もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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ラーメン

 

 

 

 

目が覚めた。時計を見ると、すでに11:25。誰だ今日の秘書艦は。起こせよ。てか鳳翔さんが隣で寝てたはずなんだが…。てか、腹になんか乗ってんな。なんだ?ヲ級か?とだが、布団からはみ出ているのは金髪。ヲ級じゃねぇな。

布団の中を覗くと、皐月が寝ていた。お前かよ。

 

「………」

 

意識すると重く感じるな…。これが金剛とかなら死んでたかもしれない。あれ?これを大義名分としてこのまま起きなきゃいんじゃね?そうすりゃ仕事しなくて済むし。やべっ久々に自分が天才だと錯覚したわ。

まぁいいや、寝よう寝よう。

 

「うにゅ……?」

 

やべっ皐月が目を覚ました。いや、その前に俺が寝てると認識させればワンチャンあるはず。

 

「あーっ!やっばぁっ!もうお昼じゃん!司令官起きてー!」

 

おい、腹の上でジタバタするな。コイキングか。

 

「しれーかーん!」

 

「分かった!分かったから暴れるな!」

 

仕方ないので起き上がる。

 

「今日の秘書艦は皐月だよ!よろしくな!」

 

「分かったから出てけ。着替えるから」

 

言うと、とたとたと執務室に戻る皐月。疲れそうな一日になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執務室。久々に駆逐艦が秘書艦となった。それは俺が仕事をしないとヤバイことを表す。時刻はすでに12時ちょっと前。詰んでるなこれ…いや言ってる場合じゃない。速攻で終わらせないと徹夜になる。…ダメだ、ダリィ。

放送で金剛を呼び出した。

 

「ねぇ司令官、どうして金剛さんを呼び出したのかな?」

 

「逃げるぞ皐月!」

 

俺は皐月を担ぐ。

 

「うひゃあ!く、くすぐったいよ司令官!」

 

「我慢しろ!なんでも食わせてやっから!」

 

そのまま窓から木に飛び移り、逃亡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「テートクー?呼びましたカー?ってなんでショウこの手紙」

 

『仕事よろぴく(横ピース)☆てへぺろ提督』

 

「………あんの提督ゥゥゥッッ‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

 

ふぅ、なんとか街まで逃げ切ったか。

 

「司令官!すごいよ!僕こんなおっきいお店に来たの初めて!」

 

「そうか…悪かったな今まで…」

 

「ほら、早く行こう!」

 

と、元気良く手を引く皐月。はたから見たらどう見えてるんだろうか俺たち。間違っても犯罪者と思われないようにしたいものだ。

 

「わー!見て見て司令官!ポケ○ン!ジラーチだ!可愛いなぁー!」

 

あれ?ジラーチって俺が小学生の時の奴だよな。なんでこいつ知ってんだ…歳いくつだよ。同い年?

 

「司令官、なんか買ってよ〜」

 

「なんかってなんだよ。ちゃんと目的をハッキリさせないと俺みたいになるようになる人生になっちまうぞ」

 

「だからポケモンのなんかが欲しいなぁ。ぬいぐるみとか」

 

「や、そんなもん売ってねぇだろ。この辺モンコレばっかだし」

 

「うーん…あっ!」

 

皐月が見付けたのはゲーセン。うーわ…でっかいフシギダネのぬいぐるみだ…タイミングバッチリだなおい。

 

「司令官、これ買って!」

 

「これは買えねぇんだよ。取らなきゃいけね…いや、これは見本だ。売ってるわけじゃなくて、こんな商品もこの世には存在するんだよ。売るとは言ってないけどって意味だ」

 

「えー!なんだよそれ!ズルい!」

 

「そう、大人はズルいんだ。皐月はそういう大人になっちゃダメだぞ?」

 

そう言って頭を撫でてやる。やはり駆逐艦はチョロい。と、思ったら後ろからガンッと殴られた。んだよ誰だよ喧嘩売ってんの?買うよ?と、思ったら陽炎としーらぬいだった。

 

「あなたが一番汚い大人よ」

 

「あれ?お前らなんでここに…」

 

「ぬいちゃんと陽炎さんだー!」

 

皐月がぬいちゃんに抱き着く。その皐月の頭を撫でながら不知火は言った。

 

「不知火達は今日は非番で遊びに来てたんです。そしたらあなたは…夢も希望もないことを幼女に催眠術のごとく囁くなんて…」

 

「おい、人を詐欺師みたいに言うな。あながち間違ってないだろ」

 

「少なくとも、うちの鎮守府で汚くて下衆くて腹黒いのは提督だけです」

 

「や、そこまで酷くないだろ」

 

結局、そのフシギダネを取ることになった。まぁいいや、どーせ簡単に取れるし。はいチョロい。

 

「わー!すごいじゃん司令!」

 

「確かに、中々やりますね」

 

