もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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陽炎型

 

 

 

最近になって気付いた。私室の風呂が狭い。もっとでかい風呂に入って見たい。そんなわけで、艦娘専用の風呂に入ることにしました。や、ちゃんと入り口に『提督が入ってます。お前らばっかり広い風呂入ってんじゃねぇ』って書いといたからね?大丈夫だよね?まぁ入ってきても俺の責任じゃないし。

 

「うおぉ…広ぇ…」

 

セコイなおい。俺一応大佐だぞ。シャアと同じだぞ。それなのに艦娘と俺の風呂でここまで差があったのか…。とりあえず体流して、さっそく入浴!どっぼーん☆となるかと思ったら思いのほか浅く、尻を強打した。

 

「い、痛ぇ…」

 

なんでこんな目に…と、思ってたらなんか外から騒がしい声。

 

「ちょっと阿賀野姉!提督が入ってるんじゃ…」

 

「大丈夫だよ能代〜いたって怒られないよ」

 

「そういう問題じゃ…」

 

元気良く入ってくる阿賀野と能代。え、なにしてんの?バカなの?

 

「あ、提督だ」

 

「だから言ったじゃない!」

 

顔を真っ赤にしながら自分の体を隠すようにタオルを掴んで体育座りする能代。

 

「あの…俺ちゃんと立て札置いとかなかった?」

 

「あーありましたけど無視しちゃったよ?」

 

「見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた…」

 

「そこで念仏唱えてんのはなに?」

 

「さぁ?それより一緒に入っていい?」

 

マジかこいつ。まぁ俺の三代欲求は食欲、睡眠欲、ガンダム欲だし、あいつら所詮体型は軽巡だし、向こうがいいって言うならいいだろ。

 

「やったぁ!ほら能代も行くよ!」

 

「えっ!?ちょっ…えっ!?」

 

裸で引っ張り合う二人。アレだな、軽巡どころか重巡レベルの体型だったわ。まぁいいか。

 

「それー!」

 

と、阿賀野が飛び込み、能代は顔を赤くし「お、お邪魔します…」と小声で呟きながら静かに入ってくる。恥ずかしいんなら入んなきゃいいのに…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、昨日の今日だしキチンとやらないとなぁ…仕事。えーっと、この書類は…これでいいや。これも、こうっと…なんだ、書類ちょろいな。

 

「失礼します」

 

入ってきたのはしーらぬい。

 

「本日の秘書艦に選ばれました。ご指導、ご鞭撻よろしくお願いします」

 

「んー」

 

しーらぬいか。前にラーメン食いに行ったりしたし、平気だろ。さて、仕事仕事っと…あ、もう9時じゃん。今日はルビドラだったか。ソニア育てないと。

 

「司令?仕事は終わったのですか?」

 

「え?や、まだだけど…」

 

「不知火は加賀さんにあなたのこときちんと仕事をやらせるように見張り役も頼まれています。しっかりと仕事をしてから遊んでください」

 

あぁ…やっぱ完全に信頼されたわけではないんだなぁ…。それはそうか。まぁ俺もさっさと終わらそう。どうせ後1〜3枚だし。

 

「あ、そうだ。しーらぬい」

 

「不知火です。なにか?」

 

「この仕事終わったらちょっとお願いがあるんだけど」

 

「不知火に、ですか?」

 

「や、誰でもいいんだけどさ。秘書艦だったからしーらぬいでいいかなって」

 

「了解しました」

 

ふぅ…やっぱ女の子誘うのは勇気がいるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がしーらぬいに頼んだのは加賀さんへの謝罪用のプレゼントだった。不知火に頼んだはずだったのに…。

 

「悪いわね不知火。私まで誘ってもらって」

 

「しれぇとお出掛け、楽しみです!」

 

「それ、ワンツー」

 

「ま、いいんじゃないかしら?」

 

ドラクエ並に人が付いてくるんですよねぇ…。まぁいいけどさ。これ、周りから見たらどんな風に見えてるんだろう…。

 

「しれぇ!しれぇ!」

 

呼ばれて振り返ると、夢に希望を託した少年の目をした雪風が肩車されてる男の子を指差してこっちを見ている。えぇ…マジで?

