もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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番外編5

 

演劇。2年B組の出し物は体育館で行われていた。それを見ている加賀先生やら剣道部やら。その他の観客。ちなみに提督はいない。途中でお腹痛くなってトイレに篭っている。だがまぁ問題なく演劇は進み、ようやく終幕というところでトラブルは起こった。

 

「オラァッ!ここが2年B組のあのクソ教師の出し物かぁっ!」

 

頭の悪そうな文をぶちまけながら10人くらいの不良が乱入。真っ先に動いたのは加賀先生だ。

 

「あなた達、ここはそういう場ではないのだけど。大人しく鑑賞出来ないならさっさと出て行きなさい」

 

「うるせぇよババァ。三等分にされてぇのか?」

 

「バ……!?頭に来ました」

 

加賀さんが一発でブチ切れてボコボコにしようとした時だ。不良の一人が生徒を突き出した。

 

「おっと動くな。この生徒傷付けたくなかったらな」

 

突き出されたのはさっきの白露。流石に加賀先生も手を出すわけにはいかない。

 

「この…卑怯な……」

 

「分かったら提督とかいう教師出せ。公開処刑にしてやる」

 

「………っ!」

 

大ピンチ。加賀先生だけでなく壇上の2年B組の生徒や剣道部も歯噛みしているし、泣きそうになってる生徒もいた。

 

「さぁ!さっさとあのクソ教師を出」

 

バシャーッと緊張感の欠片もないうんこを流す音が不良の台詞を遮った。全員、その音の方向を見る。そこから、今度は控えめな手を洗う音、キュッと蛇口を捻る音、そしてギィィィッと寂れたトイレのドアが開く音がした。

 

「嵐のー中で輝いー…え、なにこれ何事?」

 

その中から出てきた人物はイヤホンをしていた。腹立つほど呑気な声で全員がこっちを向いてることに気付く。

 

「先生!」

 

「提督先生!」

 

「誰?教師?若くない?」

 

なんてざわつく。

 

「え、なに。俺なんかした?」

 

提督のご入場だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んだよ。せっかくトイレからスッキリ出てきたってのによ。俺がなにしたって言うんだよ。

 

「あっ!頭、あいつです!俺達をボコったのわ」

 

「おい、『は』を『わ』にしてんじゃねぇよ。女子中学生のメールかお前は」

 

「いや、例えがよく分からないのだけれど」

 

不良の頭の悪い発言につい反応すると、加賀先生から厳しい一言。

 

「で、お前が昼間にうちの下のモンをボコったって本当か?」

 

「はぁ?あ…あのリーゼントと若干イケメンとジャガイモみてぇな奴?」

 

「い、イケメン…むふっ」

 

「おい、てめぇなに少し喜んでんだコラ」

 

なんだか緊張感があるのかないのか分からん会話だなおい。まぁない方が俺としてはいいんだけどね。

 

「で、イカにも私が垣根提督ですが?」

 

「はぁ?なにわけわかんねぇこと言ってんだ。お前が俺の部下をボコったんならお前の生徒だってボコられなきゃいけねぇよな?」

 

や、なにそれなに理論?目には目を、歯には歯をってか?ハムラビ法典かよ。

 

「あのな、大体お前らの生徒が先に絡んで来たんだろ?そりゃ守ろうとするだろ」

 

「そういう問題じゃねぇ。俺ぁ仲間の仇は死んでも打たせてもらうのがモットーなんでな」

 

「なにその戦国大名みてぇなモットー。てか死んでねぇからなお前の仲間」

 

「とにかく、分かったら黙って、ボコられてくれや」

 

そう言いながら臨戦態勢に入る不良。

 

「言っとくけど、てめぇが少しでも動いたらこの女の命はねぇぞ?」

 

ふぅん。

 

「命がねぇのはてめぇらの方だよ」

 

「あぁ?」

 

「お前らが仲間傷付けられて怒ってんのと同じように、俺も教え子の出し物メチャクチャにされて、教え子人質に取られて…なにやってんだかなぁ…」

 

まぁ、あれだ。

 

「もしお前らがこれ以上この学園でなんかするってんなら俺は自分のクビ捨てても、お前らを殴る」

 

「………っ!」

 

で、喧嘩開始。その辺にあったパイプ椅子で殴り掛かって来る不良を殴り飛ばした。

 

「てめぇっ!ホントに教師か!?」

 

「よく言われるよ」

 

そのままパイプ椅子を持って人質を取ってる頭みたいな奴に接近。それを阻止しようと何人か俺を殴り掛かって来るが、俺のパイプ椅子無双。「武器が微妙過ぎる…」とか聞こえたが気にしない。現代文の成績2にしてやる。

まぁそんなこんなで頭の目の前へ。

 

「なっ……」

 

「どうした?その子の命ねぇんじゃねぇのかよ」

 

「上等だコラァッ!」

 

と、ヤケクソになって殴りかかってきたが、そいつの顔面に俺の足がめり込む。で、生徒を無事に確保した。その瞬間、歓声。

 

「はい、ヒーロー提督先生が無事、えー無事不良を撃退しましたー」

 

なんて言いながら周りの歓声に手を振ってると、加賀先生が近付いてくる。お?勝者にご褒美か?ハグか?と、思ってたらビンタだった。一気に静まり返る体育館。

 

「え…なんで…」

 

「なんではあなたですよ!なんで、こんな無茶したんですか!?」

 

「いや無茶でもないですから…俺強いし…」

 

「そうじゃなくて!自分の身のことは考えてないんですか!?」

 

「え?考えてますよ?五番目に」

 

一にガンダム、二にゲーム、三四がなくて、五に俺。おい、生徒いねぇのかよ。

 

「そういうことではなくて…バカぁ…」

 

いいながら抱きしめて来る。自分で勝手にハグとか妄想してたけど、やられたらやられたでちょっと恥ずかしいですね…。おい、鈴谷と北上その顔はなんだ。現文1にされてぇのか。まぁそんなわけで、文化祭のトラブルは解決した。

 

 

 






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