もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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爆撃

 

 

 

金剛に絞られた後、仕事を軽くやって飯を食った。その後はすることなく、絶讃退屈中である。

 

「そろそろ風呂でも入るか」

 

立ち上がると、向かい側に座っていた皐月がぱぁっと明るくなった。

 

「僕も一緒に入っていい!?」

 

「は?なんで?」

 

いきなりどうしたこいつ。

 

「前から司令官とお風呂に入ってみたかったんだよ」

 

「別に構わないけど。だったらパジャマとか持ってきな。俺は先に入ってるから」

 

「はーい!」

 

まぁ相手は小学生くらいだし、問題ないだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後。すでに体を洗い終わり、湯船に浸かっている。なのに、俺は唖然としていた。私室の狭い一人用の風呂場には皐月、睦月、文月、菊月の四人がキャーキャーとはしゃいでる。どうしてこうなった…。皐月が誘ったからか。

 

「しれーかん!あたしの背中洗って〜」

 

「自分で洗え文月。俺はもう疲れた」

 

ここにいていいのだろうか…なぜか罪悪感が…。でも睦月に寄っかかられてて動けない。

 

「くらえ!水遁水龍弾の術!」

 

バシャッ!と菊月に水を掛けられた。当然、俺の上にいる睦月にも掛かった。

 

「あ!やったなぁ!」

 

「うおっ!このっ!」

 

なんてはしゃぐ睦月型。ハッキリ言ってスゲェ邪魔。さっさと上がりたいんですけど。上がるかもう…。そう思って立ち上がり、風呂のドアを開いたときだ。

 

「提督。なんか騒がしいようだけれど」

 

「あっ」

 

「」

 

加賀さんが目の前で立ち尽くし、2秒くらいで我に返ると、拳を引いた。だからさ、逆ラッキースケベとか誰得だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日はあのまま目を覚まさなかったようで、朝になっていた。横を見ると睦月型の昨日の四人とヲ級が寝ている。その奥にはなぜか加賀さんもいた。家族かっつの。

すると、加賀さんも「む〜」っと唸りながら目をこすり、起き上がった。で、俺をジーッと見つめること3秒。おそらく、俺だと認識してる時間だろう。すると、急に顔を赤くして俯いた。なんだよ…。

 

「その、昨日は…すいませんでした…つい、冷静さを欠いてしまいました…」

 

「昨日?なんかあったっけ?」

 

睦月型と風呂に入ってたのは覚えてるんだが…てかあの後なんかあったっけ?

 

「まぁ、気にしないでください」

 

「いえ、その…わ、分かりました…」

 

なんかよくわからん。まぁなんでもいーや。

 

「それより朝飯食いに行ってもいいすか?」

 

「え、えぇ。ほらあなた達おきなさい」

 

加賀さんの声で、目をこしこしと擦りながら目を覚ます四人。すると、執務室のドアがバタンッ!と開かれた。

 

「提督さん、起きてるー?って、加賀さん!?なんでここに…」

 

どうやら、今日の秘書艦は瑞鶴のようだ。あの、加賀さんの方から舌打ちが聞こえたんですけど…。

 

「なにしに来たのかしらリトラ」

 

「ウルトラQの原始怪鳥の名前知ってるなんて…相当おばさんねババさん!」

 

「通じてるあなたも大概ね。そもそも私は以前提督がウルトラQを見ていたのがたまたま視界に入っただけよ。貧相な胸して大人なのは特撮のことだけなのかしら」

 

「む、胸は関係ないでしょ!?あなただってスイカ服の中に入れてるだけなんじゃないの!?」

 

「頭に来ました」

 

「上等よ!」

 

「ちょっと二人とも落ち着いて!」

 

なんとか仲介に入ると、二人は押し黙る。

 

「口喧嘩なら外でやって下さい。あと殴り合いになるなら俺が二人を殴るから」

 

めずらしく俺はイラついた。なんで朝から他人の喧嘩なんて見なきゃいけねんだようぜぇな。確かな殺気を見せたからか、二人ともおとなしく引く。

 

「で、古代怪獣の方。なんか用?」

 

「誰がグドンの餌よ!今日の秘書艦だから来ただけよ」

 

「じゃ、あれとそれとこの書類よろしく。俺は朝飯食って来るから。あと加賀さん、今日の演習とかよろしくお願いします。あとそこで寝てる睦月型四人も」

 

「了解したわ」

 

で、加賀さんと四人は執務室を出た。ヲ級はまだ寝てるし。ふぅ…これでようやく落ち着ける。ぶっちゃけたこと言うと、スゲェ勇気使った。あんなデカイ口叩いて本当に殴り合い始めたら多分、俺逃げてた。

 

「えーっと…あれと、それと、これ…ってこれ全部じゃないの!元々提督さんの仕事でしょ!?」

 

だが、聞こえない振りして執務室を出る。さぁて、今日はこのまま帰らないぞ〜と、思ったら前に翔鶴さんが立ちはだかった。

 

「提督?仕事、しましょうね?」

 