 

「うわあっ!すごい!高いですしれぇ!雪風は沈みません!」

 

「お、おう…」

 

辛ぇ…膝がガクガクする…明日筋肉痛だろこれ…。

 

「だ、大丈夫提督?無理しない方が…」

 

「俺だって無理したくねぇよ舞風…」

 

あ、今更だけど一応メンバーはしーらぬい、陽炎、初風、舞風、雪風だ。風邪引かないように気を付けよう。

 

「で、提督。なに買うの?」

 

と、初風が改まって聞いてきた。

 

「んー…まだなんも決まってねんだよなぁ…」

 

「でもなにかしら考えたりはしたんでしょ?」

 

「したよ?したんだけどさ…」

 

「どんなのにしようとしたの?」

 

陽炎も横から聞く。

 

「アストレイブルーフレームのプラモ、とか?」

 

言うと、横から初風に横腹を肘打ちされた。

 

「おまっ…なにを…!」

 

「あなたねぇ!責めて自分がもらって喜ぶものにしなさいよ!」

 

「そんなんじゃ笑えないわよ!」

 

「俺がもらったら涙流して大喜びしますけど?」

 

初風と陽炎に言われてそう切り返すと、呆れ顔してくる。うるせぇ、俺だって少しくらい自覚はあるんだよ。

 

「それで、不知火達に相談したと?」

 

「うん」

 

「それならあたしに任せてよ!この舞風さんが加賀さんの喜ぶ物をたーんと選んであげる!」

 

うわあ…気のせいかダメ戦フラグな気がする…。

 

「しれぇぇぇぇーっ!」

 

「ぅおわぁぁぁあああぁぁっ!?」

 

急に頭の上からトリコクラッカー並の大音量。おい、デビル大蛇どこにもいねぇぞ。

 

「しれぇ!あそこ!あそこに行きたいです!」

 

耳がキーンとしてなにも聞こえない。

 

「しれぇ!聞こえてますか?」

 

と、髪の毛やら耳やらを引っ張られるが、誰のせいで聞こえないと思ってんだ。ゼブラかお前。チョーシに乗るなよ。

 

「あ、あぁ…悪い。で、なんだって?」

 

「あそこです!あのガチャガチャコーナー!」

 

そんなことの為に人の上でサウンドバズーカ放ちやがったのか己は…。まぁいいや。別にガチャガチャに興味ないし、全然ガンダムのガシャポン戦士とか期待してないけどせがまれたら行くしかないからダッシュで行くよ!

 

「ちょっと提督!どこに行くの!?」

 

陽炎に言われるが無視してガシャポンを一つ一つ確認。おぉ、今一年戦争じゃん。やろっと。頼むぞシャアズゴックと思いながら八回目の200円を投入した時、雪風以外の全員が俺をゴミを見る目で見ていた。

 

「司令…」

 

「いい歳してそれは…」

 

「気持ち悪い…」

 

「うるせっ。いいだろ欲しいんだから。あと不知火、その一言は本当にアレだから。トラウマたくさん詰まってっから」

 

本当に女子高生とか女子中学生はなんでキモいって言いたがるんだろうな。悪いけどね、死ねって言われるより破壊力あるからね?言葉の暴力どころか言葉の殲滅戦だから。

 

「あっ!しれぇ!これやりたいです!」

 

「どれ」

 

言われて雪風の後ろへ。日本のアマガエルコレクション。え、なにこれ。ゆ、雪風さん?だが、当の雪風は少年の目でアマガエルコレクションを眺める。なにこの子。

 

「ほら200円」

 

「わーい!ありがとうございますしれぇ!」

 

と、喜んで200円を投入。

 

「お前らもやる?」

 

