もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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加賀の怒り

 

 

「で、司令官!私はなにすればいいの!?」

 

アイス買うのから戻ってきて元気良く質問する雷。ハッキリ言えば、なにもすることがないのだが、まぁなにかしら仕事を与えないと面倒だ。

 

「俺が書いた書類にハンコ押してくれ。押したらその辺に重ねといて」

 

「了解したわ!」

 

で、なぜか俺の膝の上に座る雷。あの、なにしてんの?

 

「あの、ピカチュウ?」

 

「ピカチュウじゃないわ!」

 

「じゃあライボルト。なんで膝の上に座ってんだよ」

 

仕事しずらいんだが…。

 

「いいじゃない。他に椅子ないんだもん」

 

「や、ソファーでやるとかさ…」

 

「いいの!」

 

まぁいいんですけど…いいんですけども……。加賀さんとかに見られたら憲兵呼ばれそうだな。

まぁそんな感じで仕事を開始して30分。そろそろ演習の時間だったか?

 

「悪いピカチュウ、どいて。演習の時間だ」

 

言うと、割と素直にどいてくれた。放送で榛名、金剛、加賀さん、千歳、島風、北上を呼び出し、ぞろぞろと執務室に入ってくる。

 

「あーえっと、演習なんだけど…いつも通り轟沈しなきゃなにしてもいいから。いってら」

 

それだけ言ってすぐに執務に戻る。そのまま第一艦隊出撃。その様子を眺める俺を雷が怪訝そうな顔で見ている。

 

「指揮、適当過ぎない?」

 

「いいじゃん別に」

 

そのまま、仕事を再開。雷は相変わらず俺の膝に乗っかってる。俺はといえば仕事なんてとっくに飽きてパズドラに夢中だ。だというのに雷は俺が指示したことをちゃんとこなしている。偉いな最近の小学生。

すると、バタンッ!とドアが開いた。

 

「雷ちゃん!お手伝いに来たのです!」

 

「ちゃんとレディとして働いてる?」

 

「響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるよ」

 

不死身の第四小隊ご案内〜。面倒なのが3人も来やがった。

 

「って!なんで司令官の膝に乗ってるのよ!」

 

「えへへ〜いいでしょ〜」

 

「ず、ズルいのです!大体そんなことしたら司令官が仕事出来ないのです!」

 

「そんなことないわよ。さっきからずーっと仕事して…ってなんで携帯いじってるのよ!」

 

「こいつはちょっと照れくさいな」

 

あー…そんなに仕事ねぇよ。とか思ってたら三人が椅子の周りに集まってくる。

 

「そんなのレディらしくないわよ!」

 

「そ、そうなのです!次は電の番なのです!」

 

「司令官、私も膝に乗っていいかい?」

 

なんだよ電の番って、俺はアトラクションかよ。ていうか今まで会話してなかったから分からなかったけど、結構俺慕われてたんだな。だからってこのままじゃ仕事が進まんから甘やかすつもりはない。

 

「ほらどけお前ら。そこの引き出しに入ってるお菓子食ってていいから大人しくしてろ」

 

「了解なのです!」

 

「すぱしーば」

 

「まったく!お菓子なんて子供じゃないんだからぁ♪」

 

そのまま三人はお菓子タイム。

 

「司令官…?」

 

ジト目で睨んで来る雷。

 

「お前も少し休め。適度な休憩も必要だ」

 

「りょーかーい…」

 

で、トテテと3人の待つ方へ向かう雷。よし、これでようやくおサボりタイムに入れる。財布とウォークマンと携帯とその他諸々の入った鞄を持って執務室を出る。フードを目深に被り、鎮守府を出た。なんだかんだで飯も食ってない。ついでに飯でも食うか。

 

 

 

 

 

その5分後の執務室。

 

「提督、演習が終了しまし…」

 

入ってきた加賀が思わず押し黙る。

 

「プリキュア・スパイラル・ハート・スプラッシュ・スター!」

 

「なのです!」

 

「ハラショー。こいつは力を感じる」

 

「きゃはははっ!」

 

