もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

20 / 156
初詣

 

 

正月。艦娘の皆様と初詣に行った。なんか女子校の修学旅行みたいになっていた。ちなみにおみくじは勿論のこと末吉。悪い方ではあるけど、一番悪いわけではないので愚痴れない定位置。うん、もう馴れたわ。家に帰ったら盛大に引き裂いてやろう。あ、ついでに雪風は超吉。大吉を超える何かを当てやがった。ホントなんなのあの子。

 

「しれぇ!あれ!あの射的やりたいです!」

 

元気良く大声出すのは超吉の雪風。

 

「やめておけ雪風。この辺りの射的は絶対に取れないし、取れてもパチモンだ」

 

「ほえ?そーなんですか?」

 

「そうよ雪風」

 

雪風の肩に手を載せるのは陽炎。

 

「後ろに重たいオモリはっ付けて当たっても落ちなくなってるんだから」

 

「そうだ。もしどうしてもやるってんなら島風にほうれん草でも貸してもらえ」

 

「連装砲だよてーとく!」

 

まぁ、それなりに周りは楽しめているようだ。

 

「司令官!あれ食べたいです!」

 

「食べればいいじゃん吹雪」

 

「あの、私お金ないです…」

 

あぁ、そういえばまだお年玉あげてなかったな。

 

「鎮守府着いたらお年玉あげるから。なにか食いたきゃそれで買いな」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

やれやれ、ホントに疲れるな提督は。てかこれ軽く家族じゃね?

 

「あの、司令官…」

 

「んー?」

 

呼ばれて振り返ると、手をもじもじさせながら、若干顔を赤くして俯く吹雪。

 

「吹雪、どうしたの?」

 

後ろから白雪が近づいて来た。その瞬間、吹雪が俺の手を取って走り出す。

 

「し、失礼します!」

 

「や、あのちょっとぉ!?」

 

「あっ!どこ行くの吹雪!」

 

そのままどっかに連れて行かれた。あぁ…加賀さんに電話しておかないと…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走らされて数分。

 

「こ、ここまででいいかな…」

 

「や、なにがよ」

 

「うわっ!白雪!?な、なんで…」

 

「あなたが提督をどっかに連れて行くからよ」

 

「ば、バレてた?」

 

「少なくとも私にはね」

 

それを聞くなり、深くため息をつく吹雪。

 

「で、なんか用か?」

 

「し、司令官!そ、その…き、今日一緒にいてくれませんか!?」

 

「え?常日頃からわりと一緒にいない?」

 

「や、そういうことではなくてですね…」

 

え、なに?てかなんで顔を赤らめるの?そんな吹雪を見た白雪が軽くため息をつくと言った。

 

「司令官、吹雪は提督と一緒に遊びたいそうです」

 

「ちょっ…白雪!?」

 

「だからこれからどこかに行きませんか?」

 

「別にそれくらいいいけど」

 

許可すると、白雪は吹雪にウィンク。それを見るなりぱあっと顔を明るくして、「ありがと〜」と白雪に抱き着く吹雪。君達仲良いですね…。

 

「じゃ、加賀さんに連絡だけさせてくれ」

 

俺はiPhoneを取り出してLINEを開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃。

 

「赤城さん、提督がどこに行ったかわかりますか?」

 

「またいなくなったんですか?」

 

「えぇ…まったくあのダメ提督は…」

 

ため息をつく加賀を赤城はヤケににこにこしながら眺める。

 

「なにか?」

 

「可愛いなぁっと思いまして」

 

「か、からかわないで!」

 

ぷいっと顔を赤らめながらそっぽを向く加賀。誤魔化すように携帯を見ると、LINEが来ていた。

 

「提督?」

 

『ちょっと世界の歪みを断ち切って来る。他の子の面倒、榛名と一緒によろ』

 

さらに加賀の寝顔の写真が送られてきた。

 

『あっやべっ間違えた』

 

で、エクシアの写真が送られる。

 

「どうしました加賀さん?」

 

「赤城さん、悪いけど他の子の面倒お願いします」

 

「了解しました♪」

 

そのまま、加賀は返信すると出撃した。

 

『あなたの歪みを一つ残らず断ち切ります』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、近くの店を回るが正月なだけあってどこも開いてない。そりゃそうか。あからさまに吹雪はガッカリしている。

 

「はぁ…」

 

「まぁ正月だから仕方ねぇよ。今度、どっか連れてってやるから」

 

吹雪の頭を撫でてやる。すると、嬉しそうにはにかんだ。なにこいつ、子犬?