「……はい」

 

引き返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、朝飯はトースト焼いて済ませた。隣で書類を手伝ってくれてる瑞鶴。仕事するふりしてパズドラやる俺。正月のフェスでは赤ソニア4体、赤オデン3体という幸運なのかどうなのか分からない結果に終わった。元々、赤ソニアは2体持ってるので、チームを作っても一体余ってしまうのだ。スゲェ邪魔。と、思ったらガタンッ!と瑞鶴が立ち上がる。見ると、顔を若干赤くさせて一枚の書類を握っていた。

 

「どうしました?」

 

「提督さん。この書類なんだけど…って!またパズドラやってる!」

 

「え?どの書類?」

 

「え?あ、えーっと…じゃなくて!携帯没収するよ!?」

 

「悪かったよ。で、どの書類?」

 

「これ」

 

書類にはケッコンカッコカリと書かれていた。

 

「捨てといて」

 

「えっ!?提督さんは結婚したくないの!?」

 

「うん。元々、俺は結婚願望ないし、それカッコカリって付いてるけど選べるの一人じゃん?なんか贔屓してるみたいで嫌だし」

 

「え、じ、じゃあ…仮に、仮に艦娘から結婚をせがまれたら?」

 

「断るよ?」

 

「……そっか」

 

少し残念そうな顔をする瑞鶴。なんだよ…俺なんかマズイこと言ったか?

 

「提督さん!」

 

「はい」

 

呼ばれて振り返る。すると、俺には眩しすぎるくらいの笑顔で言った。

 

「いつか、振り向かせてあげるからね」

 

「いや、もう振り向いてるじゃん」

 

「そーじゃないの!」

 

突然、後ろから抱き着いてくる瑞鶴。あの…胸当てっていうの?それが背中に当たって痛いんですが…。

 

「なんだよ…」

 

「なんでもなーい!うふふ♪」

 

まぁいっか。軽く頭を撫でてそれで誤魔化しつつフェードアウトしよう。そう思いながら軽く頭を撫でてやった。だが、

 

「ふにゃ…」

 

「は?」

 

謎の擬音が聞こえて思わず手を離してしまう。

 

「て、提督さん。もっかい撫でて」

 

「は?」

 

「いいから!」

 

「は、はい!」

 

で、撫でてやる。

 

「えへへー」

 

「なぁ、もういいか?」

 

「もうちょっとだけ!」

 

クッソ…完全に計算外だ…まさかこいつが鳥や古代怪獣ではなく猫タイプだったなんて…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執務室に向かう三つの影。

 

「あの、多分大丈夫だと思いますよ加賀さん?」

 

「やっぱ信用ならないわ…五航戦、それも妹の方が提督と二人きりでいるなんて…!」

 

「瑞鶴、大丈夫かしら…提督を爆撃してなければいいけど…」

 

赤城、加賀、翔鶴の三人は執務室へ向かう。演習が終わってすぐに帰って来たのだ。で、ドアをバタンッ!と開いた。

 

「「提督!」」

 

加賀と翔鶴に遅れて後ろからひょこっと顔を出す赤城。三人がそこで見たのは仕事もせずに瑞鶴を膝枕して頭を撫でてあげてる提督だった。

 

「なぁ、もういいか?」

 

「あと五分だけー!」

 

「その台詞、50回目なんだが…」

 

「んふふ〜」

 

この後、めちゃくちゃ爆撃された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やれやれ、酷い目にあった。まさかあの後、瑞鶴まで爆撃してくるなんて…。後から恥ずかしくなるくらいならやらせんなし…。とりあえず無我夢中で逃げたので鎮守府の外にいる。まぁこれで合法的にサボれるわけだし、結果オーライだな。

とりあえず、腹減った。飯にしようっと。マックでいいか。携帯クーポン、と。

 

「ポテト、Lで」

 

で、俺は財布を出そうとする。

 

「…………?」

 

あれ?おかしいぞ?もっかいポケットに手を突っ込む。

 

「……………」

 

財布、ない。やっべ…店員さんもう用意しちゃってるし…どうしよう。と、思ったら俺の後ろから手が伸びる。その手は190円置くと引っ込んだ。

 

「蒼龍」

 

「こんにちは。提督」

 

あっぶねぇ…助かった。危うく中一の部活の遠征の帰り道みたいになるとこだったぜ。そのまま、とりあえず二人で席に着いた。

 

「すいません…助かりました」

 

「いえいえ」

 

「てかこんなところでなにしてるんですか?」

 

「爆撃されながら逃げてるところ見て追っかけてきただけです」

 

「それだったら助けてくれればよかったのに…」

 

「嫌ですよ。返り討ちにあいますから」

 

だよねー知ってました。

 

「それよりこれからどうするんですか?」

 

「鎮守府には帰りたくねぇからなぁ。どっかで暇潰ししてるよ」

 

「ご一緒してもいいですか?」

 

「お好きにどうぞ」

 

てなわけで、パーティに蒼龍が加わった!

 

 

 

 


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