もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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番外編2-3

 

 

 

 

怖ぇーよ。いやマジ怖ぇ。俺は職員室に忘れ物してしまった。なんで教師にもなってこんなことしなきゃいけねんだよ…。とりあえずさっさと取りに行かねぇとな。魔王城並に硬く閉ざされた門に手を掛ける。ひんやりと冷たく、錆びてるのかザラザラした感覚。本当に魔王城かこれ。

と、思ったら耳元にふぅ〜っと息が掛かる。

 

「なぁにやってるの?」

 

「くぁwせでftgyふじこッ!」

 

振り返ると、鈴谷。その後ろに最上、三隈、熊野と揃ってる。

 

「お前ら…」

 

「なに今の驚き方!超うけんだけど!」

 

「黙れ。本編で解体されてーのか」

 

「ちょっ…そういうこと言うなー!」

 

ぽかぽか叩いてくる鈴谷。それを三隈が後ろから引っ張り、最上が口を開いた。

 

「それより提と…センセはこんな時間にどうしたの?」

 

「最上、間違えていいことと悪いことがあるからな」

 

それをまず指摘して返事した。

 

「忘れ物取りにきたんだよ」

 

「忘れ物、ですか?」

 

熊野がそう返す。

 

「そだよ」

 

「ちなみに、なにを忘れたので?」

 

「今日買ったONE PIECE75巻だよ」

 

「あー…あの授業中に抜けて本屋で買って来てた奴ですわね…」

 

熊野が呆れたように言う。鈴谷、熊野が高2で最上と三隈は一つ上だっけ?まぁなんでもいいや。

 

「その分読ませてやったろ。クラス全員に。そのおかげで俺だけ読み損ねたんだぞ。で、それを取りにきただけ」

 

「相変わらずな先生ですわね…」

 

「でもそれなら僕達と同じだね。鈴谷が英語の宿題のプリント忘れちゃったんだけど、一人じゃ怖いって…」

 

「ちょっ!最上そういうこと言わないでよー!」

 

「なにお前、こんなんが怖いの?本当はビビりなの?」

 

「さっきのでビビってた先生には言われたくないー!」

 

「はっ!?び、ビビってねぇし!」

 

「日本語になってない叫び方してた癖に」

 

「それはあれだよ!言葉の綾だよ!」

 

「意味分かって言ってないでしょそれ!」

 

なんて言い合ってる俺達の傍で

 

「なんか、似た者同士なのかな?」

 

「それはありませんわ。ただの同族嫌悪だと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キュッキュッと廊下を歩く音だけが響く。鈴谷は熊野の背中に張り付いたまま動かない。

 

「ちょっと鈴谷、歩き憎いですわ」

 

「い、いーじゃーん…」

 

「情けな(小声)」

 

「は?今なんて言った先生?」

 

「なんも言ってねーよ」

 

「ふぅん、じゃあ先生は怖くないんだ?」

 

「なんも言ってねーし」

 

「や、それさっき聞いた」

 

「こっちはこっちでビビりまくってますわね」

 

「だからビビってねーよ」

 

「ふーん、じゃあこの学校にある七不思議の話、してもいい?」

 

鈴谷の声に、ついピクッと反応してしまった。

 

「こら鈴谷、あまりセンセを虐めちゃいけないよ?」

 

「いーじゃん。怖くないって言ってるんだし。ねぇ先生?」

 

「あ?だからなんも言ってねぇって」

 

「や、分かったから」

 

で、勝手に語り出す鈴谷。早い話が美術室だの音楽室だのそういうところになんか出るよって噂だ。

 

「はっ、下らないですわね。そんな噂におどらさらてる鈴谷も」

 

「み、三隈ー!だっておもしろいじゃーん!」

 

「でもそんなに怖くはないですわね、せんせ…」

 

「……なんで最上に抱き着いてるの?」

 

「は?だ、抱き着いてねぇよ!」

 

「あの…センセ…ちょっと恥ずかしい…」

 

「な、なんも言ってねぇよ!」

 

「いつの話!?」

 

「と、とにかく…手繋いでてあげるから離してくれる?」

 

「……うぃっす」

 

どうしよ…とんでもねぇ話聞いちまった…。俺、死んじゃうのかな…ていうか死んじまおうかな…。

 

続くっぽい

 

 


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