第六駆逐艦隊の皆さんがやりたい放題やっていた。お菓子はそこら中に散らばり、カーペットはめくれ返っていて、なにより提督がどこにもいない。プルプルと肩を震わす加賀さん。

 

「oh…これは流石に……」

 

「ま、マズイですよね…」

 

「あちゃー…」

 

「は、はやーい……」

 

「か、加賀っち落ち着いて…」

 

「私は落ち着いてますが?」

 

「ひぃっ!」

 

加賀の目は輪廻眼よりも怖かった。そして、ズカズカとはしゃぐ第六駆逐艦隊の皆様の元へ歩き、とにかく全員の襟を突掴む。

 

「きゃあっ!」

 

「なのです!」

 

「ぽまぎーちぇ」

 

「ちょっと!レディをいきなり後ろから、掴む…なんて……」

 

「あなた達、ここは遊ぶ場所ではないのだけれど…」

 

『ひぃっ!』

 

響以外全員が悲鳴を上げる。

 

「…提督は、どこ?」

 

「………」

 

この後、暁はめちゃくちゃ漏らした。

 

 

 

 

 

ゲーセン。マリオカートなう。俺の持ちキャラはまめっち。や、マジ早いからねこの子。マリオキャラじゃないのにマリカーにいるだけあって早い。たぶん島風より早い。

どんどんCPUを抜かし、あっという間に一位になる。いやぁ、久々にやるとおもしれぇわこれ。結構快感だし。

 

「へぇ〜提督まめっち使うんだぁ〜」

 

「え?あぁ俺はほら、ゲストとか使いたがるタイプだからさ」

 

「いいなぁ、鈴谷も一緒にやっていい?」

 

「や、俺もう飯食いに…」

 

あれ?おかしいぞ?俺に知り合いがいるはずないし、なにより俺のことを提督と呼ぶ奴がなぜこんなところに…。

 

「ちぃーっす」

 

「いやチーズじゃねぇよ。なんでいるんですか」

 

「いやぁ、鎮守府から脱走する提督みかけてさぁ。つい追い掛けて来ちゃったんだよね〜」

 

おい、それストーカーの所行だぞ。っと、ドリフトして綺麗にターンッ!X!月光蝶である!にしてもドリフトして出てくるこのIフィールドみてぇなやつ、なんなんだろうな。

 

「ねぇ、鈴谷も一緒に…」

 

「や、俺もう帰るし」

 

ハッキリ言ってこの女子高生みたいな奴が一番苦手だ。コミュ症にも平気で話しかけてくるし、奢る奢られるが当然の世界だし、その癖キレると面倒臭い。俺の学生時代を思い出す。別に直接関わりがあったわけではないが、完全に男子が貯金箱のように扱われていた。

 

「ねぇ提督〜いいじゃん一回くらい」

 

おい揺さぶるな揺さぶるな、勝てるもんも勝てなくなるから!とにかく、反応したら負けだ。無視するんだ。

 

「陽炎ちゃんとぬいちゃんにはラーメン奢ったくせに」

 

「ぶふっ!」

 

吹き出すと共にゴールした。おい、なんでお前それ知ってんだよ。

 

「鈴谷には一銭も出してくれないなんて…これが愛の差ってこと…?」

 

「わーったよ。いいのかマリカーで」

 

「わーい!ありがとう提督!」

 

抱き着くな!その手の耐性はないんだから!別に見るだけならなんとも思わないからスルー出来るのだが、体が密着するとスルーもなにもない。

 

「……ビッチめ」

 

思わず小声で毒づくと頭を叩かれた。ヒドイです…。とりあえず、鈴谷がやるというので俺はどいた。

 

「じゃ、俺その辺で待ってるから終わったら言ってくれ」

 

「へ?どこ行くの?」

 

話聞いてなかったのかこいつは。その辺だっつの。

 

「や、俺はその辺で待ってるから…」

 

「一緒にやらないの?」

 

「へ?」

 

やるの?俺も?