「いいわよ子供じゃあるまいし」

 

陽炎に断られ、他の二人もうんうんと頷く。二人?初風は?キョロキョロすると一つのガシャポンに釘付けになっていた。

 

「り、リラックマ…」

 

「やりたいのか?」

 

「っ!?や、やりたいわけないでしょ!?子供じゃないのよ!?」

 

「ふーん、そう。じゃ、俺やるわ」

 

「なっ!?」

 

初風の反応を無視してガチャッと回す。なにが出たか確認しないでポケットに突っ込んだ。それを羨ましそうに眺める初風。

 

「あっ!司令、私もそれやりたい!」

 

「不知火もやりたいです」

 

「え?あ、あたしも!」

 

陽炎、不知火、舞風に言われて200円ずつ渡す。三人が喜んで回す中、もっと羨ましそうな顔になる初風。

 

「ち、ちょっと!」

 

「やりたいの?」

 

「……っ!や、やりたい…です…」

 

顔を真っ赤にして俯く初風。いやそんな恥ずかしいもんじゃねぇだろ。200円渡すと、えへへと嬉しそうにガチャっと回す。

 

「雪風ー。これあげる」

 

さっきの自分で引いたリラックマのカプセルを渡す。だっていらねぇもん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、お前らで選んできてくれ。俺はゲーセンで待ってるから」

 

言いながらフェードアウトしようとした俺の襟を不知火が掴む。毎度お馴染み潰れたカエルの声。

 

「待ちなさい。誰の落ち度で渡すプレゼントだと思ってるんですか?」

 

ですよねー。てなわけでプレゼント選び開始。

 

「あっ!見て見てこのマフラー!可愛い!」

 

「この手袋いーなー」

 

「雪風、新しい双眼鏡が欲しいです!」

 

「あたし、新しい髪留め欲しい!」

 

と、まぁ流石女子中学生+小二くらいの年齢の子達が集まっただけあって、自分の欲しいものばかりに目がいってる。そういうのが嫌だったから不知火だけが良かったんだが…ちなみに当の不知火は俺の横から動かない。

 

「しーらぬいも見てきていいよ?」

 

「次そのふざけた呼び方で呼んだら殴りますから。不知火は結構です。どういうのが可愛いとかよく分からないので」

 

「や、そんなん自分の好みで選べばいいんじゃないの?」

 

「それに、今は加賀さんへのプレゼント選びです」

 

「や、そんな硬くならなくていいから。そんなん気にしないで自分の見たいもん見てきていいぞ?なるべく俺の目の届く範囲内なら」

 

「………」

 

「ま、無理に見てこいとは言わないけど」

 

すると、不知火は少し躊躇うような仕草を取り、遠慮気味に手を伸ばす。

 

「……で、でしたら…これ、とか…」

 

ネックレスに手を伸ばして自分の首に付ける。

 

「ど、どうでしょうか…」

 

かぁっと顔を赤くして俯く不知火。なんつーかあれな。すっげぇ似合ってるけど可愛いというより綺麗っていうか…。

 

「まぁ、アレだ。似合ってるんじゃねぇの?」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「まぁ買うとは言ってないけど」

 

この後、メチャクチャ殴られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

加賀さんのプレゼント買った後、少し買い物して鎮守府へ帰宅。っと、その前に、

 

「えーっと、ちょっといい?」

 

言うと、全員が振り返る。自分で呼んどいて少し怖かったんですが…まぁいいや。

 

「えっと、今日付き合ってくれてありがとってことで」

 

全員にテキトーに買ったものを渡す。

 

「あ、これ最初に見てた可愛いマフラー!」

 

「手袋!」

 

「なんで雪風はハムスターなんですか…?」

 

「なんで私はリラックマのぬいぐるみなのよ…」

 

「不知火はネックレスですか」

 

「まぁあれだ。お礼だから」

 

それだけ言うと、俺は逃げるように鎮守府に入る。だが、陽炎やら雪風やら舞風ぎ後ろから飛び付いて来る。

 

