もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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事故った

 

 

 

ジェットコースターに乗せられ、ほとんどHPを持ってかれた。誰だジェットコースターなんて考えた奴は。五回殺してやりたいわマジで。

 

「司令官!次、次はなに乗ります!?」

 

「車」

 

「帰る気!?そうじゃなくて遊園地のアトラクションですよ!」

 

なにも乗りたくないんだけどな…まぁ仕方ないか…。そのまま連れ回されること五時間。ようやく遊園地を出た。車の中では吹雪と白雪はすでにお疲れのようで眠っている。

俺も眠ってしまいたいが、永遠の眠りに付くので我慢。

 

「今日は楽しかったね提督」

 

「おう…」

 

「またみんなで来ようね!」

 

「おう…」

 

お前は元気だなー鈴谷。俺なんて今にも寝そうなのによ…。

 

「あの、大丈夫?なんか辛そうなんだけど…」

 

「平気だ…」

 

「だといいけど……」

 

この後、居眠り運転で川に突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どっかの病院。入院中の俺の目の前には鈴谷、吹雪、白雪となぜか加賀さんまでもがジト目で俺を見る。

 

「すいませんした…」

 

「すいませんじゃないよね…鈴谷、ちゃんと忠告したよ?」

 

「司令官、鈴谷さんがいなかったら私達死んでましたよ」

 

「居眠り運転なんて…よく出来ますね」

 

「頭に来ました」

 

あの後、鈴谷が一早く危険を察知し、川に飛び降りる前に吹雪と白雪を抱えて脱出したそうだ。その後に泳いで俺を助けてくれたらしい。なんで俺のことも助けてくれなかったのだろうか…。

 

「提督、外出禁止です」

 

「そんな!」

 

「周りの人も巻き込んでこんな目に合わせたんですから当然です」

 

加賀さんに冷たく言い放たれて、ガクッと肩を落とす。そりゃそうかぁ…。まぁしばらく仕事もしなくて済むし、プラマイ0ってことで。いや明らかにマイナスのがデカイ気がするんですが…。結局、四人とも帰っちゃうし…怒ってんのかなぁ…怒ってるよなぁ…。

 

「暇だ…」

 

考えたらPSPもなにもない。一応怪我してるわけじゃなくて大事をとって入院してるだけだから明日には退院するんだけど…それにしても暇だ。なんかないかなー。あ、携帯だ。水没してませんよーに。OK、生きてる。今日撮った写真でも眺めてよっと。

 

「提督、失礼します」

 

ガララッと扉が開き、思わず携帯を布団の中に隠した。入ってきたのは榛名だ。

 

「大丈夫ですか?なんか今、すごい顔した四人が出て行きましたけど…って、今なにか隠しましたよね?」

 

「や、隠してないけど?」

 

「………」←ジト目

 

「………」←泳いだ目

 

「失礼します♪」

 

榛名が俺の布団を無理矢理もぎ取ろうとする。おいバカやめんか。変態か。

 

「や、やめて下さい!ごめんなさい!」

 

「だーめーでーす!」

 

結果、携帯を取られた。あぁ…せめて電源切っとけばよかった。

 

「これ、今日の写真ですか…?」

 

「うん…中学の時は班員に友達いなくてさ…哀れみの視線から開放されるために写真係になって、誰よりも働いてみせたもんだ…その時の経験を生かして」

 

「なんでこれ隠したんですか?」

 

「だってなんか恥ずかしいじゃん…」

 

「や、意味が分からないです…お正月も確かこんなの見せてくれましたよね」

 

「まぁ、見せましたけど…」

 

「それで、居眠り運転で三人を殺しかけたと?」

 

「それで出て行かれちゃったんだよなぁ…なぜか加賀さんも怒ってたし…」

 

「………」

 

榛名、呆れ顔。まぁそうなるよね…。

 

「まぁ謝るしかないですね。あ、お見舞いにりんご買ってきたんですよ」

 

「別にいいのに…どうせ明日で退院だし」

 

「あとほらこれ、暇してると思って」

 

榛名が懐からPSPを取り出す。なんで懐にしまってんだよ。

 

「おぉ!マジか榛名お前マジ天使!サンキュー!」

 

「て、天使だなんて…」

 

頬をぽっと染める榛名。

 

「榛名は当然のことをしたまでです!」

 

「いやいやいや、そんなことないよ。加賀さんならそんなことしてくれない上に説教パンチだからな。上条かっての」

 

あはは…と苦笑い。だが、顔が曇る。

 

「しかも最近は全然、執務室来てくれないから仕事捗らないし」

 

「て、提督その辺で…」

 

「ていうかなんであの人、俺のこと怒るんだろうな。嫌いならほっといてくれればいいのによ」

 

「あの、提督…」

 

「あと携帯没収はマジでやめて欲しい。だってあれじゃん。ゲリラの時間とかあるわけだしさ、俺のサタンが全然育たないんだよな」

 

「あの、提と…」

 

「頭に来ました」

 

後ろから声がした。ギギギッと振り返ると加賀さんが闇に寝返ったサスケの眼光で腕を組み仁王立ちしていた。

 

「な、なんでここに…」

 

「一応、お見舞いにケーキを買っておいたから私に来たのだけれど。必要なかったようね」

 

「その…いや違うんだよ…まるで俺が誰かにマインドコントロールされてたかのごとく…」

 

「………」

 

ぷいっとそっぽを向かれた。その時、涙が浮かんでるように見えた。気の所為か?そのまま出て行ってしまった。てっきり殴られると思ってたんだが…で、榛名さん。そのゴミを見る目はなに?

 

「あの…榛名、さん……?」

 

「今のは提督が悪いです」

 

は、榛名にまで顔を背けられてしまった…。

 

「ま、まさか後ろにいたなんて思わなかったんだよ…」

 

「そういう問題じゃありません。そもそも愚痴を言うのが間違いです。せっかくお見舞いにまで来てもらったのに」

 

「…………」

 

「そもそも、なんで最初に加賀さんが来た時に怒ったかわかりますか?」

 

「そ、そりゃ鈴谷達を危ない目に合わせたから?」

 

「それもありますけど…提督が居眠り運転をしたことですよ。事故ったって聞いた時、すごく心配してたんですよ?」

 

「…………」

 

「大体、加賀さんが普段提督を叱るのだって提督が普段サボってるからじゃないですか」

 

「うっ……」

 

「あれもこれもなんだかんだで一番提督のこと面倒見てるの加賀さんなんですよ?全部提督のためを思って加賀さんは厳しくしてるのに…」

 

「うぅ………」

 

「明日、ちゃんと謝ってくださいね」

 

「………はい」

 

まぁ今回は俺が悪いか。うん、腹を括ろう。

 

 

 


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