もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

17 / 156
掃除

 

 

 

暇だ。うん、暇。年末ということで今日の30日〜1月3日まで休み。そんなわけで、私室でプレ3やってます。艦娘達もどこかに遊びに行ったりしてるだろうし、うちの鎮守府にはふざけ半分で作ったガンダム等身大がある。これが意味あるのかは分からないが、一度も襲撃されたことはない。いや一回だけあるけど。だから、艦娘が例えいなくても襲撃される心配はないのだ。おい、だったら全国に等身大作れよ。

しかしアレだな。ゲームにも飽きてきた。たまには体を動かさないと体に悪いだろう。と、いうわけで自分の私室の掃除をすることにした。ちなみに暇だからって実家に帰る選択肢はない。だって親嫌いだもん。

とりあえず現状を見渡す。俺の身長の二倍くらいあるジャンプの山が四つ。この時点で心が折れ掛けていた。これは誰かに手伝ってもらうしかないか。でも、加賀さんにお願いしたら説教されそうだし、駆逐艦はもっと荒らされそう。軽巡や重巡はジャンプ読みふけって捗らなさそうだし…よって戦艦しかないですね!

 

「金剛、比叡、榛名、霧島は執務室に来るように」

 

航空戦艦達も怒られそうなので無難に金剛型にしておいた。長門型は無理。特に長門は綺麗さっぱりになりそう。

しばらくして、執務室のドアが開かれる。

 

「どうしたネ、提督?ティータイムデスか?」

 

「えっと…」

 

あーやべっ。言葉が出ない。最近は艦娘達と話すからコミュ症は軽くなったと思ってたんだけどな。えぇい…勇気を出せ!

 

「あの…あれだ。部屋の片付け手伝って欲しいんですけど…」

 

「任せるネ!」

 

「気合、入れて!行きます!」

 

「提督に頼っていただけるなんて…榛名、感激です!」

 

「了解しました」

 

よし、二つ返事でOKしてくれたぞ。で、部屋に入る。その瞬間、四人、唖然。

 

「まぁ、その…ここ5年分のジャンプあるから。終わったら貸してあげるから頼む…」

 

「もちろん、提督も手伝うんデスよね?」

 

「や、その…」

 

「手伝うよネ?」

 

「はい……」

 

金剛に迫られ、仕方なく妥協した。で、掃除開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、掃除開始。したのだが、俺がまともに掃除するはずもなく、四人が働いてる中、ジャンプ読んでます。あ、ネジ死んだ…この時はビビったなぁーだってネジだぜ?あのネジがさぁ…と、思ってたら目の前からジャンプが消えた。榛名が邪魔しやがった。

 

「提督?なんで1人だけサボってるんですか?」

 

「や、違うんだよジャンプが俺を呼んでるんだよ」

 

「て、い、と、く?」

 

「すいませんでした」

 

で、ジャンプをしまわれてしまう。

 

「ヒエェーッ!」

 

そんな声がして見てみると、比叡がジャンプに埋れていた。

 

「なにやってるネ比叡。大丈夫デスか?」

 

「うぅ…すいません金剛姉様…」

 

「ノープロブレムだヨ。悪いのはあそこで突っ立ってる提督ネ」

 

はいはいすいませんでした。まぁ流石に悪い気がするし、俺もサポートするか。そう決めると、財布を持ってこコンビニへ出発。サポートとは言ったが、手伝うとは言ってない。四人分、缶コーヒーでも買って来てやろうと思いながら誰にも気付かれずに私室を出た。

 

 

 

 

 

 

鎮守府内は大掃除で大騒ぎだった。なんで誰も俺に相談してくれなかったんだろう…なにこれちょっと泣けて来たよ。まぁいいや。俺に気を遣ってくれたとプラスに解釈しよう。

で、誰にも手伝ってと言われないまま外へ。少し寒かったが、靴下履くのが面倒だったので雪駄でコンビニまで向かう。雪は降ってなかったが、霜柱やら白い息やらで今が冬であることを実感させられた。

 

「あれ?司令官?」

 

ランニングをしてた女の子にすれ違い様に声をかけられた。

 

「長良か。おはよ」

 

「もうこんにちはの時間ですよ?」

 

クスッと微笑む長良。

 

