

「司令は酒匂と恋人は嫌?」

 

「ん?どっちでもいいかな」

 

「じゃあいいじゃん!ぴゃん!」

 

「分かったよ…」

 

そのまま出発。さっきからぎゅーっと引っ付いてくる。離れろって言っても「濡れちゃうよ!」の常套句が返ってくる。阿賀野型で唯一慎ましくも柔らかいアレが腕に当たってるんですが…。

 

「あー!カエルー!」

 

「は?」

 

トテテとカエルのいる葉へ。

 

「ちょっ!濡れる!濡れるっつーの!」

 

慌てて傘を持って追う。

 

「可愛いーぴゃー」

 

「いや可愛いじゃなくて…お前少しは濡れるってことを…」

 

「ぴゃー!カタツムリー!」

 

「ぴゃぁーっ!」

 

なんとかコンビニに到達。

 

「ったくお前はこのヤロー…」

 

「で、司令はなに買うの?」

 

「カップ麺だ。あとはサイダーとMAXコーヒーとポテチ。なんか酒匂も欲しいものがあるなら買ってやるよ」

 

「ホント!?やったぁ!司令大好き!」

 

で、二人分の飯を買って帰宅。帰りは帰りで雨の中酒匂が暴れるもんだから大変だった。

 

「ぴゃあ〜寒いぃ〜」

 

「そりゃそうだろ…なんで生き物見つける度に旅に出掛けちゃうの…」

 

「そだ!司令、一緒にお風呂入ろ?」

 

「え?あー…いいけどアレな。俺の部屋の方な。じゃないとほら、万が一ってこともあるじゃん?」

 

「万が一?」

 

「あーほら、他の人に見られたら俺が立場的にアレだからさ」

 

「ふーん。ぴゃん!」

 

「酒匂語は通じねぇから。それ肯定?否定?」

 

「OKってこと!」

 

「じゃ、自分の洗面用具持っといで」

 

「ぴゃん!」

 

だからそれどっちだっつの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭を洗って体を洗って顔を洗ってまた頭を洗ってる時、うしろからドアが開く。

 

「おー来たな酒…」

 

「ぴゃん!」

 

後ろから抱き着いてくる。あれれー?さっきより柔らかいぞー?

 

「さ、酒匂…?」

 

「ぴゃん?」

 

「とりあえず離れてくれる?」

 

「はーい♪」

 

ふぅ…あぶねぇ。いくら三大欲求に性欲がガンダムに変わってるとはいえ、多少は男としてある。スプレーガンがコロニーレーザーになるとこだった。

 

「司令!背中洗ってー」

 

「え?う、うんちょっと待ってシャンプー流すから」

 

シャアァァァと頭からシャワーをぶち流す。

やっべぇぇぇぇっっ‼︎‼︎断崖絶壁と侮ってた!まさか、着痩せするタイプだったとは!なんでだよ!阿賀野型って本当に軽巡!?球磨型の倍はあるぞ!とにかく息を落ち着けないと…、

1、2の3で(レッツゴー!)

ワンツースリーで(レッツゴー!)

アンドゥトロワ(レッツゴー!)

イーアルサンで(レッツゴー!)

アインスツヴァイドライ(レッツゴー!)

もう思いつかねぇぇぇっっ‼︎‼︎そろそろ行けるかぁっ!落ち着けるわけねぇだろ!

 

「司令?」

 

「え!?な、なに!?落ち着いてますよ!?」

 

「や、なんも言ってないよ?それより早く洗ってよ」

 

「や、悪い」

 

仕方ないので背中を洗う。ふぅ…まだ仕事も始めてないのにすっごく疲れた…持つのか俺の精神…。

 

 

 


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