目を覚ますと、私(加賀)は医務室のベッドの中だった。そっか…確か疲れで倒れて…。ふと布団の上を見ると、提督が授業中に寝ている生徒のような格好で私の布団の上で寝ていた。
「て、提督!?なんで…てかなにして…!」
だが、爆睡しているようで返事はない。
「ふぅ…まったく…」
「………さい」
「!?」
「ごめんなさい加賀さん…んぅ〜…ごめんなさい…」
「魘されるくらいならサボらないで下さいよ…」
「勝手にプリン食べて…ごめんなさい…」
「!?」
まさか、この提督執務室の冷蔵庫の中のプリン食べたの!?ゆ、許せない…!いやそれもあるけど謝る内容が違うんじゃないかしら?
「あ、加賀さんおきました?」
中に入ってきたのは榛名だった。
「えぇ、それでなんで提督がここにいるのかしら?」
「それなんですけどね。すごいんですよ提督」
「……?」
榛名が語り出した。
ヤベェ…ヤベェよ…まさか銀行でトイレ借りたらこんなことになってるなんて…。
『あの、提督?まさか、このインド風アメリカ銀行の中ですか?』
「そうなんだよ…ついトイレに行きたくなっちまってさ…借りたらこの様だよ…」
『トイレなんてコンビニとか駅で借りれば良かったじゃないですか!』
「銀行のトイレのが綺麗だろ!」
『知りませんよ!』
「とにかく、俺しばらく帰れないからな。ここで収集がつくまで待ってないと…」
『って、忘れてた!提督!大変なんです!』
「あ?なにが?まさかザクの建築が中止になったとか…」
『違います!てかまたそんなもの勝手に建てて…勝手は榛名が許しませんよ!?』
ダメなんだ…ガンダムの時は黙認されてたからてっきり問題ないのかと…。
『って、だから大変なんです!か、加賀さんが…』
なんだよ…俺の暗殺計画でも立ててんの?
『過労で倒れたんです!』
「で、それから10秒もしない内にニュースの生中継から提督が強盗犯の三人を担いで出てきたんですよ」
本当に何者なのかしらうちの提督は…。
「多分、加賀さんが相当心配だったんでしょうね。その後にたまたま近くを通ったバイクを蹴り飛ばしてバイク強奪して来ましたから」
「………」
てっきり、嫌われたもんだと思っていたけれど違ったみたいね。私はつい、寝ている提督の頭を撫でる。
「ありがとうございます。提督…」
すると、榛名が目をまるくしてこっちを見ているのに気付いた。
「……なにか?」
「あっ!いえ、加賀さんがかなり乙女な顔してたので…つい…」
「……どういう意味かしら?」
「い、いえなんでもありません!」
まったく…まぁ感情を表に出すのが苦手なのは自覚しているし、仕方ないとは思
「ぶふっ……wあっやべっ」
「…………」
「…………」
榛名の声じゃなかったわね。この部屋にいるのは三人だけだし、私はなにも言ってない。つまり、
「起きてたのね…」
「いだいいだい!頬引っ張らないで下さ…ごめんなさいごめんなさい!」
「ゆ、許さないわ!あなたこの前のこと全然反省してないようね」
「いや起きたのはほんのさっきだから!ていうか頭なんて撫でるから起きちまうんだよ!」
「屁理屈を…!まったく許しません。頭どころかトサカに来ました」
私はそのまま出て行く。まったくあのバカ提督は……。
次の日、俺は加賀さんに呼ばれて執務室へ。やだなー…また怒られんのかなぁ…昨日怒らせちまったしなぁ…。あー胃が痛い。仕方ない、殴られたら殴り返そう。いや殴り返さないけど。重い足取りで執務室へ入った。中では加賀さんが机の横で立っていた。
「…………」
なんて声かけたらいいんだ…なんて言っても殴られる気がする…。
「なにをしているの?」
向こうから声をかけられるとは…。
「仕事、始めるわよ」
「へ?」
「早く」
「アッハイ…」
言われるがまま、席に着いた。とりあえず、謝っとかないとな…。
「あの、きゃが…うぅんっ!加賀さん…」
「謝らなくていいわ」
盛大に噛んでしまったが、加賀さんはそれを気にした様子はない。
「その代わり、次はありませんからね」
「…ウィッス」
まぁ、なんとか元の関係には戻れたのかもしれない。責めて明日、明後日くらいはキチンと仕事するかぁ。