 

「白雪もな」

 

で、頭を撫でてやった。

 

「え?わ、私もですか?」

 

「え?二人で来たかったんじゃないの?」

 

すると、若干顔を赤らめる。白雪なのに。で、小声で消え入りそうな声で「あ、ありがとうございます…」と、呟いた。なんて感じで歩いてると、自販機を発見した。正月まで働いてるなんて偉いね。感動したので買ってやることにしよう。コンポタを二本、缶コーヒー(微糖)を買った。

 

「ま、これで元気出せ」

 

二人にコンポタを渡してやる。

 

「わぁ!ありがとうございます!もっと頑張りますね!」

 

「すいません。お気を使わせてしまって…」

 

さて、パズドラでも…と、思ったらLINEが着ていた。

 

『あなたの歪みを一つ残らず断ち切ります』

 

「二人とも逃げるぞ」

 

「「へ?」」

 

「早く!色合い的にもキャラ的にもあながち間違ってない奴が来る!」

 

二人の手を握って逃げた。とりあえず近くの公園。三人でベンチに座った。

 

「ふぅ…危ねぇ…」

 

「どうしたんてすか司令官?」

 

「なんでもない…ちょっと殺されそうになっただけだ」

 

しばらく息を付く。

 

「二人とも自由にしてていいぞ。俺ここにいるから」

 

そう言うと、白雪が俺の膝の上に頭を置く。

 

「し、白雪!?」

 

吹雪が驚愕の声を上げるが、まったく気にしない。

 

「すいません司令官。眠くなってしまったのでお膝借りますね」

 

「え?あ、はい…」

 

そのまま目を閉じる白雪。今度は吹雪も反対側の膝に頭を置いた。

 

「し、司令官!わ、わたわた私も!」

 

「別にいいんだけどよ…風邪引くなよ」

 

そのまま二人はホントに寝てしまった。よく見れば、マフラーや手袋、コートの下は二人ともいつもの制服だ。もっとラフな格好でいいのにホントに真面目なんだよなぁ…俺なんて冬場はいつもスウェットだぞ。夏は半袖短パン。わんぱく坊主かよ。

携帯を見る。二人の寝顔を写真で撮る。さて、これでそろそろ完成かな…。

 

「見つけましたよ提督」

 

「は?」

 

振り返ると加賀さんが鬼の形相をして立っていた。

 

「こ、こんちは…」

 

「話があるのだけれど」

 

「いや見ての通りなんだが…」

 

「はぁ、仕方ありませんね。こんなところで寝かしたら風邪を引きます」

 

言いながら、加賀さんは白雪をおんぶした。それを見るなり俺も吹雪をおんぶする。

 

「帰るか…」

 

「提督、先程の写真について話を聞かせてもらいますからね」

 

「エクシアか?あれカッコいいよな。なんだかんだで刹那の機体で一番かっこいいんじゃ…」

 

「頭に来ました」

 

「ごめんなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮守府。吹雪達を寝かせた後、叢雲やら深雪やらにズルいだのウザいなどセクハラなどボロボロに叩かれたが俺の精神は崩れない。加賀さんと執務室へ入った。

 

「で、提督?さっきの写真は…」

 

「あぁ、それなんだけどさ。ちょっとお願いがあるんですよね…」

 

「はぁ?」

 

四皇並の覇気をなんとか堪えると、パソコンにiPhoneをぶっ差し、しばらくカタカタいじる。で、しばらくしてからパソコンからCDを取り出した。

 

「これ、俺が寝た後に艦娘全員に集合掛けてみんなで見てください」

 

