もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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風邪

 

 

 

夜。私室。明日は木曾とガンプラ選び。そういえば最近俺もプラモ作ってねぇなぁ。久々になんか買うかぁ。

 

「テートク!」

 

呼ばれて振り返るとヲ級が立っている。

 

「あぁヲ級か。もう寝るけど」

 

「オレノダークマター二ジョーシキハツウヨウシネェ!」

 

それ俺のモノマネとか言わないよね?そんなこと一回もやってねぇからな。

 

「………ヲ級、どこでそんなカオスなもん覚えた」

 

「ユウバリノトコロ」

 

「全部忘れろ。いいな?」

 

「アンシンシロ、ジカクハアル」

 

「まったくねぇじゃねぇか。忘れるんだ。ほら寝るぞ」

 

二つ布団を敷くと、とりあえず布団に篭る。ヲ級も隣に入った。さて、明日に備えて寝るか。

 

「テートク」

 

「なんだよ」

 

「カキネ、テートク」

 

「冷蔵庫にされてぇのか。寝ろ」

 

「サムイ」

 

「お前、深海出身だろ」

 

「サムイ。イッショニネヨ?」

 

「別にいいけどよ…」

 

すると、スススッと布団と布団の間を移動して来るヲ級。で、俺の腕にしがみ付くと、パジャマの裾をきゅっと握って、エヘヘとはにかんだ。なんか小動物みたいで可愛いなこいつ。さて、俺も寝るかぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、結論から言うと風邪を引いた。深海棲艦と一緒に寝るっていうのは湯たんぽの氷点下版と寝るのと一緒だった。ヲ級が入って来て30秒くらいで体に異変を感じたが、ヲ級があんまりにも気持ち良さそうに寝てるもんだから凍死覚悟の上で寝たのだ。よく生きてたな。

 

「っくしょん!」

 

あーさびぃ…。ちなみに木曾にはMSを選んでやった。もちろんMGのX1。「提督と一緒じゃなきゃ意味ねぇのによ…」とかよくわからんことをブツブツ言ってたが、そんなに俺に荷物持ちさせたかったのかと思うと軽く死にたくなる。

なんて考えてると、今日の秘書艦の鳳翔さんが入ってきた。

 

「大丈夫ですか提督?」

 

「………ワンチャンあります」

 

「へ?犬?」

 

「なんでもないです…」

 

大抵、ワンチャンあるべ!っていえば返事になると思ったんだが…まぁいいか。

 

「まったく…無理なら無理ってヲ級ちゃんに言えば良かったんですよ」

 

「……さーせん」

 

「むっ。その謝り方は反省してない人の謝り方ですね?」

 

言いながら頬をつねって来る鳳翔さん。別に痛くないので反応はしない。はぁ…困ったもんだ。鳳翔さんはついこの前怒らせちゃったばっかなんだよなぁ…いやもう2、3ヶ月前の話なんだけどね。俺は昔に犯した誤ちを結構、自分の中で引きずってしまうタイプなので、一人で勝手に気まずくなることが多い。

 

「では、お粥作ってきますね」

 

そのまま部屋を出て行ってしまった。ふぅ…風邪引いた時では最高の人選なのになぁ…。あ、俺お粥食えねんだけど。やっば…どうしたもんか。

 

「提督、どうかしました?」

 

「や、なんでもないっす…」

 

もう出来たのかよ!インスタントお粥なんてあったっけ?なにそれ超売れなさそう。

 

「や、あの…お粥はちょっとあれなんで…ほら俺アレ、食欲ないし…」

 

あれ?言葉が出ないぞ?多少、克服出来たとは思っていたが、まだコミュ症は治ってないらしい。

 

「ダメですよ食べる時に食べないと」

 

うーやっぱそういうタイプか…。寝返りをうって誤魔化そう。

 

「や」

 

「ダメですって。ほら、少しでいいですから、ね?」

 