「ちょっ…お前ら…」

 

「ありがとね!司令」

 

まぁ、いっか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てなわけで、加賀さんにプレゼントを渡す。が、これちょっとレベル高いなおい…。とりあえずプランを三つほど立てた。

・プランA:加賀たんにクリスマスプレゼントだお☆

結論:クリスマスシーズンじゃねぇな。ボツ。

・プランB:加賀っちに誕生日プレゼントだゾ☆

結論:あの人の誕生日知らねぇし1/365の確率に掛けてられるか。ボツ。

・プランΩ:俺、実は提督やめるんだ…これはその餞別だ。受け取りな(キラッ

結論:いややめねぇし嘘だってバレたら次は戦争になるかもしれない。ボツ。

……俺の中の俺ってどんなキャラ認識してるんだろう…。とりあえず誰かにアイディアを聞かないといけないな。

 

「あら提督、こんにちは」

 

呼ばれて振り返ると陸奥。うわぁ…苦手なんだよなぁ…。

 

「どうしたの?お姉さんに構って欲しいの?」

 

首を横に振って返事をする。こういうビッチっぽいのが一番苦手なんだよなぁ…。

 

「ふーん…私に興味はないと?」

 

まぁ、そうなるかな?とりあえず興味あるって言ったらからかわれる未来しか見えないので、首を縦に振る。その瞬間、抱き付いてきた。俺の身長は170cmちょっと、その俺の顔が陸奥の胸に吸い込まれた。

 

「ん、んーっ!」(訳:ち、ちょっと!)

 

「私の魅力、しっかり分からせてあげるわねぇ」

 

「んんーっ!んん、んっんんんっ!んん!」(離せー!マジぶっ殺すぞババァッ!)

 

「あーらまだそんな減らず口叩けるのね」

 

な、なぜ言葉が分かる!?しゃべらずとも意思共通出来るとかイノベイターか?誰だトランザムバースト使ったの!

 

「なにを、してるのかしら?」

 

ビクッと俺と陸奥の肩が震え上がる。ギギギとロボットダンス並みにぎこちない動きで振り返ると加賀さんが雪女バリの寒気と迫力を纏って立っていた。

 

「ーぷはっ!か、加賀さ…」

 

「………」

 

こ、怖い…無言の圧力怖い…。

 

「仕事は終わったんでしょうね」

 

「お、終わりました!」

 

「あの、加賀?今回は私が悪いの…だから提督は…」

 

「あなたは黙ってなさい」

 

「は、はい!」

 

なんだよなんだよなんでだよ…。怖過ぎるだろこの人…。

 

「ならその終わったという書類を確認します。ついて来なさい」

 

「り、了解しました!」

 

おい、どっちが艦娘だ。そのまま執務室へ。まぁちょうどいいか。

 

「うん。大体OKね。所々訂正箇所はあるけれど、それはこちらで訂正しておくわ」

 

「そうですか…それで、その加賀さん…」

 

「なんですか?」

 

いやあ、緊張するわ。これでいらないとか言われたら死ねる。てか死のう。深海棲艦の提督になってこの鎮守府爆撃してやる。

 

「これ、この前の一週間のボーナスっていうか…お礼っていうか…」

 

言いながら渡した。それを受け取る加賀さん。

 

「い、いらなかったら捨てていいから。そしたら俺も命捨てるし」

 

「………」

 

黙らないでくださいよ…ヤケに緊張するじゃないですか…。と、思ったら涙を流す加賀さん。え?なんで?

 

「あの、加賀さん?」

 

「す、すいません…つい…ありがとうございます…」

 

「い、いえいえ!てかなんで泣いて…ご、ごめんなさい!」

 

「そうではなくて…嬉しくて…」

 

「へ?」

 

「はっ。い、いえ失礼します!」

 

そのまま出て行かれてしまった。まぁ嬉しかったならいいか。

 

 

 


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