「これは…?ていうかなんで提督が寝た後なんですか?」

 

「俺に死んで欲しいんすか?」

 

「や、意味が分からないです」

 

「いいから!頼みます」

 

それだけ言って俺は私室に籠った。あんなもん目の前で見られたら恥ずかしくて死ぬ。

 

 

 

 

 

 

 

提督が寝た後、艦娘の全員が食堂に集まる。そこで加賀がCDを流した。ていうか、CDというよりDVDだった。

今までの思い出的な。アルバムDVDという奴だった。それを見ていると、なぜか加賀さんは涙を流す。他の艦娘も、何人か泣いていた。

そして、最後に「提督から一言」の文字。それを全員で待った。次に出てきた文字は、

 

『このビデオは有料です。一人につき、500円お支払いください』

 

「………」

 

全員で食堂を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を見てるのは分かってる。俺はガンダムNT-1に乗っていた。ア・バオア・クー、最後の戦いに向かうために。本来ならこれはアムロが乗る機体だったが、「それはテイトクさんが乗ってください。僕はガンダムで大丈夫です」と、クソ生意気にもそう言われた。

 

「出撃準備完了」

 

俺がそう言うと、ハッチが開く。そして、ブライトさんから通信が入った。

 

「テイトク、作戦は分かってるな?」

 

「はい」

 

そして、スーハーと深呼吸。「行きますよ皆さん!」「おう!これで終わらせようぜ!」「ミハル、もう悲しまないぜ…」「兄さん…」と、声が聞こえる。そんな俺達に声がかかった。

 

「アムロ、カイ、ハヤト、セイラ、テイトク」

 

名前を呼ばれ、思わず振り返る。

 

「死ぬなよ」

 

それだけ言うと、ブライトは通信を切った。わかってる。こんなとこで死ぬわけにはいかない。息を大きく吸うと、俺は言った。

 

「アレックス、テイトク。出撃します!」

 

ゴォォォゥ!と音を立てて宇宙に出た。流石、ラスボスのア・バオア・クー。敵の数は尋常じゃない。だが、

 

「このアレックスを数で落とせると思うなよ!」

 

サーベルを抜いて敵に近付く。ゲルググやらドムからビームやジャイアントバズが飛んで来るが、すべてかわして斬りつける。と、思ったら背後から接近する機体がある。そこにむかって腕のガトリングガン。

とりあえず止まったら死ぬ。ほんの一瞬の隙が死を招く。俺はこんなところで死ぬわけには…

 

ピキィィィンッッ‼︎‼︎

 

「この感覚…」

 

シャアか!そう思った瞬間、アムロから通信が入る。

 

『テイトクさん!』

 

「分かってる!」

 

感じた場所へ向かうと、なにもいなかった。いや、そんなはずはない。どこかに奴はいる…。と、思ったらどこかから五本のビーム。CAアーマーを犠牲にして回避して振り返ると、腕があった。よく見ると有線で繋がれている。

 

「テイトクさん!」

 

ガンダムと並んだ。目の前には、巨大なモビルスーツ。全体の半分は足で出来てるレベル。

 

『アムロ、テイトク!私は貴様らを討つ!』

 

「シャア!」

 

目の前にはパーフェクトジオング。二機のガンダムで最後の決戦が始まっ

 

「テートクーーーっ!!」

 

突然、腹の上に衝撃。目の前に金剛がいた。それとともに夢から覚める。え?ちょっと今いいとこだったんだけど…。

 

「なに…」

 

「私、提督のこと大大大好きネーーっ!」

 

ちょっ!脈絡もなく言うなよ!なんだってんだよまじで!と、思ったら後ろから榛名やら雷やら阿賀野やら球磨やら鈴谷やらが突入してくる。え?ホントになに集団リンチ?

 

 

「あんなDVD見せてくれるなんてサイコーネ!一人500円だっけ?ハイ!」

 

そして、後ろから500円玉が集まる。え?なにこれ天国?この襲撃の正体を知るのにこのあと、二時間掛かり、寝不足です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。