ぬぅ…本当にこの人嫁度が高い…。だからと言って折れるわけにはいかない。いやお粥マジ無理。

 

「提督?」

 

「ぐーすかぴー」

 

「怒りますよ?」

 

「……すいやせんした」

 

怒っちゃやーよ!なんて切り返しが浮かんだが、本当に怒られそうなのでやめた。

 

「一口だけでいいですから」

 

そう、その一言を待ってた。どうせまったく食わないのは不可能だと分かっていたので、その一言が来るまで待っていた。一口ならなんとかなる。

 

「分かりましたよ…」

 

「はい、あーん」

 

「は?」

 

「あ、熱いですか?」

 

言いながらスプーンに乗ったお粥にふぅーっと息を掛けて冷ましてくれる鳳翔さん。いやそういうことじゃないんですけど…まぁいいか。

 

「あーん…」

 

「あー……ん」

 

「どうですか?」

 

「気持ち悪いです…」

 

「そうですか…」

 

「や、鳳翔さんがじゃないですよ!?元々、お粥ってあまり好きじゃないんですよ!だからその、アレだ。し、食欲じゃなくて、味覚?あ、食感だ!食感が気持ち悪いっていうか…むしろこの歳であーんしてもらってる俺の方が気持ち悪いっていうか」

 

「ふふふ、冗談ですよ?」

 

「んなっ…!」

 

くっ…遊ばれた…。

 

「一口食べたので御飯はここまでにしておきますね。では今日の執務をやっておきますのできちんと寝ててくださいね。なにか用があればお呼びください」

 

「は、はい…」

 

「くれぐれもゲームなんてやらないように」

 

「はい…え?はい…」

 

素直に返事すると、にっこり笑って私室を出て行ってしまう。あーあ…年明けて二発目から風邪かぁ…軽く死にたくなるもんだ。それにしても鳳翔さん本当に結婚してねぇのかよ。世の中の男なにやってんだよ。

そんなこと考えながらPSPを付ける。モンハンやろっと。最近は2ndGにハマってる。二つ目のボウガン縛りのデータ(ロックオンに影響されたとは言えない)。とくにヘヴィボウガンとか楽しい。遠い所から狙いを定めて、

 

「ロックオン・ストラトスとガンダムデュナメス。目標を、狙い撃…」

 

「テートクーっ!大丈夫デスかー!?」

 

「うおっ!」

 

やべっ外した。ってバカ!こっち来んなティガ!お前の突進をガンナー装備で正面から喰らったらヤバイんだって!

 

「提督!なにやってるネ!」

 

「あっ!バカお前…」

 

『力尽きました』

 

「oh…」

 

死んだ…。まだこのデータで一回も力尽きてなかったのに…。なにしやがんだとジト目で入ってきた金剛を睨みつけるが、まったく気にした様子はない。

 

「大丈夫デスか提督!私、心配で喉が食事を通らなかったネ!」

 

「そりゃ通らねぇだろ。てか通ったとこ見て見たいわ」

 

「私が看病してあげるネ!とりあえず洋服脱いで!身体拭いてあげるヨ!」

 

「寒いからパス。俺寝る」

 

「いいからさっさと脱ぐネ!じゃないと襲え…じゃなくて体拭けないネ!」

 

うん、完全に脱いじゃいけないことがよく分かったよ。とりあえずさっさと退場していただきたいんだが…。

 

「ハリー!ハリー!」

 

「アバダケダブラ」

 

「そっちじゃないネ!てか逆にハリーでなんでその呪文!?」

 

喧しい…割とマジで。

 

「とにかく、大丈夫だから部屋に戻ってくれ」

 

「ムゥ…意固地なんだから…」

 

「なら鳳翔さんと一緒に執務でも片付けといてくれ」

 

「りょーかいネー…」

 

ようやく出て行ってくれた。さて、これでようやく落ち着いてゲーム出来る。

 

 

 

 


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