「いやこんなもん誰でも取れるだろ。ほら皐月」

 

皐月にぬいぐるみを渡すと、バッと取られてそのままそっぽ向かれてしまった。

 

「さ、皐月?」

 

「司令官、嘘付いた」

 

「へ?」

 

「僕に嘘付いた」

 

「あー…や、悪かった」

 

クッソ…陽炎姉妹が来なきゃこんなことにはならなかったのによ…。皐月は頬をぷくーっと膨らませて腕を組んでる。

 

「あーなんだ?なんでも買ってやるから、な?」

 

「なんでも…?」

 

「あぁ。ある程度ならな?」

 

「し、仕方ないな!今回は僕の広い心に免じて許してあげる!」

 

ふっ、さすが駆逐艦。物で釣れば一発だ。と、思ったら陽炎型二人がこっちをジト目で見てる。

 

「完全に物で釣ったわね…」

 

「最低です…」

 

そういえばこいつらも駆逐艦なんだよなぁ…。どこで差が付いたのか…。で、陽炎型二人と別れてそのままゲーセン探索。マリカーやら太達やらあるが、皐月は興味がなかったようで見向きもしなかった。だが、一つの機械に目を止める。

 

「司令官!あれ撮りたい!」

 

指差す先には、あーリア充専用トラウマ撮影機、略してプリクラね。なにを略したんだろうか…。

 

「早く早く!」

 

「まぁ待て。何事もシンプル イズ ザ ベストっていうだろ?ならあっちの方がいいんじゃないか?」

 

俺が指差したのは証明写真機。その瞬間、ぽかぽかとお腹を殴られた。

 

「やだやだ!こっちがいい!」

 

「分かった、分かったから!」

 

ある程度、年齢が上じゃないと伝わらないか…。で、二人でプリクラの機械に入る。金を入れて、テキトーに設定する(皐月が)と、撮影が始まった。

 

「しれーかん!抱っこして!」

 

「え?こ、こうか?」

 

言われるがまま、抱き上げる。皐月は満面の笑みになる。俺はといえばどんな顔したらいいか分からず、真顔になってしまった。そのまま何枚か太陽拳を連発。そういえば太陽拳の拳ってなんの拳なんだろう…あれ拳じゃないよな…。と、思ってると、ラスト一枚。その瞬間、頬に柔らかい感覚。皐月の唇が俺の頬にくっ付いていた。

 

「な、なぁ!?」

 

「大好きだよ!しれーかん!」

 

そのままパタパタと落書きコーナーに回る皐月。頬をさすりながら俺も後をゆっくりと追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

落書きも終わり、ようやくゲーセンを出た。皐月は自分の携帯(0円携帯)にプリクラを貼ると、嬉しそうににこにこしていた。が、そんな皐月のお腹からくぅ…っと音がなった。そういえば飯食ってなかったな。

 

「皐月、なんか食いたいもんあるか?」

 

「えーっと…パフェが食べたい!」

 

「オヤツかよ。飯にしようって意味だったんだが…」

 

「うーん…それならなんでもいいかなぁ…」

 

「よし、ラーメンにしよう」

 

「ラーメン?」

 

「あぁ」

 

そのままラーメン屋へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーメン花○。なにがいいか聞いたら唐揚げセットとか言い出したので俺が勝手に決めた。

 

「むぅ…唐揚げ食べたかった…」

 

「いいから。ラーメン食ってみろよ。美味いぞ?」

 

「だって食べたことないもん…」

 

「だから勧めてるんだろ。うちの食堂にはラーメンないしな」

 

で、実食。ズズーッと啜り、一生懸命食べる皐月。それを俺は眺めていた。そして、顔を上げる。

 

「美味しい!」

 

「だろ?」

 

気に入ったようで、ドンドンと食べる。あっという間になくなってしまった。

 

「こんな食べ物があったなんて…知らなかったな。ありがとう司令官!」

 

「うん」

 

さて、俺もさっさと食わないと…と、思ったら皐月が俺の麺を物欲しそうな顔で見ていた。

 

「皐月、涎」

 

グシグシと裾で拭う。おい、ティッシュ使え。だが、まだジーっと見ている。仕方ない。麺だけ皐月の器に移してやった。

 

「おら」

 

「わーい!ありがとう司令官!」

 

ご機嫌にまた啜る皐月。その間に俺も完食してやった。で、店を出る。

 

「ふぅ〜僕もうお腹いっぱいだよぉ…」

 

「そりゃ良かったな」

 

眠そうに目をコシコシと擦り、欠伸する皐月。そのまま寝ちゃいそうだったので、おんぶしてやった。

 

「すぅ…」

 

「寝るのはぇーな」

 

後ろから寝息が聞こえて、つい反射的に返してしまった。まぁ、今日は疲れたよな。そのまま鎮守府に戻った。

 

その後、金剛にボコボコにされた。

 

 

 


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