「てかなにしてんの?」

 

「買い出しです。鏡餅と蜜柑。司令官はどちらまで?」

 

「コンビニ。金剛達が部屋の掃除してくれてるから暇潰しに」

 

「それ他人に丸投げしただけですよね?」

 

「違うな。託してきたんだ」

 

「……物は言いようですね」

 

いいだろ別に。現状を確認せずに引き受けた金剛が悪い。

 

「せっかくですので、司令官について行ってもいいですか?」

 

「え?いいですけど、買い出ししてたんじゃ…」

 

「大晦日は明日ですから大丈夫ですよ!ほら、行きますよ!」

 

「おい走るなよ。俺疲れる運動は嫌だ…ねぇ、聞いてる?待ってって、走らないって…なにこれ、新手のいじめ?」

 

いやいや走って着いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

走らされて十分後くらい。

 

「すごいですね司令官!私についてくるなんて!」

 

「いや…お前全然、余裕じゃん…俺のHPは肉体的にも精神的にも0なんですが…」

 

クッソ…明日筋肉痛だろこれ。絶対コタツから出ないでやる。

 

「で、何買うんですか?」

 

「カップ麺、ポテチ、アイス、缶コーヒー、サイダー、iTunesカード5000円分二枚かな」

 

「うわあ、廃人グッズ…」

 

「言葉に気をつけろ長良。俺に死んで欲しいのか」

 

今言った物を手に持つ。

 

「長良はなんか食いたい物あるか?あるなら買ってあげるけど…」

 

「ホントに!?じゃあ私もiTunesカード!」

 

「話聞いてた?食いたい物って言ったよ?」

 

「携帯に食べさせるんですよ!」

 

おい、その上手いこと言ったみたいなドヤ顔やめろ。まぁこんなわんぱく坊主みたいな目されたら買ってやるしか無いか。それに引き換え、金剛達は死んだ魚みたいな目になってるんたろうなぁ…。

言われるがまま、レジでそれらを購入。それと、スパイシーチキンを二つ買った。その片方を長良に渡す。

 

「おら」

 

「へ?」

 

「やるよ」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

それとiTunesカードを渡す。で、袋の上部を裂いて、スパイシーチキンを一口頬張ると、幸せそうな顔をしてもむもむと咀嚼。なんだかんだで女の子の一番の化粧は笑顔なんだと思いました。ソースは銀魂。

 

「なんですか?」

 

あんまり見過ぎてたせいか、怪訝な顔で聞かれてしまった。

 

「や、なんでもない。帰ろうぜ。歩いて」

 

「走って」

 

「歩いて」

 

「走って」

 

「……」

 

じゃんけんの末、走って帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮守府に戻る前にBOOKOFFで、正月用にSEEDのBlu-rayを購入。まぁ、正月用なのに年末に見ちゃうんだろうけど。

で、私室に入ると、ジャンプの山はすっかり消えて綺麗になっていた。金剛達がやってくれたか。だが、不思議なことにその金剛達の姿もない。ま、いっか。後でお礼言っとこう。

 

「いやー、掃除疲れたァ…」

 

まるで自分でやったかのような口調。うわあ、マジでダメ人間かよ。と、思った瞬間後ろからドンッと押され、部屋のコタツに倒れ込んだ。んだよ誰だよ殺すぞと思って振り返ると金剛の姿が。にこにこ笑顔なのに超怖い。

 

「提督?どこ行ってたの?」

 

「や、金剛達が疲れてるかなーって思って、コンビニに缶コーヒー買いに…」

 

うん、嘘は言ってない。なのに何故でしょう。命の危機を感じるよ?

 

「そうデスか。ポテチにiTunesカードにBlu-rayもあるみたいだけどどうしたの?」

 

「や、これはアレだ。道端で捨てられてる子犬ちっくな目をしてたからつい買ってしまったというか…」

 

と、言いかけた所で後ろから両腕を拘束される。比叡と霧島だ。そして俺の前に仁王立ちする金剛と榛名。

 

「では提督、お仕置きの時間です」

 

きゃぴるん♪とした声で榛名が言った。

 

「や、この後予定が…」

 

「勝手は榛名が許しません」

 

こ、怖い…誰か助けて。結局、今日一日金剛型の部屋を片付けることで許された。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。