 

「鈴谷は対戦したいんだよ提督と」

 

「や、それはちょっとアレだから」

 

「じゃあやらない。はいお金」

 

「………」

 

あげたお金が帰って来るとちょっと気まずいな…。

 

「…分かったよ。俺もやるよ」

 

「なになに、ホントは鈴谷とやりたかったの?提督照れ屋さん?」

 

うわあ…うぜぇ……。

 

「やりたくないならそう言ってくれて構わないぞ」

 

「わぁー!嘘嘘!いいからやろ!」

 

二人でマリカーを開始。こういう時はわざと負けた方がいいんだろうか、でも負けたら負けたで「奢り〜」とか言われそうで嫌だなぁ…。つまり、善戦させればいいんだよね!俺はまめっちを選択。鈴谷もまめっちを選んだ。

 

「…いいのかまめっちで」

 

「え?だって提督と同じキャラがいいもん」

 

そういうこと言うな。思わずドキッとするだろうが。そのままゲーム開始。

 

「一応言っとくけど、そこに操作説明あるから」

 

「はーい」

 

スタート。まぁアレだ。狙い通り善戦させて勝った。

 

「あー!負けた!」

 

「そりゃそうだろ。俺が何年マリカーやってると思ってんだ」

 

「あと少しだったのになぁ…」

 

合わせてやったからな。まぁそろそろ腹減った。飯食いに行くか。と、思って立ち上がると、

 

「もう一回!」

 

「はぁ?」

 

そう来たか…。

 

「いいけど、二回目以降は自分で出せよ」

 

「え?鈴谷お金ないよ?」

 

奢ってもらう気満々で来たのかよ…だが、ここで俺が折れるわけにはいかない。

 

「なら行くぞ。この後昼飯行かなきゃいけねんだから。なにより財布にあと1500円しかない。両替面倒臭い」

 

「ケチ」

 

言われても無視。だが、対戦で勝った方はもう一回無料で出来るのだ。

 

「こっちでやっていいぞ。一回無料だし、その代わり一人プレイな。そこで強くなったらもっかいやってやるよ」

 

「サンキュー提督!次は勝つために演習は必要だもんね!」

 

ふぅ、テキトーなこと言ってなんとか誤魔化した。鈴谷が必死にヨッシーパークを攻略する中、俺はクレーンゲームの方へ。ぬいぐるみを発見。俺はぬいぐるみを取るタイプのUF○キャッチャーは得意だ。フィギュアは無理。鮮やかな手口ででっかいリラ○クマを入手。

 

「終わったよ提督〜ってなにしてんの?」

 

「やるよ」

 

リラックマを鈴谷に放る。あわわってなりつつもなんとかキャッチする鈴谷。

 

「え?提督が取ったのこれ」

 

「うん」

 

それだけ言って飯を食いに向かった。その俺の後ろから抱き付いてくる。だからそれやめろって!

 

「ありがと!」

 

「いいから、俺は飯行くけど、どうする?」

 

「行くよ!」

 

そのままゲーセンを出てマ○クへ、テキトーに1500円分の物をテイクアウトした。

 

「そんなに食べれるの提督」

 

「秘書艦の分もあんだよ」

 

「優しいじゃん」

 

「別に普通だ」

 

まぁ提督って給料もいいしなぁ。近々プレ3でも買うかな。鎮守府に着くと、すぐに身を隠す。

 

「どうしたの提督?」

 

「おい、あの彩雲…」

 

加賀さんの彩雲だ。あれ?この前彩雲外して天山にした気がする……。どうやら俺がいなくなってるのに気付いたか…。だが、俺のステルスを甘く見るな。彩雲にも気付かれないように上手く…と、思ったら後ろから肩を掴まれた。後ろを見ると加賀さんが立っている。あれ?おかしいな、ニュータイプみてぇなオーラが見えるぞ?

 

「お帰りなさい」

 

「……うぃっす」

 

「あっ!司令官おかえり〜」

 

キャーキャーと第六駆逐艦隊が集まってくる。その後、飯を第六駆逐艦隊の子達と鈴谷に取られ、俺は加賀さんに夜まで説教された。おかげで晩飯食えなかった。

 

 


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